2006-03-19

パームコーブ Part three

ケアンズに2年も住んでいると、あの田舎町でさえ満足できなくなり、
もっとのんびり癒される場所を求めてしまうのは私だけではないだろう。
ケアンズでは、車で30分走れば、大自然のパラダイスが広がっている。

パームコーブに住もうと思ったのは、更なる癒しを求めてのことだった。
どうせなら究極の癒しを体験しようと半年契約でアパートメントを借りた。
ノボテルホテルのゴルフ場に隣接した白亜の建物で、熱帯雨林の庭がある。
毎朝、鳥の声で目が覚め、バルコニーへ出るとクッカバラやロリキートなどの
人間を恐れることを知らない鳥達が、餌を求めて近くまでやって来る。

パームコーブ

ビーチ沿いのカフェやレストランは賑やかすぎること無く、そうかと言って
寂しすぎることも無く、ほどよい心地よさを作ってくれている。
そう、パームコーブは「丁度よい居心地の良さ」を持つ場所なのである。
ケアンズは活動派に向き、ここより北のリゾートはもっと自然派に向く。

パームコーブには、ホテル、レストラン、ブティック、ビーチ、ゴルフ場、動物園、
各種ツアーなど、のどかながら何でも揃っており、滞在者は困ることがない。
強いて困るとすれば、全ての料金がちょっと高めであることかも知れない。
ツアーに参加するにしてもケアンズ発着が基本となり特別料金が必要である。
しかし反って全ての料金が高いゆえ、必然的にバックパッカー風の旅行者や
ティーンエージャーなどの若者達は排除され、落ち着いた大人のリゾートに
なっているのが魅力でもあり、ケアンズ近辺では珍しい場所とも言える。

その中でもゴルフだけは別だ。
ノボテルパームコーブゴルフコースは、10ホールしかないから料金も安く、
初心者向けで、カップルでも気軽にプレイを楽しむことができる。
よく短パン、スニーカー姿の親子がゴルフを楽しんでいる姿を見かけた。
何といってもうれしいのが、前にも後ろにも人影が全く見えない程のんびり
としたゴルフ場で、途中、ヤシの木が風にそよぐ音しか聞こえない時もある。
パームコーブからゴルフデビューした人が、日本の規則正しく慌ただしい
ゴルフを体験して、全く違うスポーツのようだと嘆いていたのを思い出す。

The End

パームコーブ

2006-03-13

パームコーブ Part two

パームコーブは、その名の通り海岸ではいつも椰子が潮風になびいている。
しかし、海岸通りではそれ以上にユーカリの巨木が目立つ。
中には数十メートル以上のものもありパームコーブ改め “ユーカリコーブ”
と名付けられていても、ここを訪れた旅行者で疑問を抱く人はいないだろう。

ユーカリの中でもパームコーブにあるものは「メラルーカ」という種類で、
この木の特徴は、季節によって幹の皮がぼろぼろに剥がれ落ちる。
つまりこれは成長の証しなのだが、最初に見た時は、虫に食われて病気に
でもなっているのかと思ったほど、その姿は異様に見えた。
ケアンズにサイクロンが上陸した日にはバサバサと音を立てて宙を舞っており、
翌日のパームコーブの荒れ様は、凄まじいものであった。

palmcove palmcove

パームコーブの建物は、ユーカリに合わせたデザインがほどこされているので、
木の成長に合わせて、数年ごとにリノベーションが必要だと言われている。

ケアンズの北部には数々のビーチリゾートがあるが、壮観なユーカリの並木は、
このパームコーブでしか見ることはできない。

エステなど最高級のヒーリングスタイルが揃ったパームコーブにおいてユーカ
リの飛散した成分や香りは、何よりも最高の癒し効果となっているに違いない。

Part threeへつづく

palmcove

2006-03-08

パームコーブ Part one

オーストラリアは日本人ハネムーナーに人気だ。
数年前はシドニーを中心とした東海岸周遊旅行がパターンだったが、
今や軸は、大陸北部のケアンズが中心となっている。

ただ私が思うに、ケアンズはあまりにも活動的過ぎて賑やかいので、
二人だけの甘~いひと時を過ごしたい人には、北部のビーチリゾートへ
エスケープされることをお勧めする。
中でも比較的メジャーなパームコーブリゾートが、今は旬かも知れない。

ケアンズから70km北へ。
幾度かランドアバウトを通過し、そのロマンチックなビーチリゾートに着く。
ここパームコーブはヨーロッパからの観光客やハネムーナーに人気が高く、
それに注目した大手ホテルチェーンがこぞって開発を始め、最近では、
高級なホテルやレストランが沢山建設された。
各ホテルでのスパ&エステが有名で、ケアンズからのツアーも出ており、
オーストラリア産の塩や泥を使ったマッサージやホットストーンヒーリング
など、男女問わず大人気となっている。

スパは、海辺に設置されているホテルや、オーシャンフロントの部屋の
バルコニーに設置されている所もあり、波の音を聞きながらくつろげる。

私のお気に入りの海辺のレストランは、松明が焚かれ南国そのものだ。
オープンエアで汗びっしょりになってモダンシーフード料理を賞味した後、
すぐに戻れる部屋が確保され、汗だくになった体を清めるべく、スパへ
直行できる環境が揃っていればサウナ以上に爽快な気分になる。
スパから月を眺め、椰子のそよぐ音を聞きながら眠くなるまでワインを飲もう。

ケアンズ旅行を計画される日本人のカップルにぜひ訪れてもらいたい逸所だ。

Part twoへつづく

palmcove

2006-03-02

シドニー マルディグラの男

3月4日は、シドニーが最も盛り上がる日だ。
世界で最も盛大なゲイの祭典マルディグラが行われる日なのだ。

私はマルディグラが来ると、ある男のことを思い出す。
その彼は、ある日、私が働いていた会社に面接にやってきた。
旅行業界の経験は無かったが、オージーと結婚して永住権を取得して
いたので、会社としては、そのことを重視して採用することになった。

物静かな彼は、冷静沈着で落ち着いた仕事運びをすることで、
皆から信用を勝ち得、日を重ねるごとに、会社にとけこんでいったが、
どんなに仲良くなっても、妻のことだけは、全く口にすることが無かった。
普段、会社ではプライベートをあまり語りたがらないオージーも多いが、
バーベキューパーティーなどには、妻や恋人を同伴することは珍しいこと
ではなく、各自進んで紹介し合ったりするのだが、そういう場であっても
全く乗って来なかったので、私は益々不思議に思った。

マルディグラの日、その秘密は明かされることになった。
マルディグラのメインイベントであるゲイパレードを見学していたところ、
ゲイ達に混ざって、彼が行進してきたのだ。
いつもの物静かな彼とは打って変わって、超気持ちイー!と体全体で
表現しているような、天を突き抜ける程のテンションが満ち溢れていた。
もちろん、予定通り、翌日から二日間、彼は会社を欠勤した。
この国では、仕事より大きなイベントが優先されるのは当たり前の事なのだ。

彼はフェスティバルで私に出会してから、今まで以上に心を開いてくれ、
私の疑問に素直に答えてくれた。

彼の永住権はオージー男性との事実婚の上に取得したものだった。

オーストラリアの特権?を利用?して見事?永住者となった彼はその後、
旅行業で才能をフルに発揮して、日本の大手旅行会社を経て、英国の
大手旅行会社へとキャリアアップを重ねた。
そして、二年前、オーストラリアロト宝くじで当てた数百万ドルを元手に
家を購入し、会社も辞め、若くして半隠居のような生活をしているらしい。

これは、典型的なオーストラリアンスタイルを貫いている日本人の話である。

人生っていろいろだな~と思った。

シドニー