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2008-01-02

6歳になったユーロ通貨

2002年1月1日、ユーロ紙幣と硬貨が誕生してから
今年で早や6年。この元旦には新たにキプロスとマルタが
その仲間入りを果たしました。
当時およそ100円強だった1ユーロの価値ですが、
高騰し続け今やその倍近い180円を狙うほどに。
日本へ向かう航空機内手荷物収納棚から、
イタリア製高級ブランドの紙袋の姿が減少しつつあるのも、
まさにこの貨幣価値の変化を受けてのことでしょう。

話は飛びますが、
その誕生と同時に硬貨のコレクションを始めました。
とはいっても、躍起にコインショップへ足を運ぶスタイルでは
なく、日常生活の中で巡り合える偶然を楽しんでいます。

加盟国ごとに硬貨裏面のデザインが異なっていることは
日本では知られているようでなかなか知られていません。
導入初年、小銭入れや釣銭の中から隣国ギリシャやフランス
の硬貨を見つけると、日頃見慣れているイタリア硬貨と異なる、
初めて見るそのデザインを目を凝らして眺めたものです。
そして貨幣の流れとはまさに人と人との交流あってのこと、
見知らぬ誰かから見知らぬ誰かへの旅の結果、今私の手元に
この硬貨があるという現実に、ほのかなロマンを感じます。

ことイタリアの硬貨に注目すると、さすが芸術と文化の国、
そのデザインの選択にこだわりと誇りが感じられます。
加盟国の中にはアイルランドやベルギーのように
2ユーロから1セントまでの8種とも全て同一デザインを
導入している国もありますが、イタリアのそれは全て異なり、
まこと美しいものです。ご紹介しますと、

★2ユーロ
「神曲」の作者であるダンテ・アリギエーリの肖像で
ラファエッロ画。
★1ユーロ
レオナルド・ダ・ヴィンチ画の人間の体の理想的な比率を
示す「ヴィトルヴィウス的人間」を表す素描。
★50セント
ミケランジェロ設計によるカンピドーリオ広場(ローマ)の
「マルクス・アウレリウス帝の騎馬像」。
★20セント
未来派のウンベルト・ボッチョーニ作の彫刻、
「空間における連続性の唯一の形態」。
★10セント
サンドロ・ボッティチェッリ作「ヴィーナスの誕生」
★5セント
コロッセオ外観(ローマ)。
★2セント
アレッサンドロ・アントネッリ設計・建築、
「モーレ・アントネッリアーナ」(トリノ)。
★1セント
13世紀に建てられた城、カステル・デル・モンテ
(プーリア州、アンドリア)。

旅するあいだに、知らず知らず増え続けてゆくコインたち。
一日の終わり、ホテルで眠りにつく前のひと時や
列車での移動中、車窓からの景色を追うのに疲れたとき、
ぜひ一度それらの裏面を眺めてみてください。



貯金箱と集まったコインたち。
一番手前はつい先日私の元にやってきた、
スロヴェニアの2ユーロ硬貨。
続きがあります
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