2008-06-20

Ko10 お昼は“家庭風韓定食”

初夏のソウル。
ぼく達は1年ぶりに韓国を再訪した。漢江の川風が清々しく気持ちよい。金浦空港から出迎えの車の中で、友人の韓さんが助手席から振り向き、笑顔で話しかけてきた。
「さっそくですが、お昼に家庭風韓定食はいかがですか」

明洞に新しく、家庭風韓定食を食べさせる店ができたらしい。いわゆる料亭での宮廷風韓定食ではなく、一般的な庶民の家庭風韓定食である。
「気軽で良さそうね」
さっそくカミさんが反応する。話がまとまったその足で、そのレストランに向かった。

null

賑やかな明洞の中心街を通り抜け、脇道を曲がる。門構えが瀟洒で、地味な佇まいのレストランの前に車が止まった。玄関から声が聞こえる。
「いらっしゃいませ、ようこそ、アンニョンハシムニカ」
チマチョゴリ姿の女将が、笑顔で迎える。

店に入ると静寂な香の匂いに包まれる。車から予め注文していた韓定食の先付料理とビールが出てくる。ぼくの好きなハイテ。3人で乾杯する。



まずは松茸とアワビの先付け、続けて茹で豚の白菜巻。野菜を巻く九節板と焼きいしもち。オイキムチに干し明太子。次に、鮮やかな緑色ゴマの葉。鮮やかな緋色のユッケの上に橙色の卵の黄身。涼やかな水キムチの中に純白のダイコンと赤トウガラシ。生唾も溢れだす味覚の連続。整然と並ぶ食器。食材が野菜中心で色彩も美しい。

null

しばらくして、牛肉のカルビ焼き。おからスープにおぼろ豆腐。キノコの緑豆炒め、等々。冷たいものはひんやりと、熱いものは熱々で、家庭風韓定食の料理は女将さんの裁量で決まる。最後は豆腐チゲ、キムチ、白飯でしめる。

現在、韓定食は3種類と言われている。まず、宮廷風韓定食は賓客を迎える為にあらかじめ殆ど全品がテーブルに用意され、見た目にも美しく、古風で上品な味である。

逆に、懐石風韓定食は現代的で、温冷感と味の濃淡に合わせた繊細な間と流れの西洋風を取り入れたコース料理。一方、今日の家庭風韓定食は野菜と豆腐料理を中心に、ヘルシーな数種類の素朴なおかずをセットした庶民派のお袋の味だ。

美味いものには身分も時代も関係ない。我々夫婦の美食探求の旅は、まだ当分続きそうである。(続)

ソウル・グルメツアーのお問い合わせはこちらまで

2008-06-07

Ko9 ソウル de ワッフル

ソウルの初夏は爽やかである。
今日もソウル・ルネサンスホテルの窓枠いっぱいの青空に、朝の日差しが眩しい。

昨日、午前中久しぶりに散策した明洞(ミョンドン)の街並みは、めっきりとあか抜け、東京の表参道や、青山通りを思わせるような、しゃれた街並みになっていた。その中に、若者ファッションリーダーのユニクロが軒を並べている。

null

一方、午後から歩いた仁寺洞(インサドン)は、昔の骨董街から今やファッションストリート風の若者の街になり、新しくスターバックス・カフェ等が出店している。最初は、ハングル文字で書かれた看板を遠目で見てなんの店かわからなかったが、文字の色、店の雰囲気でなーんだ「スタバッ」かぁーと、納得した。



午前9時、ぼくらはホテルの12階の部屋からエレベーターで2階まで下りた。中途半端な時間なので、レストランの客はまばらで空席が目立つ。さて、本日のスペシャルは何があるのかな。
「今日はアメリカン・テイストで、いこっ!」
連れのカミさんが呟く。

レストランに入り、ブッフェ・スタイルの料理テーブルを見ながら歩く。あるある、コーヒー紅茶に、ペストリー。メインの肉、魚料理。野菜サラダにヨーグルト。飲み過ぎの朝用にお粥もある。

その横で、白衣を着た中年のコックが笑顔で手作りのオムレツを焼いている。おや、その隣にあるのはなんだろう。ソウル・ルネサンスホテルの本日のスペシャルはベルギー・ワッフル?

オッ、なんとオムレツの横で、同時に手作りワッフルを焼いている。見事な二刀流だ。カミさんが、焼きたてのワッフルを大皿に2枚確保して席に着く。笑顔でペロッと舌を出し、おいでおいでをしている。



ぼくは、OK今行くよと目で合図し、肉料理にキョロキョロ目移りしながら、空の皿を持ったままカミさんの横に座った。テーブルの上の熱々で香ばしく四角い薄茶のデコボコワッフルを、カミさんが銘々皿に取り分け、生クリームをのせてメープルシロップをたっぷり掛ける。

ぼくは、アメリカン・コーヒーを片手に、ワッフルを一口頬張る。メープルシロップの甘みがジワッと口いっぱいに広がる。
「旨いんだなァ、これがッ」

サッパリした甘さと食感に大満足。カミさんも、ニッコリと頷き食べている。 さて、これからが本番。ぼくは、口をモグモグさせながら、中腰になり辺りを見回す。

よっしゃァ、料理コーナーの上に湯気を立てているローストビーフに狙いを定めた。
「大食いは、デブの始まりッ!」
カミさんの睨んだ目と辛口言葉がグサッと胸を刺した。

朝食の後、腹ごなしの散歩を兼ねて、ソウルの街を郵便局までプラプラと歩く。ハングルの看板がなければ、何処の国のオフィスビルかわからない。

null

10年前までは大韓民国ここにあり、と自己主張をするハングル文字の大看板だらけであったのが不思議な気がする。88オリンピックが終わってから、急速に近代化してゆくソウルの街並みが、今日は明るく光り輝いて見えた。(続)

ソウル・グルメツアーのお問い合わせはこちらまで