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2004-12-07

ソ連の行列は看板代わり? by tetsushi

日本を出発する前、ニュースでは連日の様にモスクワのモノ不足を伝えて
いたので、万一の食糧難に備えてカップヌードルや缶詰などを持参した。

しかし、実際行ってみると、モスクワにはモノが溢れかえっていた。
ホテルの朝食では、黒パンやスクランブルエッグ、バター、ベーコン、牛乳、
ジュースなどがずらっと並べられ、想像とのあまりの違いに拍子が抜けた。
街角では、ドラム缶ほどの大きさのお釜?いっぱいに詰め込まれた揚げ
たてのピロシキが売られており、15分ほど並べば購入することができた。
また、古ぼけたコンテナ風のキオスクが並ぶ一画では、炭酸水や粉ジュース
などのドリンクの類も販売されていた。
街のレストランでも、ジャガイモのいっぱい入ったボルシチを格安でたらふく
食べることができた。

インフレによって生活必需品が一般家庭にうまく流通しなかったことが、
モノ不足と言うような報道のされ方になっていた。
しかしソ連国民が今まで経験したことの無い自由市場での取り引きでは、
庶民が生活必需品を手にする迄に、長い行列を作らなければならなかった。

ロシア モスクワ
モスクワの自由市場に並ぶ人々
※街には看板がないので、行列を見て、そこに店があると判断した。

街ではドルショップとルーブルショップとに分かれ、通貨の種類で購入できる
品物が違った。
ドルショップにはマルボロ、キャメルなどの西洋タバコ、化粧品などが美しく
陳列されていたが、ルーブルショップでは、タバコは2種類、化粧品等は色の
種類はあるが、パッケージは全く同じで、山積みにされてドサッと置かれてい
るだけであった。
国営百貨店に入ったばかりのベネトンショップでは、パスポートを求められた。
ベネトンでは、ドルしか使用できない、事実上外国人専用の店になっていた。
このように、モスクワの中の外国は、あちこちにあった。

モスクワを代表する国営百貨店内にある店で、ベネトンショップ以外に活気が
あったのは、アイスクリーム屋だけであった。
ここは、庶民にとって数少ない “食べる楽しみ” を与えてくれる店であるらしく、
またしても長~い行列ができていたが、それ以外の店は見える所に店員が
立っている訳でも、看板が出ている訳でもなかったので、どの店が開店中で、
どの店が閉店しているのかさえ、すぐに見分けることが出来なかった。

民芸品を売る店を覗き込んだところ、奥には私を見ても表情も変えない店員が
どかっと座っており、どちらが民芸品なのか分からないほどであった。

ロシア モスクワ
グム百貨店でアイスクリーム屋に並ぶ人々
※赤の広場前にある国営百貨店。建物は非常に荘厳であった。
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