2006-05-23

日本への里帰り

1ヶ月強の日本での一時帰国を終えて、先週ボローニャに戻ってきた。約3年ぶりの日本!イタリアに旅行に来た母を除く家族とも3年ぶりの再会。お互いの相変らずさに安心し、長らくご無沙汰していた友人との再会では、それぞれの近況を夜通し報告しあったり・・・まさに「里帰り」という言葉がぴったりの日々。
夢にまで見た温泉では、奮発して露天風呂つきの客室を予約し、飽きるまで湯船に浸かる。お部屋に出される目にも美しい日本食の数々、こんなひと時が過ごせるのは、ほんとに日本だけだな・・と思いつつ、すでに、今度温泉に浸かれるのはいつなんだろと一抹の寂しさが募る。

居酒屋、お鮨屋、ラーメン屋、お好み焼きや、蕎麦屋など行きたかったお店を網羅し、道端のたこ焼き屋台に飛びつき、そして用もなく毎日コンビニを覗いては、ぶらぶら眺め、お菓子や肉まん等の日本ならではのものを買い食いし、3年前よりはるかに美味しくなっているペットボトルの日本茶にも驚いた。当たり前だが、この1ヶ月で何と3kg近くも体重が増えた。
新幹線はもちろん、交通機関のその時間の正確さ、快適さ。イタリアのユーロスターなんかお呼びじゃないね。その上、車内外のきれいなこと。毎日、洗っているんだろうな。なんの心配もなく、1日の計画、乗り継ぎの計画が立てられる幸せ。
それから、「SUICA」には驚いた!自動改札機に通すこともなく、カバンに入れたままでもセンサーが感知し、あっという間に改札を通れ、時間のあるときにお金を補充できる!しかも、それが自動販売機や、お店で現金の変わりに使えるなんて!こんなことイタリアじゃありえない!そしてそのSUICAのシンボルである、まん丸のペンギンのかわいいこと!このペンギンの虜になってしまった私。さすが日本!こんなことひとつでも何と進歩していることか!たった3年で浦島花子状態だった東京。
イタリアにおいては、外出時には心配事であるトイレも、ここ日本では何の心配も要らない。あちこちに、利用できるトイレがあり、しかもきれい。公共のトイレなのに、ほとんどにウォッシュレットがついているのにも驚いた!日本人でありながら、小さなカルチャーショック。
そして、日本の女の子はみんなきれいにしているなー。イタリアでは周りに合わせ(甘え?)ほとんどノーメイクで、服装にもあまり気を使っていない自分を反省。
実家では、久しぶりということで、家族からいたせりつくせりの歓待?を受け、母が自分で採ってきてくれた山菜に舌鼓を打ち、地元の美味しい日本酒を堪能し、日本海が一望できる日帰り温泉に親子で行った。
そんなこんなで、あっという間の1ヶ月。この1ヶ月のために、何ヶ月も前から仕事をセーブし、メールにおっかけられない体制にしてきた。この1ヶ月は日本で本当にリラックスするぞ!と決め、その準備をしてきた。
1年半近くも期限切れしていた運転免許も、2時間の講習を受け無事更新できた。他、やらなくてはならない用事もすませ、私のバカンスは完璧!と言いたい所だが・・・なんということか、なぜか私は一番したかった「リラックス」がほとんど出来なかったのだ!もちろん、滞在はとっても楽しかったが、最後に実家で過ごしたわずかな日々だけが唯一リラックスできた瞬間であった。なんだったのだろう?あの日本での妙な緊張感は・・・
そして、日本を離れるのは寂しいと思いつつ、ボローニャに帰ってきた。あー、またあの快適な生活からは程遠い、ボローニャに帰るんだな、半ばやれやれと思いながら、帰ってきた。ところが、ボローニャについた途端、なんとも言えぬ安堵感で満たされた。「フー」となんだか力が抜けて、とてもリラックスできたのである。
なんだろう、こののんびり感は!そう、イタリアについた途端、その時間の流れが明らかにゆったりと感じられたのである。日本でも時間の流れは同じはずなのに・・でも違う、あきらかに違う。そして、そのゆったりした流れが心地よく、私をリラックスさせる。
そうか、どうりで日本ではリラックスできなかった訳だ。ボローニャに3年、でもすでに私のリズムは、イタリア流に染まってしまっているのかもしれない。大好きな日本に帰って、あらためて気が付いた、“イタリアで暮らす私自身”、ここに戻って「あー、帰ってきたな」と感じる自分。まだまだこっちで頑張れるなってあらためて思った。
そうは言っても、これからはせめて1年に一度は、日本に帰ろう!と決めた。「里帰り」というよりは、「日本へのバカンス」だ。でも、そのためには、頑張って仕事しなきゃ!
続きがあります