2014年10月出発のお客様からのお便り
【2014-10-14 ご出発】
【担当コンシェルジュ】佐藤 陽子
佐藤陽子様
今回は想像以上に楽しくエキサイティングな旅が経験できました。
エミール・クストリッツァの映画「ライフ・イズ・ミラクル」の舞台となった村、モクラゴラを訪ねたいというおおざっぱなオーダー。
ボスニアとの国境に近いセルビアにあるその村へ、バスは面倒なのでドライバー付き専用車を用意してほしいというワガママ。
さらに、せっかくセルビアに行くのだから、無理のないスケジュールで他のどこか素敵な都市も観光したいという自主性のないお願い。
そんな無理難題に付き合いながら、充実&納得の旅程を組んでいただき、本当にありがとうございました。
まず、トルコのイスタンブールへ。
ホテルの部屋からはブルーモスクが一望。
トルコ料理は思いのほか洗練されていて、その美味に驚いた。
食べたかったサバサンドも上々。
街を歩き、バザールを巡り、船でボスボラ海峡を渡る。
アザーンが聞こえてくると、道ゆく人々はひざまずき祈りを捧げだす。
とにかく人が多く、エネルギッシュ。そのハイテンションに気持ちが昂ぶる。
浮き足立った気分のまま過ごした3泊4日は、あっという間に過ぎて行った。
そして、クロアチアのザグレブへ。
トルコの喧噪からは一転し、静かで落ち着いた雰囲気。
チャーミングで洗練された、ヨーロッパ的な街並み。
ただ、いわゆるヨーロッパにあるような歴史の重みを感じさせる建物はあまりなく、どれも新しい。それは戦争のせい?
一日あれば見てまわれる小ぶりな街は、あくせくすることなく、のんびり過ごせる。
街なかでは多くの日本人観光客と遭遇。
ドゥブロブニクなど、いまクロアチアはちょっとしたブームらしい。
カフェでくつろぎ、バスで1時間ほどの街、サモボルにケーキを食べに行き、散歩がてらに市場をひやかす。
都市のリゾートのようなザグレブで、ゆったり癒される。
3つめの都市、ボスニア・ヘルツェゴビナのサラエボへ。
当初、ここはモクラゴラへの通過点としか考えていなかった。
しかし、その思いは心地良く裏切られた。
ビルの壁には着弾の跡など、戦争の生々しい傷跡はあるが、それを忘れさせるほど楽しい街だった。
食事は、地球の歩き方で紹介されていた、市場の2階にあるレストランへ。
カウリスマキの映画に出てくるような哀愁がなんともいえない。
しょっぱい小ぶりなハンバーグのようなチェバブチチや、挽肉などをキャベツやブドウの葉で包んだドルマに大満足。
イスラム教、カトリック教、ユダヤ教、ギリシャ正教が共存する街は独特な雰囲気をもっている。
「戦争?ああ、あれはもう昔の話だよ」と語るボスニア人の青年がいた。
ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争が停戦となったのは1995年。
昔といえば、そうかもしれない。
サラエボから車でセルビアのモクラゴラへ、4時間ほどのドライブ。
途中、イヴォ・アンドリッチの小説「ドリナの橋」の舞台になった街、ヴィシェグラード(ここにもクストリッツァの映画セットが残されていた)に寄りながら国境を越え、セルビアへ。ほどなくしてモクラゴラに到着。クストリッツァの村でのんびり一泊。それはもう、夢のような体験だった。
アジア〜ヨーロッパ、イスラム、キリスト、ユダヤ。多様な文化が混濁したなかを往く10日間はあまりに豊穣でした。そんな素敵な旅をつくってくれた佐藤さんに感謝です。