2005-06-08

オーストラリアには持ち主より有名な車がある

スクールホリデーが始まると、多くの学生達はリゾート地へ遊びにでかける。
貧乏な学生達の、その期間の足は個人売買されている車となる。
レンタカーのような役目を果たす個人売買車は1,000ドルくらいで売買
されているものもあり、長く乗り続けるとレンタカーより安くなる。

しかし、何年間もいろんな持ち主に、代わる代わる引き継がれている車の場合、
エンジンが酷使され、燃費も極端に悪く、エアコンなど付けようものなら
毎日ガソリン注入しなくてはならないものが多い。
外見も至っておんぼろで、窓が割れても誰が修理するでもなく、
その時の所有者が段ボールなどで一時的に応急処置をするだけだ。

日本では、絶対走ることのできない、
道路交通法に違反するような外見を持つ、驚くような車もあり、
その町では誰もが知っている有名な車になっている。
地元の住民達からは、所有者が変わる度に
「もう夏がきたのか」と季節の風物詩となって親しまれたりしている。

個人売買車は新聞や雑誌に載せて販売することもできるが、学生は主に、
ショッピングセンターの掲示板に広告を張ったり、車の窓にマジックで
「For Sale」と書いたチラシを付けて走っている。
それを見た人が、気に入れば車を止めて、その場で試乗し、購入となる。
休暇の期限が差し迫った学生のほとんどは、足元を見られ、二束三文で
売り飛ばすのだが、中には1,000ドルで買ったものを、1,200ドルで売るような
商売上手もいる。

車の整備はままならないが、プライベート・セールに関する法律の整備は
しっかりしている。
だからこそ、このような個人売買が盛んなのである。

市民生活にフィットした環境作りは、オーストラリアの得意とするところだ。

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