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2005-09-25

海外旅行保険はほんとに必要?(part5)

ボクを乗せた車は空港へ向かわず広い空き地のようなところで止まった。金網のフェンスが続きゲートには銃を持った兵士が立っている。どうやらここは軍用飛行場らしい。
「いくら病院から近いといっても軍用飛行場に飛んで来るとは。。。」
ゲートをくぐると小さな自家用ジェットの前に二人の男が立っていた。
「Are you SHUSA?」
30代半ばくらいだろうか、その男はボクの名前を尋ね、自分はパリから来たドクターだと言った。もうひとりの男は看護士らしい。
ジェットに乗り込むとボクはジーンズをめくって自分の脚を見せた。実は昨日あたりから太股など軟らかいところに紫色の斑点が無数にでていた。皮下出血している証拠だった。
「ドクター見てくれ、脚全部に紫斑がでてる。パリまでもつかな、死んじゃうんじゃないかな。」
「no problem」
ドクターはそういってボクを簡易ベッドのような上に寝かせ、腰と胸のあたりにシートベルトで固定した。

カイセリを主発した飛行機は一度イスタンブールに降りる。ボクは寝かされたままだが、ここで係官が乗り込んできて出国審査をする。ボクもパスポートにスタンプを押してもらった。まさかこんなフライトでも出国審査をするとは思わなかった。
それからすぐ飛び立つとドクターと看護士は機内食を取り出して食べだした。
機内はパイロット二人を含めて5人。まるで車の後部座席に座っているようにコックピットは丸見えだ。こんな経験はもちろん初めてだったが、離着陸以外パイロットは何もしていない、気楽な感じだった。
「君も食べる?」
ドクターはボクがじろじろ見ているので欲しいのかと思って訊いてきた。
「あるんだったら食べるよ、病院ではまともなもの食べてなかったから。」
その機内食にはビックリした。スモークサーモンや何やらで凄いメニュー、さすがフランスから来ただけある。ビスケットしか食べてなかったボクは久しぶりに食事らしい食事に感激した。

パリに着いたのは夜、ボクは救急車で病院に運ばれた。「American hospital」と言って外国人専用らしく、トルコの大学病院とは比べ物にならない。
病室に運ばれるとドクターが二人入ってきた。女性の方は日本人らしく日本語を話した。
「見てください、もうこんなに紫斑が。。。。。」
ボクは脚全体に広がっている紫斑を彼女にみせた。
彼女はもう一人のドクターとなにやらフランス語で話すと「大丈夫ですよ」といって笑ってみせる。その「大丈夫」も何やら怪しい感じがした。
「とにかく血液検査をします。明日までゆっくり休んでください。」
うなずくしかできないボクは久しぶりにふかふかのベッドで眠った。

翌日は朝から大忙しだった。保険会社のセンター、大使館、日本にいる親とひっきりなしに電話がかかってくる。
血液検査の結果はやはり血小板が異常に下がっているままだった。
「すぐに骨髄の検査をします。」
英語でボクに話すドクターを彼女が通訳してくれた。ボクは「とにかくなんでもやってくれ」みたいな返事をしたのを憶えている。
とにかくここの設備は凄かった。ベッドは電動で起きあがるし、もちろんエアコン、トイレ、バス、衛星放送まで付いている。
食事がまた凄い。昼食が終わると看護士が1枚の紙を持ってくる。そこには夕食のメニューが書かれていて、メインは魚かビーフ、デザートはアイスかケーキなどすべて自分で選択できるのだ。すべてチェックを入れると夕食にはそれが出てくる。
「さすがアメリカン・ホスピタル、水までエビアンだ。」
それもそのはず、後で聞いた話だがこの病室は1泊10万円だったそうだ。

ここに入院して3日目くらいだったろうか、突然病室に母親が現れた。いても立ってもいられなく、今日日本から来たらしい。
半年ぶりに見る母親は泣きそうな顔をしていたが、結構元気そうなボクをみて安心していた。日本ではもう死にかけと聞いていたので、もっとひどい状態だと思っていたらしい。
ボクは母親が来たのにも驚いたが、その荷物の多さにもっと驚いた。彼女はカバン一杯に即席麺、お茶づけ海苔、レトルトカレーにご飯などなどパリでコンビニでもするつもりなのかと思うほど買い込んでいた。
「だってトルコの大使館の人が、息子さん食欲なくて困っているみたいなので、行くならたくさん日本食持っていってあげてくださいっていってたから。。。」

翌日、とうとう骨髄検査の結果が出た。。。。。。。。。。To be continued



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categoryスナフの旅  time14:37

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