2005-10-23

インディアンパシフィックとナラボー平原 Part seven

ナラボーの西端、カルグーリーに立ち寄り、一夜明けると視界は一変していた。
ワイルドフラワーが咲き乱れ、いよいよパースが近づいて来たと実感する。

数時間後、列車はイーストパース駅に到着した。

“世界で最も住みたい街” と言われるパースと “オーストラリアで最も住みたく
ない場所” なるアンケートを採った場合、必ず三本の指に入ると予想される
ナラボー平原が、インディアンパシフィックで結ばれた瞬間だ。

食事中一緒だった婦人は、別れを告げた後、息子と思われる人と車で去って行った。

私は、出迎えに来てくれた友人と再会した。
友人は、私が乗って来た列車で入れ替わるように、明日シドニーへ向けて出発する。
彼にとって、これからの体験が初めてであるということを思うと、うらやましく思った。

The End

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2005-10-15

インディアンパシフィックとナラボー平原 Part six

「ゴールドカンガルー」には、シングルルームとツインルームがある。
トリプルルームがないので、義母はシングルルームを利用した。
ツインルームにはソファーがあり、昼間は3人で楽しく過ごした。
夜になるとソファーはベッドに変わり、義母は部屋へ帰らなければならなかった。
シングルルームへ続く通路は、いびつで寂しい道のりであった・・・らしい。。。

Part seven へつづく

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2005-10-08

インディアンパシフィックとナラボー平原 Part five

朝は、日の出に合わせてサーブされるコーヒーで目覚めることになる。
車窓には広大なナラボー平原が横たわっている。
既に直線線路に差し掛かっているせいか、列車の横揺れはなく快適だ。

車窓から見えるナラボーの景色は退屈ではない。
どこから来たのか、道なき道を列車と競争するかのように走るジープもいる。
ジープは平原をしばらくは並走しているが、そのうち後方に消えてゆく。
時折、錆び付いた車の残骸が何かの芸術のように大地に置かれている。
その車の主は、その後どうなったのだろうか? 

また、ナラボーではエミューやカンガルーなどの動物も頻繁に見ることができる。
夜明け近くにはカンガルーが群れで飛び跳ねている姿を見ることもできるのだ。

ナラボーに出現するカンガルーは、通常より大きめのレッドカンガルーと言う
種類で、ザ・ガン鉄道と共に、長距離列車の2等車両の愛称になっている。
1等寝台はゴールドカンガルーと呼ばれ、こちらは架空のカンガルーの種類だ。
何故、このような架空の名前が付けられたのかスタッフに尋ねてみた。

スタッフは笑いながら、こう切り返した。

「朝日に照らされたカンガルーの毛並みはゴールドに光って見えるのだ」と。

Part six へつづく

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2005-10-01

インディアンパシフィックとナラボー平原 Part four

インディアンパシフィックのメニューはモダンオーストラリア料理だ。
日本食との融合料理なども出るので、味以外にもオーストラリア文化を楽しめる。

1等の食事時間は決まっているが、毎回車内アナウンスがある。
朝、昼、晩と、きちんとセットされている。
4人掛けのテーブルもきちんと決められており、毎回同じ場所に座ることになる。
私は、妻と妻の母の3人で乗車していたので、もう1人と相席になる予定だ。
同席相手は、パースまで息子夫婦に会いに行くご婦人だった。
毎年、これを機に乗るインディアンパシフィックの旅が楽しくて仕方ないらしい。

食事の量はさほど多くなく、若い男性であれば腹六分ほどである。
しかしこの婦人の場合は多すぎるようで、毎回必ず私にくれた。
妻の母からしても少しオーバー気味で、同じように私にくれた。
無償の親切は全て頂戴すると決めている私は、全て残さずお腹に押し込んだ。

車内では動くことが少なく、部屋でぼーっと車窓の景色を見るか、読書に耽るか、
それともバー車両で、一杯やりながら旅行談義に花を咲かせるか、くらいなので、
食事を知らせる一日三度のアナウンスに、私の空腹感は追いつかなくなってきた。

たまには、シェフ達もオージーらしく、時間にルーズになってほしい。
スタッフもオージーらしく、適当に席をアレンジしてくれてもいい。
婦人もオージーだったら、毎回計ったように同じ程度の量を私にくれなくてもいい。
母は日本人なので、毎回きちんと同じ量をくれるのは、まあ仕方ない。
そう思いながら、オーストラリアには似付かわない “きちっと感” を久振りに味わった。
インディアンパシフィックはきっと日常と違う世界を演出してくれているのだろう。
インディアンパシフィックから一歩外へ出た途端、きっと彼らはいい加減になるはずだ。

おかげ様で、シドニーからパースへの道中で、体重は3キロ増えた。
きちんとした生活で体重が増えたのは、初めてかもしれない・・・

Part five へつづく

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