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2008-03-11

Ko1 焼き肉が恋しい

木枯らしの季節である。11月の下旬、寒さが身に凍みる頃になると、暖かい部屋で食べる焼き肉が恋しくなる。
「次の週末、焼き肉を食べに行こうか」 カミさんを誘ってみる。
「どこでご馳走してくれるの?」「もち、本場でさ」

2国間の規制緩和により、日本から韓国までの航空割引運賃が安くなり、プログラムチャーター便で、羽田空港から気軽に行けるようになったからである。海外に、焼き肉を食べに行くのは、ちょっと贅沢かな。世間には大きな声では言えないけどね。まあ、買い物のついでにと言う事で、ぼく達は週末にソウルに飛んで来たのだ。

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ホテルに到着後、ぼく達はすぐに着替え、明洞を北西に向かって歩き始めた。夕暮れの街角には屋台が建ち並び、東京の浅草に似た下町風情が続いている。曇り空からチラチラと細雪が降り、ビルの谷間からクリスマスソングが流れてくる。交差点には車が渋滞し、横断歩道を若い女性達が、わんさかわんさと元気良く歩いて行く。

ぼく達の目指す先は、馴染みの鍾路区鍾路6街の焼き肉レストラン「U」。その店の牛の骨付きカルビはマニアには有名である。雪の中をブラブラと歩き、ようやく店についた。体の底から冷え切っていたので、中から早く暖まりたい。店の中に入り、まずは定評のある味付き牛カルビ2人前を注文する。

日本人観光客のソウル到着初日の夕食は、殆どが甘辛味の牛カルビが多い。ぼく達も平均的日本人の仲間入りと言うわけだ。牛カルビといえば、お決まり三点セット。まずはサンチュ、玉ネギ、人参の生野菜。次に、キムチ、コチュジャン、生ニンニクの薬味。最後に甘辛タレの牛カルビが登場する。その味付け肉の香ばしさとコクのある食感は、何度食べても飽きがこない。ほかほかの焼き上がりを2人で取り合い、あっと言う間に平らげる。

「さあ、これからが本番!」
口直しのオーダーはセンカルビ。生の骨付きの新鮮な牛あばら肉である。見た目の鮮度で肉質が分かり、牛肉本来の旨みが味わえる。好みの焼き加減で、塩胡麻ダレをチョッと付け頬張る。甘みがジワッと口一杯に広がる。ウゥーム、流石だね。

「よし、次いこう」
次はコッドンシム。別名、花ロース。赤い花を連想させる特上の牛ロース肉である。肉全体が霜降りのこってり味で、ビーフスーテキ好きの一品。厚めにカットした肉の表面をジュッと焼き、レア気味に塩胡椒で食べる。噛めば噛む程、口の中に肉の甘みがジュワッと広がる。ほッ、これは絶品。

「締めは、アレしかないよね」
最後はもちろんアンシム。極上の牛ヒレ肉である。焼肉はくどいから苦手、刺身のほうが好き、という中高年の和食党にお奨めだ。ヒレ肉の表面をサッと焙り、店特選の醤油ダレで食べる。ムムッ、チョッと甘いかな。ぼくが、和醤油とワサビを注文。牛刺し風に試す。ウン!いける。サッパリした旨味とキレの良さに、夫婦そろって納得する。

翌日は、朝から明洞に買い物に出る。昼食は、庶民派のプルコギにする。プルコギは牛カルビと違い、手軽な焼き肉料理だ。韓国の一般家庭では、牛カルビは贅沢であまり食べない。日本でいえば、何かの記念日の松坂牛ステーキといったところか。

その点プルコギは日本のジンギスカン鍋と同様に安い。マトンを牛肉に替え、鍋の上で人参、ピーマン、もやし、タマネギ等と焼きあげる所謂、肉野菜炒めのイメージである。

その日の夕食は、目先を替えてデジ(豚)カルビ。
焼き肉といえば牛肉が常識であるが、韓国では豚肉も人気がある。済州島からの直送品がお奨め。肉質はやわらかく濃厚な味わいだ。ちょっと甘めの味付き豚カルビは、日本のポークチャップと一味違い、サンチュやゴマの葉で包むと意外とコリコリして美味い。

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ソウルには安くて美味い焼き肉レストランが多い。特にお奨めは、日本人観光客を見かけない地味な店。地元の焼き肉通で混みあう明るい店がよい。殆どの店が良心的である。何度も店に通ううちに友達もできるし、焼き肉専門店の女将、アジュマ達の笑顔で話す片言の日本語に、心の底まで暖かくなる。

美味いものと国際的な友情は大事にしたい。来年も家庭サービスを兼ね、是非カミさんとソウルを再訪したいものである。(続)

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