2009-05-18

新型インフルエンザって?

「イタリアでは、新型インフルエンザの影響いかがですか」
このところ、しばしばご質問をいただきます。
今の段階で、日本とイタリアではかなり状況が異なるようです。

現役首相のプライベートなゴシップが過熱報道されたのは
記憶に新しいところですが、事このインフルエンザに
関してはありがたいことに(?)発生当初から一貫している
冷静な報道スタイルのおかげで、今のところ一般市民は
全くパニックに陥っていません。

現に、となり街で2週間ほど前にイタリア初の感染者が
確認されましたが、市民のオドロキや不安はものの2日。
その感染者も速やかに治療を終え、元気に自宅へ戻った
とローカルニュースで報じられ、一件落着です。

例えば今朝のトップニュースはフィアットとオペルの合併が
どうなるか、欧州議会選挙の行方、インテル2009王者、
スリランカ情勢などです。インフルエンザのイの字も無い・・。

お国柄、気質、メンタリティ。
天気予報がしょっちゅうはずれる。
ストが決行されて交通がマヒする。
予定はあくまで予定であって、決定ではない。
起こるかもしれないけど起こらないかもしれないことは
起こった時にその善処を考えよう。
新型インフルエンザについても同様のスタンスのようです。

北部と南部の気質の違いはあるものの
生まれた時からこのような環境の中で
処世術を学んでゆくのが大半のイタリア人。
時にステレオタイプにルーズな面が強調される
その国民性ですが、ここぞという時の融通性や
問題解決能力にはしばしば舌を巻きます。

ちなみにイタリアでは、冬でも風邪予防にマスクを
着用する人はほとんどみかけません。
結果、マスク着用者は<すでに病人>であると見なされて
しまい、残念ながら誤解を与えることもあります。
また、今はポプラの花粉が雪のようにたくさん舞う季節ですが、
アレルギー防止用マスクを用いる人も殆どいません。
抗アレルギー内服薬は現に売れているし、くしゃみをする人
もたくさん見かけますが、マスクはNGなのです・・。

北半球ではこれから夏へ向かい、
ヴァカンスシーズン到来。
旅立ちに病の不安が伴うのはとても嫌なものです。
世界的に一日も早い安静化と終息が望まれるところです。
続きがあります

2009-05-16

リラックス&リフレッシュ ~トスカーナ州マレンマで~

旅行業界に身を置くこと早20余年。
かつて私にとって夏といえば残業後仲間とビールで一杯が
ささやかな楽しみで、連日の激務に打ち勝つべく
リザーブしてある冷えた栄養ドリンクを毎朝ぐいとひっかけ、
休みといえばここぞエネルギー補給日とひたすら
<眠り溜め>していた不健康な記憶がある。

コレはやはり性格の問題か、
イタリアでも日頃はやはり公私のバタバタに追われているが、
ひとたび休日やヴァカンスとなると、その過ごし方が
ずいぶん健康的になったのは幸せな限り。

5月初旬、トスカーナ州南西部マレンマ地方で
4日間の休暇を過ごした。
梅雨のないイタリアでは、復活祭前後から三寒四温を
何度か繰り返したのち、樹々の枝葉があっという間に
ぐんぐん伸びて、陽光まぶしい初夏が突然やってくる。
この休暇中も半袖で過ごしても良さそうな陽気に恵まれた。

サトゥル二ア温泉に程近いホテルで3連泊。
部屋から丘陵地帯の果てしない緑が望め、
それだけで心がふわっとリラックス。 

null

直感に従っての冒険的行動、その結果がどう出るか、
というのが旅の愉快のひとつ。
初日、9時半をすでに回った頃付近の小さなボルゴへ夕食に。
唯一開いていたトラットリア。
「Passaparolaパッサパローラ(クチコミ)」という名もいい。
ジビエ料理やラルドをのせた前菜も美味しかったけど、
クリームリコッタのデザートが絶品。

null

そして何より気に入ったのが、マレンマの誇る
銘赤ワイン「モッレリーノ・ディ・スカンサーノ」。

翌日はマレンマの葡萄畑をぬって車を走らせ、
自然保護区「モンテ・デッルッチェリーナ」へ。
彼方に海を望みながら数時間のハイキング。

null

厳しい西日にあたりが染まる頃、
道を何度も引き返したり迷ったりしながら、
前日巡りあったワインを栽培生産する農家へ向かう。

2007年に初めてヴェンデンミア(収穫祭)を祝ったばかり
という若い畑。栽培談義やワイン誕生までの話を
気さくに語ってくれるご主人と心からうち溶ける。

null

精魂込めてぶどうを育て、収穫し、作り上げた
その手からテイスティングワインが注がれる感激。

温泉(テルメ)へも行ってさらにリラックス、
毎日海山の幸をたらふくいただいて、
朝食後のひとときにはゆっくりと新聞を読んでから
旅絵日記帳にスケッチも描けた。

しかし。
悲しいかな、終わらぬヴァカンスはない。
しばらくサヨウナラだ。

null

次回まで、この初夏の日々を
ウシのごとく涙目で(?)咀嚼反芻することにしよう・・・。