Jump to navigation
バチカン博物館は、かつてローマ教皇の住居であったバチカン宮殿を18世紀後半から美術館として一般公開したものです。
カトリックの総本山であるバチカン、その頂点に立つ教皇はいつしか巨大な富と権力を握り当代一流の芸術家の手になる芸術作品を600年以上の歳月にわたりコレクションしてゆきました。
また歴代の教皇は思いのままに宮殿の増改築も行い、時にお気に入りの芸術家を起用して宮殿を飾り立て「美の迷宮」と言われる所以になりました。
コレクションは古代エジプト、ギリシア、ローマ、エトルリアから中世、ルネサンス、現代までと大変幅広くすべてを見学するには1週間でも10日でもかかると言われています。
一般の旅行でバチカン博物館にこれだけの時間を割くことは無理ですから、まずは必見の「システィーナ礼拝堂」について少しお話し致しましょう。
ミケランジェロの傑作である天井画「天地創造」や祭壇の「最後の審判」を求め、世界中の人々がバチカン博物館を訪れると言っても過言ではないでしょう。
システィーナ礼拝堂の天井画の作成は教皇ユリウス2世がミケランジェロに命じたものですが、これにはミケランジェロのライバルである建築家ブラマンテが、フレスコ画に未熟とされていたミケランジェロの失敗を画策して教皇にミケランジェロの天井画作成を進言したというエピソードがあります。
自らも「自分は彫刻家である」と言い続け、折しもユリウス2世から依頼された墓廟の制作に情熱を傾けていたミケランジェロは当初天井画の作成依頼を頑なに断り続けますが、ついに教皇の強引な説得に折れて不承不承に依頼を引き受けます。
ただしひとたび着手するや彼は超人的な精神力を発揮し、完璧な仕事を求めて助手も使わずにたった一人で4年の歳月をかけて『奇跡の傑作』とたたえられる作品を完成し、ライバル•ブラマンテの計略を見事失敗に終わらせます。
ミケランジェロの芸術的才能が並大抵のものでないことは言うまでもありませんが、システィーナ礼拝堂を訪れて素晴らしい天井画を真剣に鑑賞すると5分もすれば首が痛くなって来ることから、天井に向き合う無理な姿勢で体を痛め、垂れてくる絵具で目を傷めながらの4年間がどのくらい気の遠くなるような歳月であったかを想像し、彼の忍耐力、精神力にも大きな感動を覚えずにはいられません。
システィーナ礼拝堂では、是非ミケランジェロのこのようなエピソードにも思いを馳せながら天井画を鑑賞して頂ければと思います。
2014-11-26
富と権力の結晶から成る歴代教皇の宮殿が美術館に
~地上のあらゆる美が宿る~バチカン博物館
バチカン博物館は、かつてローマ教皇の住居であったバチカン宮殿を18世紀後半から美術館として一般公開したものです。
カトリックの総本山であるバチカン、その頂点に立つ教皇はいつしか巨大な富と権力を握り当代一流の芸術家の手になる芸術作品を600年以上の歳月にわたりコレクションしてゆきました。
また歴代の教皇は思いのままに宮殿の増改築も行い、時にお気に入りの芸術家を起用して宮殿を飾り立て「美の迷宮」と言われる所以になりました。
コレクションは古代エジプト、ギリシア、ローマ、エトルリアから中世、ルネサンス、現代までと大変幅広くすべてを見学するには1週間でも10日でもかかると言われています。
一般の旅行でバチカン博物館にこれだけの時間を割くことは無理ですから、まずは必見の「システィーナ礼拝堂」について少しお話し致しましょう。
~ミケランジェロの精神力の結晶~システィーナ礼拝堂
現代でもバチカンの「法王選挙(コンクラーベ)」が行われる「システィーナ礼拝堂」。ミケランジェロの傑作である天井画「天地創造」や祭壇の「最後の審判」を求め、世界中の人々がバチカン博物館を訪れると言っても過言ではないでしょう。
システィーナ礼拝堂の天井画の作成は教皇ユリウス2世がミケランジェロに命じたものですが、これにはミケランジェロのライバルである建築家ブラマンテが、フレスコ画に未熟とされていたミケランジェロの失敗を画策して教皇にミケランジェロの天井画作成を進言したというエピソードがあります。
自らも「自分は彫刻家である」と言い続け、折しもユリウス2世から依頼された墓廟の制作に情熱を傾けていたミケランジェロは当初天井画の作成依頼を頑なに断り続けますが、ついに教皇の強引な説得に折れて不承不承に依頼を引き受けます。
ただしひとたび着手するや彼は超人的な精神力を発揮し、完璧な仕事を求めて助手も使わずにたった一人で4年の歳月をかけて『奇跡の傑作』とたたえられる作品を完成し、ライバル•ブラマンテの計略を見事失敗に終わらせます。
ミケランジェロの芸術的才能が並大抵のものでないことは言うまでもありませんが、システィーナ礼拝堂を訪れて素晴らしい天井画を真剣に鑑賞すると5分もすれば首が痛くなって来ることから、天井に向き合う無理な姿勢で体を痛め、垂れてくる絵具で目を傷めながらの4年間がどのくらい気の遠くなるような歳月であったかを想像し、彼の忍耐力、精神力にも大きな感動を覚えずにはいられません。
システィーナ礼拝堂では、是非ミケランジェロのこのようなエピソードにも思いを馳せながら天井画を鑑賞して頂ければと思います。
イタリア
16:22
bwt10174
Comments
コメントはまだありません。