2007-08-11

祖母の日傘

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祖母の形見の着物を一つ
日傘に仕立て直してもらいました






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 形見の着物はたくさんあるのですが、1枚1枚、「この着物は…」と母から話を聞くたびに、つぶしてしまうことが忍びなくなって、中々選び切れないでいたのですが、「自分で織った着物の中でも、特に好きでよく着ていたもの」、と言う言葉を聞いてようやく選ぶに至ったのでした。

 届いた箱を開ける時のワクワクした気持ち…。待ちきれないほどのこんな想いを感じたのは何年ぶりのことでしょうか。逸る心を抑えてゆっくりと傘を開いてみると、ただ「あぁ…」と言ったきり、あとはもう、言葉になりません。

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 8枚の生地を縫い合わせて組み立てるのが傘としては一般的ですが、蛇の目風のデザインが好きだったので、倍の枚数の16枚で仕立てて頂くことに…。

柄の部分には白木と焦げ茶のストラップを合わせて頂き、何とも渋い仕上がりになりました。

 傘を見ていて気づいたのですが、全体的に青みがかった中に赤い色が散らされている柄だと思っていたのに、光が当たったところだけ、うっすらと黄緑色に反射するので表情がくるくると変わるんですよ!

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大きな大きなこの日傘。


 丁寧に設えられた傘を眺めていると、昼寝をする時にはそっとうちわで扇いでいてくれた姿や、散歩中にガーゼのハンカチで陽射しから守ってくれた思い出が断片的に思い返されて…。

 お盆を迎える前に届いてくれたので、一足先に祖母が帰ってきてくれたように思えてなりません。


 カラカラ、コロコロ、ギー、トントン…


暑い日差しもこれからは、祖母の面影がそっと背中から守ってくれそうな気がします。


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仕立てをお願いしたのは、ハマヲ洋傘店

「NHK人間ドキュメント 日傘 こころ模様 」の放映を見て
決めました。

--- 紹介サイト ----------------------------------------
住友林業ツーバイフォー(株) > 本物主義物語
人物交差点 vol.89 鎌田智子さん
プロフィール * ハマヲ洋傘店

    
続きがあります
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categorycolumn  time20:05