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2006-03-29

南米でコーヒー

同じ南米大陸と言えど、国によってコーヒー事情は随分と違う。

        

まず最初に訪れたチリでは、コーヒーと言えばひたすら「ネスカフェ」だった。
カフェや食堂、宿の朝食でも、常にテーブルの上には黒く丸いネスカフェの容器が。好みの量の粉をカップに入れ、お湯を注いでもらう、若しくは自分で注ぐ。
ちゃんとしたドリップコーヒーが飲める店はかなりまれだ。
スーパーでもレギュラーコーヒーは隅のほうに1、2種類あるだけで
(キャンプではこれをドリップして飲んだがなかなか美味しかった)、
棚一面にそびえるのは、大中小の「ネスカフェ」の山。
この「ネスカフェ」も、飲んでいるうちにだんだん美味しくなってきた。
インスタントコーヒーでも開けたては香りが良く、意外と美味しいのだ。
大衆に親しまれている為、きっと回転が速いのだろう。
ワールドワイドな「ネスカフェ」を感じ続けたチリでの日々であった。

お隣のアルゼンチンはと言うと、これがかなり違っていた。
イタリア人の移民が多いせいか、エスプレッソコーヒーがメジャー。
街のカフェではもちろんのこと、ガソリンスタンドでも自販機でエスプレッソコーヒーが飲めたりする。
ただしその存在自体は、国民的飲み物のマテ茶の陰に隠れている感じではある。
自転車旅行中、アルゼンチンの果てしないパンパを走りながらも、「ガソリンスタンドのエスプレッソコーヒーで一服」というのはささやかな贅沢だった。

そしてブラジルだ。やはりブラジルではコーヒーが盛んだった。
コーヒーはわざわざお金を出して飲みに行かなくても、どこにでもあった。
食堂でごはんを食べても、レジの脇にコーヒーのポットが置いてあって、
自由にキュッと飲んで帰る。
味は濃い目で、甘くして飲むのが一般的のようだ。
世界一のコーヒー生産国、ブラジル。赤い大地が育むコーヒー畑。
日本人移民とも深い関係があるコーヒー農園。
品質のより良いものは、輸出物や土産物に行ってしまうそうだが、
手を伸ばせばコーヒーが飲めるというのは、なかなか豊かな気分だった。

ボリビアやペルーには意外にも、自国産のコーヒーがある。
ラパスの市場付近にもコーヒー豆の専門店があったし、
クスコの広場の近くにもものすごく良い香りのするコーヒー豆の店があった。
(↑耐え切れず買って飲んだらメチャクチャ美味しかった!)
ボリビアやペルーでは、コーヒーの入れ方が少し変わっている。
まずは濃い~いコーヒーを落としておく。飲む直前にそれを熱いお湯で薄めるのだ。
ボリビアのポトシのパン屋さんでお世話になった時まだそれを知らず、
用意してくれた濃い~いコーヒーをそのまま飲んでしまい、
「ゲッ!にがっ!」とエラい思いをした。
しかしこれらの地域では断然、コカ茶やハーブティが日常的に飲まれているので、
コーヒーの存在感があまりなかった。

以前は「南米はコーヒー」というイメージがあったが実際に行ってみると、
コーヒー以外の飲み物、マテ茶・コカ茶・紅茶・ハーブティ等がかなり盛んで、
とても生活に密着しているということが分かった。

南米では、コロンビアもコーヒーの生産国として有名で、
街角のコーヒーもたいそう美味しいという話だ。
ぜひとも、コロンビアにもコーヒーを飲みに行ってみたいものだ。

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