2006-03-02

シドニー マルディグラの男

3月4日は、シドニーが最も盛り上がる日だ。
世界で最も盛大なゲイの祭典マルディグラが行われる日なのだ。

私はマルディグラが来ると、ある男のことを思い出す。
その彼は、ある日、私が働いていた会社に面接にやってきた。
旅行業界の経験は無かったが、オージーと結婚して永住権を取得して
いたので、会社としては、そのことを重視して採用することになった。

物静かな彼は、冷静沈着で落ち着いた仕事運びをすることで、
皆から信用を勝ち得、日を重ねるごとに、会社にとけこんでいったが、
どんなに仲良くなっても、妻のことだけは、全く口にすることが無かった。
普段、会社ではプライベートをあまり語りたがらないオージーも多いが、
バーベキューパーティーなどには、妻や恋人を同伴することは珍しいこと
ではなく、各自進んで紹介し合ったりするのだが、そういう場であっても
全く乗って来なかったので、私は益々不思議に思った。

マルディグラの日、その秘密は明かされることになった。
マルディグラのメインイベントであるゲイパレードを見学していたところ、
ゲイ達に混ざって、彼が行進してきたのだ。
いつもの物静かな彼とは打って変わって、超気持ちイー!と体全体で
表現しているような、天を突き抜ける程のテンションが満ち溢れていた。
もちろん、予定通り、翌日から二日間、彼は会社を欠勤した。
この国では、仕事より大きなイベントが優先されるのは当たり前の事なのだ。

彼はフェスティバルで私に出会してから、今まで以上に心を開いてくれ、
私の疑問に素直に答えてくれた。

彼の永住権はオージー男性との事実婚の上に取得したものだった。

オーストラリアの特権?を利用?して見事?永住者となった彼はその後、
旅行業で才能をフルに発揮して、日本の大手旅行会社を経て、英国の
大手旅行会社へとキャリアアップを重ねた。
そして、二年前、オーストラリアロト宝くじで当てた数百万ドルを元手に
家を購入し、会社も辞め、若くして半隠居のような生活をしているらしい。

これは、典型的なオーストラリアンスタイルを貫いている日本人の話である。

人生っていろいろだな~と思った。

シドニー