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2008-10-12

Ko12 “韓国宮廷料理” は如何ですか?

3年前の10月の韓国の首都ソウル。
仁川空港からの送迎車の助手席から、女性ガイドの金さんが振り返って、
「今晩の会食は、三清閣で韓国宮廷料理ですから、正装でお願い致します」

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明洞の街角

ホテルに向かう途中の明洞の街は昼下がりで、人通りは少なく、いつもよりは比較的に道はすいていた。

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明洞の街角2

三清閣は、戦前までは両班(ヤンバン)宮廷貴族が食事を楽しむ店であったが、バブル絶頂の一時期、日本の商社マン相手のキーセンパーティを楽しむ場所となった。その後、法律が改正になりその種の接待は禁止となり、現在は、昔日の李王朝時代の、伝統的韓国宮廷料理を供する高級料亭になったのである。

ぼくと妻は、ホテル新羅で着替えながら、商談の準備の為の書類を整える。今晩は正式の旅行会社間の送客の受委託契約を締結する調印の会合なのだ。ソウルまで夫婦連れで来たのは、世界の公式の場では夫婦同伴が常であり、宮廷風韓定食は、今時めずらしく、良い経験になるからね、と説得したのだった。

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イメージ(宗廟)

ホテルから、出迎えの黒塗りのヒュンデ(現代)車に乗り込み、静かな南山公園を下り、東大門の横を通り抜け、城北洞に向かう。三清閣は、古風な塗り壁が続き、李王朝風の重厚な門構えがこれぞ韓国貴族屋敷然としている。静謐な佇まいの高級料亭の前に車が止まった。

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イメージ(宗廟2)

料亭に入るとチマチョゴリの女将が出迎え、廊下には甘いお香の香りが漂っていた。別室で先に待っていた伴理事と令夫人に挨拶する。あらかじめ内容を伝えてあった契約書の最終確認と押捺を手早く済ませ、奥の客室に移り着席する。

目の前にはすでにあらかたの料理が並べられ、お手拭きとビールが運ばれてくる。伴理事の発声に合わせ、4人とも笑顔で乾杯する。

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イメージ(宮廷風韓定食)

まずは朝鮮人参に蜂蜜をつけてインサムククルを食べる。熱々の骨付きカルビ。8種類の野菜を巻く九節板。焼きイシモチ。真ん中には牛肉や椎茸のスープが入った神仙炉。橙色の卵の黄身が乗った新鮮な緋色のユッケ。涼やかなムルキムチ、等々。

熱いものと冷たいもの、韓国宮廷料理がなんと20品余り。最後は牛バラスープのカルビタン、朝鮮ニンジンとナツメの入った石焼きご飯でしめる。

現在、韓定食は3種類と言われているが、それぞれに奥深さを感じる。まず、宮廷風韓定食は賓客を迎える為にあらかじめ殆ど全品がテーブルに用意され、見た目にも美しく、古風で上品な味。

逆に、懐石風韓定食は現代的で、温冷感と味の濃淡に合わせた繊細な間と流れのコース料理。さらに、家庭風韓定食はテンジャンチゲと数種類の素朴なおかずをセットした庶民派のお袋の味だ。

美味いものには身分も時代も関係ない。我々夫婦の美食探訪の旅は、まだ当分続きそうである。(続)

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