2008-10-30

Au3 エアーズ・ロック “ウルル” サンライズ登山

ホテルのベッドの枕元の目覚まし時計を見ると、明け方の4時30分過ぎ。カーテンをザーッと開け、窓越しに見る外はまだ真っ暗である。ホテルのフロントでの集合時刻は5時なので、先ずは洗面を済ませ、身支度を始めた。

ホテルのフロントで、朝食弁当の厚紙ボックスを受け取り、ロビーで観光バスを待つ。モーニング・パックの中を覗くと、ハム・チーズサンドにクロワッサン、チョコレート・バー、缶入りオレンジジュース、小振りの青リンゴが一つ入っている。

しばらくすると、送迎の大型観光バスがホテルのエントランスに横付けし、日本語ガイドの「かおりさん」がぼく達の名前を呼んだ。
「ハーイ!グッモーニング」
バスは走りはじめ砂漠とステップ草原の真っ直ぐな道路をひたすらエアーズ・ロックに向かって走る。

まだ日の出には大分時間がある。昨日の夕方は、エアーズ・ロック登山が出来ない程の強風が吹いている状況であったが、今日はどうだろうか、不安である。

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朝焼けのウルル

20分後、ウルル(エアーズ・ロック)のサンライズ・ビューポイントに到着、朝食を取りながら、朝焼けのウルルを鑑賞することになった。ビューポイント近くの駐車場は、朝焼けのウルル見物の観光客の車で、かなり埋まっていた。

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ウルル・ビューポイント

太陽が徐々に東の地平線から昇り始めているが、まだまだ寒く、摂氏2度。空気は透明で乾燥している。砂漠性気候なので、日照の無い朝晩は急激に冷え、防寒服が必要である。日中は、急激に暑くなり、Tシャツ1枚で十分であるのだが。

遙か彼方の東の地平線に太陽が昇って来ると、気温が徐々に上がってくる。朝食を食べ終えて、さあ、ウルル登山に行こう!ウルルはようやく眠りから覚めてぼく達を迎えてくれた。しかし、近づいていくと登山口には人影がない。

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ウルルの登山口

ゲゲーッ!なんと、今日も強風注意、登山禁止の立て札が柵の向こう側に横たわり、登山者の入山を拒否している。
日本語ガイドのかおりさんが、
「ごめんなさい。今日は残念ながら強風の為に登山禁止です。また明日、チャレンジしましょうね。」

残念、無念!我々はウルル登山をあきらめて、ウルルの麓めぐりツアーに切り替えることになった。麓めぐりツアーは、ウルルの岩陰を歩きながら、ムディジュル・ウォーターフィールドまで散策し、岩肌に描かれたアボリジニのロックアートなどを見る大自然体験ツアーである。

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アボリジニ・アート

次ぎに、見に行ったのは、気の遠くなる様な長い時間の中で、風と岩盤が残した自然のアート!岩と岩の間の小石が、長年の風により岩を削り海の波乗りのウエーブに似たロック・ウェーブを形作っている。

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ロック・ウェーブ

オージー大陸の自然満喫ツアーはまだまだ半ば。これから、バスに乗り、エアーズロックリゾートに戻る途中に、ウルル・カタジュタ・カルチュアルセンターにより、昼食。その後、一旦ホテルにもどり、暑さの厳しい午後は快適な部屋で一休みの予定である。

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オージー大型観光バス

涼しくなる夕方からは、砂漠の中をラクダに乗って、ウルルのサンセットを見に行く、自然体験ツアー「キャメル・エクスプレス」に挑戦するのだ。(続)

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2008-10-27

Au2 エアーズ・ロック “ウルル” サンセット七変化

午後になり、太陽が西の空に傾きはじめる頃、我々一行は20分程観光バスに乗り、カタ・ジュタ(マウント・オルガ)の風の谷から、ウルル(エアーズ・ロック)のサンセット展望台へと移動した。

遙か彼方にウルルを見晴るかす展望台の麓で、サービスワインを飲みながら観光ガイドからウルル(エアーズ・ロック)の成り立ちを聞き、坂を登りルックアウトに向かった。楽しみにしていたウルルのサンセット七変化が始まるのだ。

まだ夕焼けが始まったばかり。期待のサンセット七変化までは、時間があるので、人混みを避け、取りあえず記念写真を撮ることにした。

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ウルルでハッピー!?

突然、周りが騒がしくなり、ぼくは高校生らしい若いオージー達に囲まれた。
「ヘーイ!グッダイ!」
黒いランニング姿のオチャメな若者たちが、気軽に話しかけてくる。

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ハイスクール・オージー達とウルル

「グッデイ!ボーイズ」
「グッダイ、マイト!フエア アユーフロム? ジャパン?!」
「イエース、ジャパン!」
世界は一つ、人類は皆兄弟だよねーっ。仲良くしよーぜっ!なんちゃって。

ハイスクール・オージー達と盛り上がって、記念写真を撮り終えた後、
「シーユー、バーイ!」
と別れ、ウルル(エアーズ・ロック)のサンセットを見る展望台に向かった。暮れ始めた展望台は、すでに内外の観光客で、安全柵の前は人の波で埋まっていた。

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暮れていくウルル

太陽はすでに西の地平線に沈み、空気はひんやりと透明で、急激に冷えはじめている。遙か彼方の地平線にカタ・ジュタの黒い山影がくっきりと浮かんでいる。さあ、返ろうか。振り返るとウルルは眠りにつくように灰色に沈んでいた。

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眠りにつくウルル

ウルルの山影が黄色、オレンジ色から、赤に変わり、朱色からネズミ色、黒灰色から漆黒色と七変化していく。まさに太陽と大地とのコラボレーション、ビバ!オージーの大陸。大自然。明日はウルル登山に挑戦だーッ!(続)

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2008-10-24

Au1 マウント・オルガ “カタ・ジュタ” 風の谷

オーストラリア大陸の中心、広大なステップ地帯の真ん中に、世界で2番目に大きな一枚岩のウルル(エアーズ・ロック)があり、その約35km西隣に、カタ・ジュタ(マウント・オルガ)岩石群の一帯がある。

両者を併せたこの赤茶けた不毛の地域は、オーストラリア政府により「国立公園」に指定され、その高い価値からユネスコの世界自然遺産に指定されている。

去年の9月下旬、ぼくはエコツァー仲間の姪のマリと2人、2泊3日の予定で、「ウルル&カタ・ジュタ世界遺産の旅」現地ツアーに参加した。

日中はウルルとカタ・ジュタをトレッキング、夜は南半球の大空の星座を観察、大自然を2日半で満喫するスケジュールである。

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ウルル(エアーズ・ロック)

9月19日の朝、ぼく達は成田を出発、空路オーストラリア・クインズランド州のケアンズを経由、エアーズ・ロック空港に到着。エアーズ・ロック・リゾートまでは派手な塗装の大型観光バスに揺られ、30分余り走る。

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カタ・ジュタ(マウント・オルガ)


エアーズ・ロック・リゾートは超近代的ホテル群が建ち並ぶ砂漠の中のオアシス都市のようである。我々は、そのうちの一つ、デザート・ガーデンズ・ホテルに降り立った。ホテルの敷地内は広く箱形のコテージが建ち並び、ぼく達は予約していたイメージ通りの清潔な禁煙室に落ち着いた。

翌日、空は晴れ渡り、走ること約50分。先ず、カタ・ジュタ(マウント・オルガ)に向かった。砂漠とステップの間のハイウエイを走り抜けカタ・ジュタに近づくとその偉容な岩石群が紺碧の空に大きく横たわっていた。

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カタ・ジュタ(マウント・オルガ)

カタ・ジュタ風の谷の入り口で、ガイドから全体的なカタ・ジュタの創世紀時代の話を聞き、風の谷に向かった。ようやく楽しみにしていた南半球オーストラリア大陸の記念すべき第一歩のオージー・トレッキングが始まるのだ。

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風の谷の入り口

太陽は真上にキラキラと輝き、空気は透明で、乾燥している。砂利道を左奥へ進むと突然、目の前が開け風の谷の見晴台に出る。見晴台の上からは、遙かカタ・ジュタの岩石群が見渡せた。

風の谷の奥から強く吹いてくる風の音が絶え間なくゴォーッ!と地響きのように聞こえ、風の谷入り口で風が舞い、吹き抜けながら石の塊を震わせていた。(続)

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2008-10-17

Ko14 “松茸カルビ焼き”は究極のグルメ!?

食欲の秋。
毎年10月下旬になると、カミさんと2人で韓国の首都ソウルを再訪する。いつものように、金浦空港からタクシーに乗り込み、東大門の朝市を目指す。途中、昌徳宮正門、宗廟など、ソウルの世界遺産を車窓から見ながら進む。

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昌徳宮正門
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宗廟中庭

東大門の入り口で、車を待たせたまま、人混みをかき分けすり抜け、食品売場に向かう。笑顔のアジュマから、朝もぎ松茸を五百グラム程買いつける。
準備よし。さあ、馴染みの焼き肉レストラン「R」に直行し、骨付き鮮(セン)カルビと一緒にてんこ盛りの網焼きにするのだ。

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イメージ(韓国産松茸)

本場ソウルの焼き肉といえば骨付きセンカルビが旨い。サンチュ、玉ネギ、人参等の生野菜が中皿に、キムチ、コチュジャン、生ニンニク等の薬味が、別々の小皿に付く。いつものように店長の姜さんにお願いし、持ち込みの松茸をザッと水洗いして、食べやすく細切りにしてもらう。最後に生肉の骨付きセンカルビが、大皿に盛られてくる。店の特製キムチをつまみに、まずは、OBビールで乾杯。

金網のセンカルビを中心に、薄切りの松茸を、円を描くように載せていく。焼き始めると肉汁の匂いに混じり、ほのかに松茸の香りが立ち上る。その食欲をそそる甘い香り。あァ、たまらん。待ちきれない。

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イメージ(骨付き鮮カルビ)

ガバッ、松茸と共に焼きたての肉を、口いっぱいに頬張る。ハフッ、ハフッ。
柔らかな食感。コクのある甘辛の喉ごし。ああ絶品。
「生きてて良かったーッ」
カミさんとぼくの笑顔、笑顔。フーッ、と持ち込みの松茸を食べ尽くし一息いれる。至福の時が流れる。

ウームッ、松茸と骨付きカルビだけでは物足りないな。姜さんに、取って置きのコッドンシムをお願いする。俗名、花ロース。厚めにカットした霜降り牛肉の表面をサッと焙り、レア気味のまま塩胡椒で食べる。噛めば噛む程、肉汁の甘みがジワッと広がる。サッパリした塩味とキレの良さに、美味すぎて目尻が下がる。一瞬、夫婦の会話が止まる。

美味いものに国境はない。人生で一番大切なものは、美食の旅とカミさんの笑顔。我々の夫婦仲はグルメ旅行が続く限り永遠?少なくとも今はそう願いたい。グルメタウンソウルへの旅は、終わりのない旅である。(完)

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2008-10-13

Ko13 “懐石風韓定食”・・・いいですね♪

5月中旬のソウル。
ぼく達は半年ぶりに韓国を再訪した。今日は、青空が澄み渡り、漢江の川風が爽やかで心地良い。空港からの車の中で、取引先の韓(ハン)部長が笑顔で話しかけてきた。「今晩、韓国風懐石料理はいかがですか」

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ミョンドン

明洞に新しく、懐石料理を食べさせる店ができたらしい。いわゆる韓国宮廷料理ではなく日式でもない、韓式の懐石料理である。
「でも敷居が高そうね」
遠慮するカミさんに、せっかくのご好意だし良い経験だよ、と説得する。話がまとまったその夕方、出迎えの黒塗りの車に乗り込み、指定された料亭に向かった。

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ミョンドン2

賑やかな明洞の中心街を通り抜け、脇道を曲がる。門構えが普通の韓国民家のような、地味な佇まいの料亭の前に車が止まった。玄関から声が聞こえる。
「いらっしゃいませ、ようこそ、アンニョンハシムニカ」

上品なチマチョゴリ姿の女将が、笑顔で迎える。店に入ると静寂な香の匂いに包まれる。先に待っていたキム理事が挨拶し、予め注文していた懐石の先付料理とビールが出てくる。早稲田大学を卒業し、流暢な日本語を話すキム理事の発声に合わせ、4人で乾杯する。

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イメージ(韓定食)

まずは松茸とアワビのお粥。口取りに茹で豚の白菜巻。二つ物に8種類の野菜を巻く九節板と焼きいしもち。オイキムチに干し明太子。

次に、鮮やかな緑色ゴマの葉。鮮やかな緋色のユッケの上に橙色の卵の黄身。
涼やかな水キムチの中に純白のダイコンと赤トウガラシ。生唾も溢れだす味覚の連続。整然と並ぶ食器。食材が凛として気品があり色彩も美しい。

続けて、牛肉の串焼き。朝鮮人参と鶏肉、銀杏の茶碗蒸し。エイ、鮹、烏賊、平目の刺身。キノコの緑豆炒め、等々。

冷たいものはひんやりと、熱いものは熱々で、止めどなく出てくる韓国懐石料理がなんと18品。最後は豆腐チゲ、キムチ、白飯でしめる。

あらかじめ全品がテーブルに用意され、賓客を迎える韓国宮廷料理の「静」。それに相対し温冷感と味の濃淡、繊細な流れの韓国懐石料理の「間」と「動」。

美味いものに国境は無い。ぼく達夫婦のソウル通いは、まだまだ当分続きそうである。(続)

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続きがあります

2008-10-12

Ko12 “韓国宮廷料理” は如何ですか?

3年前の10月の韓国の首都ソウル。
仁川空港からの送迎車の助手席から、女性ガイドの金さんが振り返って、
「今晩の会食は、三清閣で韓国宮廷料理ですから、正装でお願い致します」

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明洞の街角

ホテルに向かう途中の明洞の街は昼下がりで、人通りは少なく、いつもよりは比較的に道はすいていた。

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明洞の街角2

三清閣は、戦前までは両班(ヤンバン)宮廷貴族が食事を楽しむ店であったが、バブル絶頂の一時期、日本の商社マン相手のキーセンパーティを楽しむ場所となった。その後、法律が改正になりその種の接待は禁止となり、現在は、昔日の李王朝時代の、伝統的韓国宮廷料理を供する高級料亭になったのである。

ぼくと妻は、ホテル新羅で着替えながら、商談の準備の為の書類を整える。今晩は正式の旅行会社間の送客の受委託契約を締結する調印の会合なのだ。ソウルまで夫婦連れで来たのは、世界の公式の場では夫婦同伴が常であり、宮廷風韓定食は、今時めずらしく、良い経験になるからね、と説得したのだった。

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イメージ(宗廟)

ホテルから、出迎えの黒塗りのヒュンデ(現代)車に乗り込み、静かな南山公園を下り、東大門の横を通り抜け、城北洞に向かう。三清閣は、古風な塗り壁が続き、李王朝風の重厚な門構えがこれぞ韓国貴族屋敷然としている。静謐な佇まいの高級料亭の前に車が止まった。

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イメージ(宗廟2)

料亭に入るとチマチョゴリの女将が出迎え、廊下には甘いお香の香りが漂っていた。別室で先に待っていた伴理事と令夫人に挨拶する。あらかじめ内容を伝えてあった契約書の最終確認と押捺を手早く済ませ、奥の客室に移り着席する。

目の前にはすでにあらかたの料理が並べられ、お手拭きとビールが運ばれてくる。伴理事の発声に合わせ、4人とも笑顔で乾杯する。

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イメージ(宮廷風韓定食)

まずは朝鮮人参に蜂蜜をつけてインサムククルを食べる。熱々の骨付きカルビ。8種類の野菜を巻く九節板。焼きイシモチ。真ん中には牛肉や椎茸のスープが入った神仙炉。橙色の卵の黄身が乗った新鮮な緋色のユッケ。涼やかなムルキムチ、等々。

熱いものと冷たいもの、韓国宮廷料理がなんと20品余り。最後は牛バラスープのカルビタン、朝鮮ニンジンとナツメの入った石焼きご飯でしめる。

現在、韓定食は3種類と言われているが、それぞれに奥深さを感じる。まず、宮廷風韓定食は賓客を迎える為にあらかじめ殆ど全品がテーブルに用意され、見た目にも美しく、古風で上品な味。

逆に、懐石風韓定食は現代的で、温冷感と味の濃淡に合わせた繊細な間と流れのコース料理。さらに、家庭風韓定食はテンジャンチゲと数種類の素朴なおかずをセットした庶民派のお袋の味だ。

美味いものには身分も時代も関係ない。我々夫婦の美食探訪の旅は、まだ当分続きそうである。(続)

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2008-10-04

Ko11 “海鮮チゲ”の美味しい季節になりました ♪

ヘムルチョンゴル“海鮮チゲ”始めました。
昨年の9月下旬、白(ベク)さんからのエアメールの挨拶状を読んだぼく達夫婦は、いてもたってもいられなくなり、週末の羽田空港発午後便でソウルに飛んだ。

金浦空港からソウル中心街に向かう車窓からは、夕暮れの梨花女子大前の煌びやかなウェディング・ブティックの窓明かりが見え隠れ、六本木に似たプラタナスの街路樹が続いている。寂しげな韓流の流行歌が流れ、低く垂れ込んだ曇り空から小雨が落ちてきた。

「海鮮チゲ、久しぶりだね」
「白さんに会うのも1年ぶりかな」
2年前の暮れも押し迫った頃、白さんの息子がフェリーの沈没事故で亡くなり、インチョンでの葬式に出席して以来である。

翌朝はカラッと晴れたので、久しぶりに世界遺産に指定された昌徳宮(チャンドックン)に立ち寄り、奥の秘苑(ピウォン)を散策する。

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昌徳宮(チャンドックン)

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秘苑(ピウォン)

昼食は、韓一会館で、韓定食を食べ、一休みした。

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韓一会館(ハンイルカイグアン)

午後は、腹ごなしに仁寺洞(インサドン)を散策した。骨董店、ブティック、喫茶店等をのぞき見しながら、秋のソウルの街並み、そぞろ歩きを楽しんだ。

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仁寺洞(インサドン)

夕方になり、夕闇が迫る中、ようやく鐘路(チョンノ)の白さんの店に到着。あいにく白さんは業者仲間の会合で外出とのことで、奥さんの金さんが、申し訳なさそうに謝る。
「仕方ないよ、予約なしで来たのだから」
「明日また来ますから」カミさんがフォローした。

気を取り直し、まずは、ヘムルチョンゴル(海鮮チゲ)デラックスを注文する。鍋の中身は、牛肉、ブラックタイガー、ワタリガニ、イカ、帆立、鱈の切り身、蛤、牡蠣等の魚介類と、白菜、ほうれん草、白ねぎ、しいたけ、しめじ、えのき等の野菜が山盛りの牛骨スープ味噌仕立てである。

「うーん、ぼくが鍋奉行をすると、日本の寄せ鍋風になっちゃうなあ」
でも、煮上がったスープを一口すすると、タデギ唐辛子の辛さがマイルドになっている。野菜や魚を目一杯加えることにより、唐辛子の辛さが柔らかく感じるようになるのだ。

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ヘムルチョンゴル(海鮮チゲ)

「スープもコクがあって、辛ウマ~~!」
魚介類とキムチ入り野菜と牛骨スープが三位一体となり、素朴な味ながらも奥が深い。究極の山海珍味のハーモニーだ。

「美味しいね、また来て良かったね」
牛骨海鮮スープを味わいながら、カミさんが笑顔で言う。ハングルと笑い声で騒々しい店の中、ぼく達だけは別世界で、特製牛骨海鮮スープにうっとりとしていた。グルメタウンソウル。食い倒れ夫婦の韓国ソウル通いは、まだまだ続きそうである。(続)

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