2008-10-17

Ko14 “松茸カルビ焼き”は究極のグルメ!?

食欲の秋。
毎年10月下旬になると、カミさんと2人で韓国の首都ソウルを再訪する。いつものように、金浦空港からタクシーに乗り込み、東大門の朝市を目指す。途中、昌徳宮正門、宗廟など、ソウルの世界遺産を車窓から見ながら進む。

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昌徳宮正門
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宗廟中庭

東大門の入り口で、車を待たせたまま、人混みをかき分けすり抜け、食品売場に向かう。笑顔のアジュマから、朝もぎ松茸を五百グラム程買いつける。
準備よし。さあ、馴染みの焼き肉レストラン「R」に直行し、骨付き鮮(セン)カルビと一緒にてんこ盛りの網焼きにするのだ。

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イメージ(韓国産松茸)

本場ソウルの焼き肉といえば骨付きセンカルビが旨い。サンチュ、玉ネギ、人参等の生野菜が中皿に、キムチ、コチュジャン、生ニンニク等の薬味が、別々の小皿に付く。いつものように店長の姜さんにお願いし、持ち込みの松茸をザッと水洗いして、食べやすく細切りにしてもらう。最後に生肉の骨付きセンカルビが、大皿に盛られてくる。店の特製キムチをつまみに、まずは、OBビールで乾杯。

金網のセンカルビを中心に、薄切りの松茸を、円を描くように載せていく。焼き始めると肉汁の匂いに混じり、ほのかに松茸の香りが立ち上る。その食欲をそそる甘い香り。あァ、たまらん。待ちきれない。

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イメージ(骨付き鮮カルビ)

ガバッ、松茸と共に焼きたての肉を、口いっぱいに頬張る。ハフッ、ハフッ。
柔らかな食感。コクのある甘辛の喉ごし。ああ絶品。
「生きてて良かったーッ」
カミさんとぼくの笑顔、笑顔。フーッ、と持ち込みの松茸を食べ尽くし一息いれる。至福の時が流れる。

ウームッ、松茸と骨付きカルビだけでは物足りないな。姜さんに、取って置きのコッドンシムをお願いする。俗名、花ロース。厚めにカットした霜降り牛肉の表面をサッと焙り、レア気味のまま塩胡椒で食べる。噛めば噛む程、肉汁の甘みがジワッと広がる。サッパリした塩味とキレの良さに、美味すぎて目尻が下がる。一瞬、夫婦の会話が止まる。

美味いものに国境はない。人生で一番大切なものは、美食の旅とカミさんの笑顔。我々の夫婦仲はグルメ旅行が続く限り永遠?少なくとも今はそう願いたい。グルメタウンソウルへの旅は、終わりのない旅である。(完)

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2008-10-13

Ko13 “懐石風韓定食”・・・いいですね♪

5月中旬のソウル。
ぼく達は半年ぶりに韓国を再訪した。今日は、青空が澄み渡り、漢江の川風が爽やかで心地良い。空港からの車の中で、取引先の韓(ハン)部長が笑顔で話しかけてきた。「今晩、韓国風懐石料理はいかがですか」

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ミョンドン

明洞に新しく、懐石料理を食べさせる店ができたらしい。いわゆる韓国宮廷料理ではなく日式でもない、韓式の懐石料理である。
「でも敷居が高そうね」
遠慮するカミさんに、せっかくのご好意だし良い経験だよ、と説得する。話がまとまったその夕方、出迎えの黒塗りの車に乗り込み、指定された料亭に向かった。

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ミョンドン2

賑やかな明洞の中心街を通り抜け、脇道を曲がる。門構えが普通の韓国民家のような、地味な佇まいの料亭の前に車が止まった。玄関から声が聞こえる。
「いらっしゃいませ、ようこそ、アンニョンハシムニカ」

上品なチマチョゴリ姿の女将が、笑顔で迎える。店に入ると静寂な香の匂いに包まれる。先に待っていたキム理事が挨拶し、予め注文していた懐石の先付料理とビールが出てくる。早稲田大学を卒業し、流暢な日本語を話すキム理事の発声に合わせ、4人で乾杯する。

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イメージ(韓定食)

まずは松茸とアワビのお粥。口取りに茹で豚の白菜巻。二つ物に8種類の野菜を巻く九節板と焼きいしもち。オイキムチに干し明太子。

次に、鮮やかな緑色ゴマの葉。鮮やかな緋色のユッケの上に橙色の卵の黄身。
涼やかな水キムチの中に純白のダイコンと赤トウガラシ。生唾も溢れだす味覚の連続。整然と並ぶ食器。食材が凛として気品があり色彩も美しい。

続けて、牛肉の串焼き。朝鮮人参と鶏肉、銀杏の茶碗蒸し。エイ、鮹、烏賊、平目の刺身。キノコの緑豆炒め、等々。

冷たいものはひんやりと、熱いものは熱々で、止めどなく出てくる韓国懐石料理がなんと18品。最後は豆腐チゲ、キムチ、白飯でしめる。

あらかじめ全品がテーブルに用意され、賓客を迎える韓国宮廷料理の「静」。それに相対し温冷感と味の濃淡、繊細な流れの韓国懐石料理の「間」と「動」。

美味いものに国境は無い。ぼく達夫婦のソウル通いは、まだまだ当分続きそうである。(続)

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2008-10-12

Ko12 “韓国宮廷料理” は如何ですか?

3年前の10月の韓国の首都ソウル。
仁川空港からの送迎車の助手席から、女性ガイドの金さんが振り返って、
「今晩の会食は、三清閣で韓国宮廷料理ですから、正装でお願い致します」

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明洞の街角

ホテルに向かう途中の明洞の街は昼下がりで、人通りは少なく、いつもよりは比較的に道はすいていた。

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明洞の街角2

三清閣は、戦前までは両班(ヤンバン)宮廷貴族が食事を楽しむ店であったが、バブル絶頂の一時期、日本の商社マン相手のキーセンパーティを楽しむ場所となった。その後、法律が改正になりその種の接待は禁止となり、現在は、昔日の李王朝時代の、伝統的韓国宮廷料理を供する高級料亭になったのである。

ぼくと妻は、ホテル新羅で着替えながら、商談の準備の為の書類を整える。今晩は正式の旅行会社間の送客の受委託契約を締結する調印の会合なのだ。ソウルまで夫婦連れで来たのは、世界の公式の場では夫婦同伴が常であり、宮廷風韓定食は、今時めずらしく、良い経験になるからね、と説得したのだった。

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イメージ(宗廟)

ホテルから、出迎えの黒塗りのヒュンデ(現代)車に乗り込み、静かな南山公園を下り、東大門の横を通り抜け、城北洞に向かう。三清閣は、古風な塗り壁が続き、李王朝風の重厚な門構えがこれぞ韓国貴族屋敷然としている。静謐な佇まいの高級料亭の前に車が止まった。

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イメージ(宗廟2)

料亭に入るとチマチョゴリの女将が出迎え、廊下には甘いお香の香りが漂っていた。別室で先に待っていた伴理事と令夫人に挨拶する。あらかじめ内容を伝えてあった契約書の最終確認と押捺を手早く済ませ、奥の客室に移り着席する。

目の前にはすでにあらかたの料理が並べられ、お手拭きとビールが運ばれてくる。伴理事の発声に合わせ、4人とも笑顔で乾杯する。

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イメージ(宮廷風韓定食)

まずは朝鮮人参に蜂蜜をつけてインサムククルを食べる。熱々の骨付きカルビ。8種類の野菜を巻く九節板。焼きイシモチ。真ん中には牛肉や椎茸のスープが入った神仙炉。橙色の卵の黄身が乗った新鮮な緋色のユッケ。涼やかなムルキムチ、等々。

熱いものと冷たいもの、韓国宮廷料理がなんと20品余り。最後は牛バラスープのカルビタン、朝鮮ニンジンとナツメの入った石焼きご飯でしめる。

現在、韓定食は3種類と言われているが、それぞれに奥深さを感じる。まず、宮廷風韓定食は賓客を迎える為にあらかじめ殆ど全品がテーブルに用意され、見た目にも美しく、古風で上品な味。

逆に、懐石風韓定食は現代的で、温冷感と味の濃淡に合わせた繊細な間と流れのコース料理。さらに、家庭風韓定食はテンジャンチゲと数種類の素朴なおかずをセットした庶民派のお袋の味だ。

美味いものには身分も時代も関係ない。我々夫婦の美食探訪の旅は、まだ当分続きそうである。(続)

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2008-10-04

Ko11 “海鮮チゲ”の美味しい季節になりました ♪

ヘムルチョンゴル“海鮮チゲ”始めました。
昨年の9月下旬、白(ベク)さんからのエアメールの挨拶状を読んだぼく達夫婦は、いてもたってもいられなくなり、週末の羽田空港発午後便でソウルに飛んだ。

金浦空港からソウル中心街に向かう車窓からは、夕暮れの梨花女子大前の煌びやかなウェディング・ブティックの窓明かりが見え隠れ、六本木に似たプラタナスの街路樹が続いている。寂しげな韓流の流行歌が流れ、低く垂れ込んだ曇り空から小雨が落ちてきた。

「海鮮チゲ、久しぶりだね」
「白さんに会うのも1年ぶりかな」
2年前の暮れも押し迫った頃、白さんの息子がフェリーの沈没事故で亡くなり、インチョンでの葬式に出席して以来である。

翌朝はカラッと晴れたので、久しぶりに世界遺産に指定された昌徳宮(チャンドックン)に立ち寄り、奥の秘苑(ピウォン)を散策する。

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昌徳宮(チャンドックン)

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秘苑(ピウォン)

昼食は、韓一会館で、韓定食を食べ、一休みした。

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韓一会館(ハンイルカイグアン)

午後は、腹ごなしに仁寺洞(インサドン)を散策した。骨董店、ブティック、喫茶店等をのぞき見しながら、秋のソウルの街並み、そぞろ歩きを楽しんだ。

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仁寺洞(インサドン)

夕方になり、夕闇が迫る中、ようやく鐘路(チョンノ)の白さんの店に到着。あいにく白さんは業者仲間の会合で外出とのことで、奥さんの金さんが、申し訳なさそうに謝る。
「仕方ないよ、予約なしで来たのだから」
「明日また来ますから」カミさんがフォローした。

気を取り直し、まずは、ヘムルチョンゴル(海鮮チゲ)デラックスを注文する。鍋の中身は、牛肉、ブラックタイガー、ワタリガニ、イカ、帆立、鱈の切り身、蛤、牡蠣等の魚介類と、白菜、ほうれん草、白ねぎ、しいたけ、しめじ、えのき等の野菜が山盛りの牛骨スープ味噌仕立てである。

「うーん、ぼくが鍋奉行をすると、日本の寄せ鍋風になっちゃうなあ」
でも、煮上がったスープを一口すすると、タデギ唐辛子の辛さがマイルドになっている。野菜や魚を目一杯加えることにより、唐辛子の辛さが柔らかく感じるようになるのだ。

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ヘムルチョンゴル(海鮮チゲ)

「スープもコクがあって、辛ウマ~~!」
魚介類とキムチ入り野菜と牛骨スープが三位一体となり、素朴な味ながらも奥が深い。究極の山海珍味のハーモニーだ。

「美味しいね、また来て良かったね」
牛骨海鮮スープを味わいながら、カミさんが笑顔で言う。ハングルと笑い声で騒々しい店の中、ぼく達だけは別世界で、特製牛骨海鮮スープにうっとりとしていた。グルメタウンソウル。食い倒れ夫婦の韓国ソウル通いは、まだまだ続きそうである。(続)

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