2010-11-27

世界遺産韓国紀行 No.4 昌徳宮・秘苑

その日、我々夫婦は韓国の最も美しく秀麗な故宮の昌徳宮(チャンドックン)
と秘苑(ピオン)を訪れました。昌徳宮は1405年に、朝鮮王朝の正宮である
景福宮(キョンボックン)の離宮として建てられた宮殿です。

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敦化門

さて、敦化門は、昌徳宮の正門として1412年に最初に建てられました。現在の
敦化門は1609年に再建され、現存している宮殿の正門としては最古のものです。

その時代は戦争が多発、景福宮の宮殿も正門も焼失し、当時の国王は、景福宮が
戦火で使えなくなると、昌徳宮で政務を執り、生活を送りました。

その期間は270年にも及び、正宮である景福宮よりも長期間になりましたので、
昌徳宮と秘苑は今では当時の国王の生活色を一番濃く残しています。

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仁政殿

仁政殿は、王の即位式、臣下の朝礼、外国使臣の接見など、国の重要行事が
行なわれた場所で、昌徳宮の中では最も規模が大きい建造物です。

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仁政殿内装

仁政殿の内部装飾はかなり秀麗な感じで、内装にもその貫禄が感じられます。
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さて、昌徳宮といえば秘苑(ピウォン)が広く知られていますが、後苑(フウォン)
ともいいます。秘苑は昌徳宮の付属の庭園で、皇族たちの憩いの場でした。

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秘苑・宙合楼

300年の時間と労力をかけ作り上げた巨木と池の自然と、東屋などの施設が
調和をなしています。芙蓉池と芙蓉亭を初め、奥にはひっそりとした庭園が広が
ります。

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芙蓉池

四季折々にそれぞれの美しい姿を見せてくれる昌徳宮と秘苑は、繰り返し
訪れる価値があります。

昌徳宮と秘苑は、自然との調和のとれた配置が卓越した点から1997年に、
ユネスコ世界遺産に登録されました。(続)

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2010-11-16

世界遺産韓国紀行 No.3 海印寺

我々夫婦はその日、韓国の三宝寺刹の一つに数えられている伽倻山の海印寺(ヘインサ)を訪れました。

このお寺は世界遺産といえども、慶尚南道の山奥で交通が不便なこともあり、日本ではまだまだ知名度が低いようです。

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それでも、世界文化遺産に指定されている八万大蔵経(パルマンデェジャンギョン)が納められ世界遺産になった頃から有名になり、是非行ってみたい場所でした。

実際に現地入りすると、建造物を始め景色が素晴らしく、世界文化遺産に恥じないお寺でした。

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ガイドの説明では、八万大蔵経は西暦1236~1251年の間に作られた木版本で、
当時モンゴルの侵入から国を守ろうと祈願して作られたものだそうです。

もともとは、1011年から1087年にかけ作られたものですが、1232年に焼失、
その後また復興させたとのことです。

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説明資料によると、八万大蔵経は仏教の経典を版木に刻んだ木版印刷用の板で、
八万枚以上にも及ぶ膨大な量が残されています。そもそも大蔵経とは、仏教の経典
をすべて経版にしたもので、その版数は約8万枚、本にすると約7千冊にもなります。

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大蔵経が保管されているのが蔵経版殿ですが、この建物も世界文化遺産に指定
されています。この蔵経版殿もまた古く、創建年度は明らかではないのですが、
朝鮮王朝初期の1488年頃ではないかといわれています。蔵経版殿は4棟あり、
その建築様式が非常に優れているといわれています。

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大蔵経を保管する為に、湿度と風通しが自然に調節されるように建てられています。

もともと土質のよいところに、炭、石灰、粘土などを加え、湿気の多い時期には湿気
を吸収して、乾燥する時期には適度な湿度を保つようにしてあります。

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ユネスコ世界遺産では、1995年の12月に、韓国としては初めて、海印寺と
大蔵経板殿を世界的な文化遺産であると認定しました。極東アジアの宗教的
建築物と仏教経典保存の側面において卓越した事例であると評価しています。(続)

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2010-11-03

世界遺産韓国紀行 No.2 宗廟

我々夫婦は翌日、東大邸からセマウル号に乗り、ソウル中央駅に到着後、世界文化遺産の宗廟を訪ねました。今回ご紹介いたします宗廟は、仏国寺と共に韓国で世界文化遺産に最初に登録された首都にある歴史的な建造物です。

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宗廟正門

宗廟は地味ですが、韓国ソウル特別市に所在する朝鮮王朝の祖先を祭る歴史的建造物です。平たく言えば、朝鮮王朝が歴代国王と王妃、そして追尊された王と王妃の位牌を祈り、祭祀を執り行った場所です。

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正殿左端

いよいよこれから登場するのが、韓国の誇る世界文化遺産、宗廟の正殿(韓国語でチョンミョのチョンジョン)です。代々増築を重ねて全長101mの長さにもなった、王族の位牌安置のための建物です。

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正殿左面

宗廟の主殿である正殿は、世界最大級の木造建築物で、その規模は世界でも最も大きいという話です。建物自体が華麗で装飾が施されていますが、横に細長く左右対称の建築で、地味ともいえる装飾には哲学的な儒教の教えが垣間見えます。

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正殿正面

正殿には、太祖李成桂と第3代太宗、第4代世宗大王など功績のあった国王と王妃が祀られています。また正殿の西側には永寧殿もあり残りの王族、正殿の庭園前には功臣堂があり、功臣の霊牌が祀られています。

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正殿右端

16世紀末に壬辰倭乱(文祿の役)日本との戦争で焼失してしまい、光海君元年(1608年)に再建されました。現在、5万6千坪の敷地内に正殿、永寧殿、典祀庁、功臣堂などの建物が点在しています。

また宗廟は1395年に建てられて以降、毎年5月に全州李氏一族が集まる宗廟祭礼が行われています。この儀式は、世界無形文化遺産にも登録されています。

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宗廟祭礼(イメージ)

宗廟は、ユネスコ世界遺産からその建築的価値と共に、儀礼である宗廟祭礼の歴史的価値が評価されました。

さらに、その手順や供える飲食や祭器、楽器や装飾物、音楽や舞踊などが完璧な調和をなす文化的価値などが評価され、1995年12月に世界文化遺産に登録されました。(続)

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