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今年、イタリアではふたつの新しいユネスコ世界遺産登録がありました。
そのうちのひとつ『メディチ家のヴィラと庭園』Ville e Giardini Medicei に
テーマを絞って、新連載をスタートさせます。
日本でも浸透しつつある「ヴィラ」とは、別荘の意味合いです。
イタリア語により近い発音ですと、
単数形は「ヴィッラ villa」、複数形は「ヴィッレ ville」になります。
ルネサンス期、フィレンツェ貴族のメディチ家は、郊外に邸宅を構え、
併せて庭園を造るという新しいライフスタイルを導入しました。
前回のトスカーナ小都市の連載では、
主に中世の時代が色濃く残る街並みが対象でしたが、
今回はそのあとの時代、ルネサンス以降に移ります。
私は学生のときに縁があって、これらメディチ家の庭園を
いくつか訪問したことがあります。
その時は正直まだ、建築の学生でしたから、
山ほどあるイタリアの名建築や美しい広場を見るのが精いっぱいで、
庭園というものへの興味が薄かったように思います。
ですが、当時すでにイタリアの南から北まで旅をして、
いろんな都市を見てきた経験をもっていた私は、こう思ったんです。
「なぜフィレンツェの郊外には、いくつもヴィラや庭園があるのだろう」と。
なんだかずっと気になる存在でした。
ですから今年、ユネスコの世界遺産登録されたことを受けて、
おおっ! と思ったわけです。
当時は想像だにしなかったわけですが、
偶然にもまだ私は、このあたりに住んでいるではないですか!!!
この機会にこのテーマを掘り下げるしかない、と思ったのです。
そして並行して、この連載を始めることにしました。
イタリアの庭園を訪れる日本人は、欧米人に比べて
まだまだ圧倒的に少ないと感じています。
庭園といいますと、今の日本では園芸や農学の方が
第一人者となる領域でしょうか?
けれども、イタリア・ルネサンスの庭園を主導していったのは建築家です。
このころ、時代を変える建築家、というのが出てくるんですね。
「建築家に何ができるか、と悩む若きアーキテクトたちよ、
ルネサンスを勉強せよ!」とつい胸が熱くなってきます。
とにもかくにも、これらメディチ家のヴィラや庭園が、
その後のヨーロッパ庭園史を発展させる大きな機動力を
もっていたことは確かなようです。
連載初回、ボーボリ庭園からスタートします!☆
連載『メディチ家のヴィラと庭園』
第1回 ボーボリ庭園 Giardino di Boboli
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続きの号はこちらから。
2013-10-16
新連載『メディチ家のヴィラと庭園』Ville e Giardini Medicei
今年、イタリアではふたつの新しいユネスコ世界遺産登録がありました。
そのうちのひとつ『メディチ家のヴィラと庭園』Ville e Giardini Medicei に
テーマを絞って、新連載をスタートさせます。
日本でも浸透しつつある「ヴィラ」とは、別荘の意味合いです。
イタリア語により近い発音ですと、
単数形は「ヴィッラ villa」、複数形は「ヴィッレ ville」になります。
ルネサンス期、フィレンツェ貴族のメディチ家は、郊外に邸宅を構え、
併せて庭園を造るという新しいライフスタイルを導入しました。
前回のトスカーナ小都市の連載では、
主に中世の時代が色濃く残る街並みが対象でしたが、
今回はそのあとの時代、ルネサンス以降に移ります。
私は学生のときに縁があって、これらメディチ家の庭園を
いくつか訪問したことがあります。
その時は正直まだ、建築の学生でしたから、
山ほどあるイタリアの名建築や美しい広場を見るのが精いっぱいで、
庭園というものへの興味が薄かったように思います。
ですが、当時すでにイタリアの南から北まで旅をして、
いろんな都市を見てきた経験をもっていた私は、こう思ったんです。
「なぜフィレンツェの郊外には、いくつもヴィラや庭園があるのだろう」と。
なんだかずっと気になる存在でした。
ですから今年、ユネスコの世界遺産登録されたことを受けて、
おおっ! と思ったわけです。
当時は想像だにしなかったわけですが、
偶然にもまだ私は、このあたりに住んでいるではないですか!!!
この機会にこのテーマを掘り下げるしかない、と思ったのです。
そして並行して、この連載を始めることにしました。
イタリアの庭園を訪れる日本人は、欧米人に比べて
まだまだ圧倒的に少ないと感じています。
庭園といいますと、今の日本では園芸や農学の方が
第一人者となる領域でしょうか?
けれども、イタリア・ルネサンスの庭園を主導していったのは建築家です。
このころ、時代を変える建築家、というのが出てくるんですね。
「建築家に何ができるか、と悩む若きアーキテクトたちよ、
ルネサンスを勉強せよ!」とつい胸が熱くなってきます。
とにもかくにも、これらメディチ家のヴィラや庭園が、
その後のヨーロッパ庭園史を発展させる大きな機動力を
もっていたことは確かなようです。
連載初回、ボーボリ庭園からスタートします!☆
連載『メディチ家のヴィラと庭園』
第1回 ボーボリ庭園 Giardino di Boboli
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