2006-01-31

調子が悪いと思ったら、、

ドイツ、ゲルマン民族はローマ人が高い文化を持ち北進する頃、
森の中で生活していた。そのため今現在もドイツ各地森林が保護され、
森と自然を愛する国民として知られている。
ただ、19世紀欧州全体が工業化に向かう中、ドイツは常に化学薬品業界を
率先、ドイツ3大化学薬品工業会社といわれる、BASF、バイエル、
ヘキスト(現在は吸収合併のため社名変更、現存せず) は有名。
米国 ファイザー社ももとはドイツ青年が米国に渡り起こした会社。
そんな化学工業国でもある。

そんな国にいながらドイツ人、化学成分が配合された薬を嫌う。
やはり自然を愛する国民なのだろうか。
簡単に日本のように薬が手にはいらず、アポテーケ(APOTHEKE)と呼ばれる
薬局で、医師の処方箋がないと手にはいらないという素人判断を阻止する
システムが確立されており、
ドイツ人自身も、自己管理能力が高いのか、薬の使用上の注意は
全て目を通し、特に考えられる副作用などには厳重に注意する、
懐疑的な国民気質もあると思う。

日本で冬になるとお目みえする、風邪薬のCMもない。
(季節感が感じられないCMもまた淋しいものだが、、)
だいたい、薬のCMが少ない。
最近では、医師の処方箋がなくとも、アスピリン、下剤、せきどめ、
などは簡単に薬局で購入できるが、それでも自然成分配合にほとんどと
限られている。

風邪薬もないし、胃腸薬もない。オロナミンCなどの栄養補給飲料もない。
では調子が悪いなと思った時に、どうしているのだろうか、、
そう、ここではハーブティーが、民間薬として活躍する。
日本の漢方薬のように、古くからその薬効が研究され認められ、
薬を飲む前にまずは、ハーブティーを試す人が多い。
薬をむやみに出す医者は、よくないという観念もあり、
小児科でも、薬のかわりにハーブティーを利用した、
自然療法を推められることも多い。

お茶の値段も1パック、150円から400円ととても手頃で、薬局、スーパーで簡単に手にはいる。

日本でもハーブテイーが最近普及しているようだが、リラックス効果以外の薬効
を知り、上手に利用できればまさに健康ライフ、それもまた楽しいと思う。
旅先で、ちょっと調子が悪い時、でも医者へ行く程でもない、常備薬は持ってこなかった、薬局で症状がうまく伝えられない、、という時にも、お勧めである。

〈薬効〉
●ペパーミント茶 (Pfefferminzetee) →
胃の疲れ、胃もたれするような時に、是非。清涼感があり血液循環も促進。
●ウイキョウ茶 (Fencheltee)→
下痢気味の時にお勧め。子供や赤ちゃんがお腹を下し ている時、お腹に
ガスがたまる時にもまず、最初にこのお茶を与る程、子供のいる家庭では
常備茶。
●カモミール茶 (Kamilletee)→
体内の炎症、痛みをやわらげる効果あり。胃腸の調子が悪い時、下痢
気味の時にもお勧め。
●タンポポ茶( Loewenzahntee)→ むくんだ時、利尿作用あり。
●オトギリソウ茶 (Johanniskrauttee)→
精神を安定させ、気持を穏やかにする。安眠にも効果的。
●シナノキの花 茶 (Lindenblutentee)→
咳を鎮め、発熱時など、発汗を促す。
●ローズヒップ茶 (Hagebuttentee) →
酸味の強いお茶で、喉の乾きを潤し、リフレッシュ
などなど、、

また各種ハーブを配合し、症状にあったブレンド茶も販売されている。

●風邪 (Erkaeltungstee) → 様々な風邪の症状を和らげる
●せきと気管支 (Husten-und Bronchialtee)→ 咳止め、喉の炎症をやわらげる。
●便秘 (Abfuehrtee)→ お通じを促す。
● 胃腸 (Magen -Darmtee)→胃腸が不調、満腹感、胃もたれ時に
● 安眠、安静 (Schlaf und Nerventee)→ 神経がたかぶる時、精神安定の効果
● 母乳のお茶(Stilltee)→ 授乳中のお母さん用、効果大。

なお、上記は化学薬品は一切混合されていない、純粋なお茶なので安心。

熱いお湯にティーパックを入れ、10分ぐらいそのままにして、じっくりと
お茶の成分を出す。
ちなみに緑茶の習慣のせいか、私は10分も待っていられず、色がついたら
さっさとティーパックを取り出し、何度もティーパックを利用して
ドイツ人に驚かれている。
お茶の効用は、何度も利用すると薄れるのだとか??
ティーバックも2回目以降、やぶれやすい。


昔よく風邪薬、胃腸薬、栄養ドリンクにお世話になったが、こちらにきてから
常に上記のお茶は常備するようになった。
体に優しい昔ながらの民間薬、是非お試し頂きたい。
また手軽なドイツみやげにもなることだろう。
ただ、即効性はなく、2ー3日飲料が必要。
私がいうまでもないが、インフルエンザや重い症状の場合には、もちろん
化学薬品の力に頼った方がいい。

また、Figur -Fitとか、Dietとか書かれた、ハーブブレンド茶もあり、
空腹をやわらげ、新陳代謝をよくし、ダイエットに効果があるとか、、、
もちろん私の常備茶。でもこちらは残念ながら今現在も効果が全く出ておらず

薬局でハーブを処方にそってブレンドしてもらい、そこに45度の
アルコールを混ぜ1か月おき、万能薬として常備している人もいる。
味は、そう、祖母が昔良く飲んでいた日本の養命酒に似ている。

いずれにせよ、現代の化学薬品だけにたよらず、昔から伝わる自然療法を
うまくとりいれ、健康に暮らしたいと願うこのごろである。
authornakajima  linkLink   
category食と飲  time19:13

2006-01-09

華麗なる都、ウィーン

以前、オーストラリアへ母を連れて旅した時、
オーストリアからやってきた父子と知り合った。
”私はオーストリアからやってきました。
でも、僕達の国にはコアラはいません”
と英語で書かれたTシャツを来て旅する明朗な親子だった。

そう, よく、オーストラリアに混同されたり、
ドイツ語が公用語のためドイツの小国のように思われている、オーストリア。
でもドイツ語で国名では、エスターライヒ。
東の国と言う意味を持つ。
その名の通り、欧州の東に栄えた独自の文化と歴史を持つ輝かしい国。
スイスよりも、アルプス面積が広く、美しく雄大な自然も残る国。
近年では東欧の玄関口として大きな役割を果たしてきた。
数々の欧州の都市の中で、私が最もヨーロッパを感じる都市が
その首都 ウィーンである。

スイスの単なる領主だったハプスブルグ家が、その無名な家柄を上にたて、
影から操ろうとした貴族たちによって、神聖ローマ帝国の皇帝に選ばれた
ことから歴史がはじまる。
そして、その無力だったその一家が、600年にわたり君臨し続け、
築き上げたのがオーストリア。
他国では領土、権力争いが続く中世の欧州の中で、市民の血を流すことなく
力を、富を 、文化を築き上げていく。子を他欧州王家へ嫁がせ
婚姻関係をつくり、国を守り、勢力を広げていったのだ。
ベルサイユのバラでも有名な、マリー
アントワネットのご実家でもある。
政略結婚政策を汚い手口ととやかく言う人も多いが、市民を犠牲にしなかった、戦うことを手段として選ばなかった、この欧州名門貴族家には敬服したい。

私にとっても思い出深い町。
初海外、初添乗ブダぺストの後、ウイーンへ立ち寄った。
両替所を探すがみつからず英語も通じず、雨の中おろおろしていると、
通りがかりの人が、傘を差し向け助けてくれた。

社会的地位の高いお客様だったにもかかわらず、女の添乗員なんて、、と
ホテルロビーで怒鳴られたこともある。どうやら女性と遊べる場所へ行きたい
らしい。今ならうまく、軽く対応できるが、当時まだ20代そこそこ。
泣きながらホテルのコンシェルジェに助けを求めると、心から同情し、、
女性と遊べる店のパンフレットをどこからか集め、そっと渡してくれた。

ツアー中、自由行動していたご年配の女性1名が戻らない。
夜には飛行機で出発予定。探しても探してもみつからない。
最後の手段、、ウイーン中心地の地下鉄駅で日本語のアナウンスをさせてほしいと頼み込んだ。よほど気の毒に思ったのか、特別にアナウンス室をいれてくれ、
日本語で放送させてくれた。
困ったことが数多く起こった町だけれど、ドイツ語も当時話せなかったけれど
オーストリアの人々の優しさにいつも助けられてきた。
20年前オーストラリアで知りあった父子とも、いまだに交流が続いている。

大晦日から新年にかけて、ワルツを踊る皇帝舞踊会や、
小澤征爾氏が2002年始めて日本人として指揮をとった
ニューイヤーコンサートなどを始め楽しむ人々でにぎわう。
市全体がコンサート会場の様になり新年を盛大に華やかに祝うイベントが続き、
ホテルも一杯になる。
音楽で年が終り、音楽で年が幕開けする、まさに音楽の都。
ドイツナチスの時代、ドイツにむりやり組み入れられたオーストリア。
ドイツに侵入されても、オーストリア人の心と文化は生きている事の証として
1939年に開催されはじめたのがこのニューイヤーコンサート。
いつの時にも、大国には屈折しないという秘めたオーストリア人の誇りなのだ。

ニューイヤーコンサートでは、ほとんどが、美しく青きドナウで有名な
ヨハン シュトラウス親子のワルツが華麗に奏でられる。
チケット販売は、毎年その年の1月。楽友協会へネットで申込み、
注文が世界中から殺到し、抽選で選別される入手困難なチケット。
でも、テレビ生放送やCDで、耳にする音は、心地よく
優雅で軽やかなワルツのリズムは、心まで明るくなり、新年への希望へと
つなげることができる。
日本人音楽家も欧州でたくさん活躍されているが、話しによると、このワルツ
テンポのとり方、合わせ方など演奏は日本人にとっては難しいらしい。
私も、一度ウィンナーワルツのダンスステップを習ったことがあるが、
同じくテンポ、感覚を掴むのにとても苦労し、優美どころか、足を踏んだり
踏まれたり体を振り回されて終り、挫折した。
もともと、ウイーンの人々にはその感性が備わっているのだろう。
この軽やかで優雅で華やかな平和的なリズムとメロディー 。
争いを好まなかったハプスブルグ家の心が国民に今もなお生きているのだと思う。

ベートーベンやモーツアルトを始めとする音楽家が数多く保護され活躍した町。
今でもそこだけは、時がゆっくりと流れ、歴史が残した音楽と芸術に
囲まれながら、日々が楽しめる。カフェにゆったりと座っているだけでそれが
感じられる華麗なる都。
芸術的な才能が何もない私のような凡人でも、いつの時でも優しく迎え、
きどることなく時を越えた世界へと案内してくれる。

今年はモーツアルト生誕250年。
各地さらなる多くの催しが予定されており
ドイツで開催されるワールドカップ同様、是非注目したい国、都市である。
authornakajima  linkLink  comment0 
category隣の国  time18:59