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【2018-07-20 ご出発】 【担当コンシェルジュ】伊奈 典子

S様/台湾・高雄の友人O君を東京観光に招待した13日間 第2弾「送る」

私は普通のサラリーマンで平日は仕事があるため、O君の観光案内は休日に限られます。
観光スポットへ行かなくても、近所のスーパーマーケットで買い物をしたり、焼き鳥やたこ焼を食べたり、回転寿司に行ったり、東京の日常をそれなりに楽しんだようです。

7/13(金)は会社の休日でした。
友人(伊奈様に九イ分の宿泊を手配していただいて一緒に台湾観光をしたY君です)にも休みを取ってもらい、東京ディズニーランドへ行くことにしました。
通りで車椅子タクシーを拾ったものの、O君の車椅子の横幅では乗れないことが判明。
地下鉄とバスを乗り継いで行きました。
開園35周年で盛り上がっています。
車椅子のまま利用できるアトラクションは限られているものの、ショーを見たりショップでグッズを買ったりして、O君は一通り満喫できたようです。

7/14(土)は浅草に行きました。
O君が日本に行って一番したかったことを叶えるためです。
観光客でごった返す雷門で記念撮影をしたり、おみくじを引いたり(いきなり大吉を引き当てました)、
足が回復するよう煙を浴びたり、一通り観光客のすることをこなしてから、初音小路に向かいました。
私が時々お邪魔するショットバーのお店、T。
そこに「ちい散歩」の第一回にも登場して故・地井武男さんに頭を撫でられた(!)黒い柴犬がいます。
私がずっと画像や動画を送っていたため、柴犬好きのO君はこの犬にとても会いたがっていました。
タイミングが悪いと夜の散歩に出ていたりして会えないこともあるのですが、事前にマスターに連絡してあったので、O君は念願の彼に会うことができました。

7/20(金)、O君が台湾に戻る日が来ました。
ディズニーランド行きの時の失敗を繰り返さないよう、事前に予約してあった、後ろから載せるタイプの介護タクシーに迎えに来てもらいました。
11時。時間通りにマンションの玄関を出ると、既にタクシーが来てくれています。
200kgまで耐えるというリフトに車椅子ごと乗って、上がっていきます。
・・・?!
リフトがタクシーの中に入りきる前に、停止してしまいました。
O君の体重+車椅子の重量で180kg程度のはず。
リフトはあくまで平均的な加重を前提に設計されているため、途中で停止してしまったようです。
運転手さんが別の業者さんに連絡を取ってくれて、2台目の介護タクシーが到着しました。
ところが、このタクシーのリフトも同じタイプのため、結果は同じだろうとのことです。
とにかく、途中で止まっているリフトからO君を降ろすことになりました。
飛行機ではあれだけの大人数でO君の運搬に手間取ったのに、車椅子ごと、2名の運転手さんだけで、手作業で降ろせるものなのか?
私の心配をよそに、手際よく2人で車椅子ごとO君を降ろしてしまいました。
プロの方は違いました。
続いて、スロープを使って車椅子を牽引して載せるタイプの介護タクシーを呼んでいただきました。
3台目の介護タクシーが到着します。これはうまく行きそうでした。
しかし、あと一歩のところで車輪がつかえてしまい、載せることができません。
O君の車椅子の幅がネックになりました。
ついに、日本で稼動する一番大きなタイプの介護タクシーが呼ばれました。
4台目です。
リフトを使うタイプですが、300kgまで耐えるそうです。
これは、全く問題なくO君の車椅子を載せることができました。
2時間が経過しています。
O君をタクシーで運ぼうとして、介護タクシー4台を呼ぶことになるとは予想していませんでした。

JRの上野駅に到着しました。
ポケモンのピカチュウが大好きなO君、東京での最後の思い出作りにポケモンスタンプラリーのスタンプを押して、記念品を引き換えます。
その後、京成の上野駅へ移動、スカイライナーに乗って成田空港に到着。

JALのカウンターのあるエリアに近付くと、またすぐにスタッフから声をかけていただき、
「スマイルサポートカウンター」に並ぶよう言われました。
本当にサービスが行き届いている会社です。
高雄空港の時と同様、車椅子の預け方などを説明していると、O君が一人の男性職員から中国語で話しかけられました。
使っている本人が直接説明するのが一番早いですね。
来日の便での経験から、最初から床を引き摺って座席まで運んでもらうようお願いしました。
O君も運ばれる時の体勢などを男性職員さんに説明しています。
その最中に、O君がおむつが限界と伝えてきました。
到着してすぐ使わせてもらったトイレを思い出し、O君のおむつ交換が可能な簡易ベッドのあるトイレが無いかたずねます。
確認していただいた結果、出国審査を早く抜けてしまう方が良いとのことでした。
職員さん達の誘導で、手荷物検査場を手早く抜け、入国時と同様にO君と一緒に出国審査のスタンプを押してもらいました。
免税店の並ぶゾーンを抜けて、ゲートのエリアに入ると、1つのトイレを示されます。
中を確認すると、そこは今までで一番使い易いトイレでした。
折り畳みの簡易ベッドを展開しても、両側にスペースがある造りになっています。
O君にちょっと力を入れて片側ずつ自分の足を持ってもらい、
ズボン・パンツ・おむつを外して交換しました。
今回、他の人の力を借りずに、O君と2人だけでおむつ交換ができました。

搭乗ゲートで飛行機の準備を待つ間、O君はまた、職員さん達と記念の写真を撮ってほしいと希望しました。
色々とお忙しいでしょうに、皆さん快く応じて下さいました。
O君は日本でのたくさんの人達の厚意の記念を胸に刻んで、台湾に帰ることができるのです。
初めての外国旅行で初めての飛行機旅行。
きっと今回の全てが、一生忘れられない思い出になるでしょう。

女性職員さんが言われました。
「今回の対応では、特別チームを組んでいます」
「!!(O君のために・・・)」
「ただ、毎回これだけの人を確保できるかはわかりません」
数えてみると、男性職員さんだけで9名の皆さんがO君のために対応して下さっています。
「そうですね・・・どうも済みません」
「次回は、エコノミー席へ直接搭乗できる飛行機を検討した方が良いかもしれませんね」
なるほど。良いアドバイスをいただきました。
次回がいつになるかわかりませんが、今後、伊奈様にはご相談させていただくことになると思います。

飛行機の準備ができて、搭乗の時間が来ました。
職員さん達がO君の車椅子を押して行って下さいます。
あれ?
登場口に着くと、到着時に使用を諦めた、あのストレッチャーのような機材が置いてありました。
O君、手際よく載せ換えられ、機材の上で横向きになります。
通路を移動していく機材とその上のO君。
O君が東京観光を楽しんでいる間、JALでは帰国時の対策をしっかり考えて下さっていました。
撮影された写真や動画を確認して、機材の使用方法や段取りを検討して下さったのでしょう。
飛行機を遅らせてしまった高雄出発時の苦労が嘘のように、O君の体はエコノミー席に到着しました。
帰りも2座席を使います。
座席の間にある跳ね上げた肘掛けが背中に当たらないよう、またクッションを使ったのですが、今回はそれも増量されていました。
他のお客さんが乗ってきました。
CAさんに他に気になることが無いかたずねられたO君、膝が座席の仕切りに当たって痛くなると告げました。
こちらもすぐに、仕切りに被せる毛布をかけて対策していただきました。
こうして帰りは、時間通りに着席して成田を出発することができました。
おむつを交換したばかりで安心しているのか、O君、機内食を全て食べました。

残る難関は到着時です。
成田空港のような設備は無いでしょうから、高雄空港では床を引き摺ってもらわないと降りられないだろうなぁ・・・と考えていました。
しかし、JALはどこまで有能なのでしょう。高雄空港でも対策が練られていました。
高雄空港に飛行機が到着し、他のお客さんが全員降りるのを待ちます。
やがて職員さん達が来て下さったのですが、四隅に車輪の付いた長椅子を通路に入れて運んで来ました。
成田空港と同じ、総勢9名の男性職員さん達により、O君が長椅子の上に横向きに固定されます。
そして、O君を乗せて通路をスルスルと移動して行きます。
私は遅れないよう搭乗口へ行き、届けられていたO君の車椅子の組み立てを手伝いました。
通路を出てきたO君、車椅子に移されます。もう心配はありません。
皆さんのおかけで、O君が無事に帰国できて良かったです。

入国審査はまた、O君と一緒に通されました。
成田空港と同様に男性職員さんがお一人、最後まで付き添って下さいます。
預けた荷物を引き取り、到着ロビーを抜け、外に出てO君の呼んでいる車椅子タクシーを待ちます。
私が急いで銀行窓口で両替をして戻ると、タクシーは来ていました。
運転手さんがリフトでO君を乗せています。
台湾で見慣れた光景を眺めていたら、「O君、戻ってきたんだなぁ・・・」と実感が湧きました。

今回、O君を日本に連れてきて東京観光をし、台湾へ送り届けるというミッションはなんとか完遂できました。
課題もありますが、JALの皆さんが改善の努力をして下さったように、私も一つ一つ解決して、次回に臨みたいと思います。

伊奈様、今回は高雄発着の面倒な予約、そしてJALとの連絡・調整、本当にどうもありがとうございました。
伊奈様のご尽力抜きでは実現できなかったと思います。
また、O君との新しい約束を果たす時にはお手数をおかけするかと思います。
非常に頼りにしておりますので、今後もよろしくお願い致します。



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