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2013-11-01

イタリア建築紀行のサイトを始めるにあたって


日本の大学に在籍中の4年生のとき、
博物館実習というのに出かけました。

私は建築学部の学生でしたが、大学に入学した年に、
建築学部としては日本で初めての学芸員課程というのが設置され、
それを選択したごく少数の学生のひとりでした。

4年間の修学課程の締めくくりとして、実際の博物館で
学芸員さんたちの仕事を経験したのです。

多くの美術系の学生さんたちに混ざっての研修でした。
その数日間にいろいろなことをさせていただいたのですが、
中でも印象に残っているのが、防空壕の測量をして図面に起こしたことです。


その時、少数派だった建築の学生だけしか
周りにいなかったように思います。
美術系の学生さんたちには、測量の技術がなかったのでしょうか。

私たちのグループを担当された学芸員さんは、
測量後にできあがった図面を見て、とても嬉しそうにされていました。

現場仕上げなので、定規とシャープペンで書いたものを
トレースして手書きのペンでの描いたものでしたが、
学芸員さんは「何かすごいものに見える」と感動されていました。

実際の数値に基づいて描いた図は、どんなにうまい写生よりも
リアリティを持つことがあるのです。


そして、学芸員さんは話を続けました。
「建築の人たちは、いいよな・・・」
最初はその意味がよくわかりませんでした。

「だって、どんな仕事だってできるじゃないですか」
とおっしゃるのです。

ご自身は美術系の大学出身だそうですが、
「とにかく仕事が見つからない」ということでした。
美術系の職はそもそも少ないし、他の仕事を探そうと思っても、
「つぶしが効かない」ということでした。「その点、建築の人は違う」と。

多くの学生さんたちが、就職活動と並行してこの実習に参加していましたから、
自然とそういう話題になりました。
ただ建築分野の仕事は非常に幅が広かったし、当時の風潮としては、
建築以外の仕事を選んぶだなんて、考えられない状況だったと思います。


さて、それから10年以上の月日が経って、
私はウェブトラベルという旅行会社に出会いました。

最初はちょっとよくわからなかったのですが、
「面白そうじゃない?!」というのが印象でした。
何か新しい感じがしたし、別業種でしたけれども、直感が働きましたね。

旅づくりの仕事を始めてからかれこれ7年位になりますが、
採用面接の際のエピソードをお話ししょう。


本部Kさん: (Microsoftの) Officeのプログラムは使えますか? Word や Excel ...

私(菅澤): Word は大丈夫ですけれど、Excel は使ったことないですね・・・(汗)
あ、でも、CADなら使えます!!!ご存知ですか、オートキャドって。
精密な図面を描くプログラムです!建築や機械の製図用の!

本部Kさん: ん・・・ まっ、大丈夫でしょう!


そうして、私は初めて、建築以外の仕事を始めることになりました。

このとき問題となったExcel は、その後使ってみると、
拍子抜けするほどシンプルだったわけですけれども・・・。


「創る」ことにかけては、建築設計も旅づくりも基本的に同じです。

これから、旅行会社のサイトで、建築をテーマに記事を書いていくことで、
今までパラレルにあった2つの経験が
大きくリンクする時期に入っているのかもしれません。

こうしたコラボレーションができるのが、
ウェブトラベルという企業のふところの深さだと感じます。

今後いったいどんな流れになるのか、私自身、
実はとっても楽しみなんです。

このサイトの話を持ちかけてくださったI会長とKさん、
制作の中心となってくださったIさん、
WEBデザイナーのOさんとYさん、ありがとうございました!

おかげさまで、無事、開設です。

特に制作の方々、ミーティング後のいくつもの細かい注文にもかかわらず、
素晴らしいサイトデザインに仕上げていただき、感謝しております。
「創る」こと続きですが、サイトづくりも、とっても楽しかったです。

では、建築紀行のサイト開設を祝して、
まずは乾杯といたしましょうか・・・

Alla salute (アッラ・サルーテ) !



※Alla salute: イタリアでは乾杯するときにいう言葉。原義は「健康を願って」。




↑学生のときから大切に持っている西洋建築史の本です。
最初のイタリア建築との出会いはここから始まりました。


菅澤 彰子(すげさわ あきこ/ イタリア在住)
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