2005-11-30

タイ王国式ハーブボール ~手順と比較~

さぁ、いよいよハーブトリートメントの実践です。

◆◇◆ 手順 ◆◇◆

 ①ハーブボールを水で湿らせる(蒸したときに早く蒸気がまわるように)
 ②スチーマー(蒸し器)で蒸す(目安は20分くらい)
 ③取り出したときはかなり熱いので、
  ハンドタオルなどでくるみ、温度を調節してから身体にあてる
  ハーブボールの温度が下がってきたら、
   調節していたタオルを1枚ずつはがしていってください。

ハーブボールは2個作っておいて、
冷めたらまた湿らせて蒸し、交互に使ってゆくとタイムロスがありません。


トリートメント方法は基本的に自由なので、
自分の気持ちの良いと感じるスタイルで構いませんが、
ゆっくりと転がすように身体の上をマッサージしてゆくと良いでしょう。

足首、膝裏、仙骨、肩甲骨の間、おへその下あたりなどは、
じっくり置いておくだけでも効果があり、足裏は少し強めの圧でじわ~っと押し当てると気持ちいいですよ。

かかとまわり(内くるぶし、外くるぶし)、ひざ、ひじなどの関節周りは、
円を描くように優しくケアしてあげてくださいね。
筋肉や腱の始まりと終わりの部分の緊張が緩和され、楽になります。

 低温やけどを起こす場合がありますので、ご注意ください。
!! スチーマーの空焚きにご注意ください。
!!! 電気スチーマー等をご使用の場合、
     ブレーカーの落ちることがありますので、念のため確認を。

◆◇◆ +α ◆◇◆

・足のむくみや冷えで辛い方は、膝下までの部分的なトリートメント後、
 リンパドレナージュを行って、セサミオイルなどの植物油でエンディング
 すると良いでしょう。
 もちろん、グレープフルーツなどの精油を希釈して使ってもOKです。

◆◇◆ 使用後 ◆◇◆

使用後のハーブボールは、お風呂に入れる、足浴に利用するなど、再利用可。
明日も使いた~い!と言う場合には、
冷蔵庫に入れるか、外で干して完全に乾燥させてくださいね。
そのまま放置すると、カビが生えますよ~。


◆◇◆ 個人的比較評価 ◆◇◆

……………………………………………………【タイ式ハーブボール】
 ・むくみ体質や冷え性の方
 ・ダイナミックなトリートメントには体力や気力がおいつかない方
  (年配の方など)
 ・メンタルな要素からくる身体の緊張をとりたい
と言った方などに、オススメです。

 ▼ハーブボールの優れている点は▼
 お灸より手軽で(ツボの位置を知らなくても大丈夫)、
 手や指と言ったリアリティのある感覚がぼやけるので、
 直接触れない安心感や一定の距離感が生まれ、
 (異性に対して行う時などにも)相互ともに抵抗感が薄れる。

 身近なハーブでも代用が可能。 

 個人的には、
 子供が風邪を引いた時など、介護の手が必要な時の入浴替わりにもなり、
 ハーブの効果以上の役割も担ってくれるのではないかと考えています。

 ▼仕上がり感は▼
 蒸したハーブをじんわり身体にあてがって、
 マッサージをするでもなく、少し重みを乗せながらのアプローチなので、
 肌表面はさらさらとした感じ、肉体は解凍直後の食材のような?
 適度な立体感を体感できると思います。

 また、身体の内側の余分な水分に蒸気を通して押し出すような
 効果もあるような気がするので、
 にごった煙のように体内に存在していた「くすぶり感」が消え、
 軽さや清浄感を心身ともに感じていただけるのではないでしょうか。


……………………………………………………【アロマトリートメント】
 ・心の状態に変化をつけたい
 (不眠、集中など自律神経の切り替えにも役立ちます)
 ・体と心にそれぞれ少し疲労感を感じているとき
 ・肌の状態を美しく保ちたい
と、言った時に試してみてください。


 ▼アロマトリートメントの優れている点は▼
 ・脳の本能的な部分へ直接アプローチできるのは
  五感の中でも嗅覚だけであること
 ・肌から精油の効能を吸収できること
 ・鼻の粘膜から血中へ精油の効能を取り込むことができること
    と言った、3方向へのアプローチが同時に可能であることです。

 また、スキンシップの側面からも「触ってもらっている」と言う安心感が、
 心や身体の緊張も解きほぐしてくれるでしょう。

 ▼仕上がり感は▼
 身体や心、脳にあった「何か」が、クリアにパッと消えた透明感や爽快感が
 あり、その分、心も身体も軽く、キレイになった感じがします。
 もちろんお肌もしっとりスベスベです。


………………………………………………………【リンパドレナージュ】
 ・身体のむくみやだるさ(特に足)を感じる時
 ・ついゴロゴロしたくなるなど、身体や気分が重く感じる
 ・身体が部分的に冷える
と、言った時に試してみてください。


 ▼リンパドレナージュの優れている点は▼
 他のマッサージやトリートメントの類と違い、
 リンパの流れだけを促進するので、
 症状によるトリートメント可能な範囲が広く、免疫力を高める作用が高い。
 
 他のトリートメントに部分的に組み込むことができる。

 ▼仕上がり感は▼
 停滞していた老廃物がリンパの流れに沿って動き出すので、
 要所要所のリンパ節(リンパの塊のような所、例えば、脇とか膝裏等)
 が詰まってくると言うか、身体の内側で「何か」が求心的に
 動いていく抵抗感のような感覚があります。
 発汗や利尿などを通していわゆる毒素と言われる老廃物が体外へ排出されて
 いくわけですが、この過程に心地良い「気だるさ」を体感できる反面、
 アロマトリートメント等のようなダイナミックな手技ではないので、
 心が割と元気なら、ちょっと物足りないかも知れません。
 そんな時には部分的に他の手技と組み合わせてみると良いと思います。

2005-11-30

タイ王国式ハーブボール ~作り方とレシピ~

ハーブ専門店でも見かけるこのハーブボール。

実はとっても簡単にできるんですよ。

正方形のコットンにタイで古来から使われているハーブをいれ、ちょうど「氷のう」のような形にタコ糸でしばるだけなんです。

そして、家庭用蒸し器で蒸しあげたら終わり!

是非、一度トライしてみてくださいね。



     ◆◇◆ 作り方 ◆◇◆



ハーブをコットンに入れ、
テルテル坊主を作るように包み込む


蒸した時に緩まないように、
この時、ボールの部分を出来るだけ小さくするのがコツ…

中のハーブをガシガシつぶす感じで出来るだけ小さくまとめ、
仕上げにコットンの四角をそれぞれ、ぐい~っとひっぱりあげましょう。

ここで、糸の片方を10センチほど残し、一度片結びをしてから糸を縛る感じでぐるぐる巻いていきます。

持ち手は左右の布を内側に織り込み、
細長く整えてから持ち易い長さに畳みます。

まるでムーミン谷の「ミー」のような感じですね♪


そして、残った糸をぐるぐるときつく巻きつけ、最初に残してあった10センチの部分と結び合わせたら出来上がりです。


◆◇◆ 用意するもの  ◆◇◆


 ・ボディ用ハーブ(下記のハーブをトータルで)150g
  ※市販のものでは70g、100gとサイズもいろいろ。
   好みの大きさで構いません。
 ・コットン(大きさにもよりますが、ボディ用で30センチ四方程度)
 ・タコ糸(大きさによりますが、80センチ前後)
 ・スチーマー(蒸し器)

             
………… タイ王国式ハーブボールに使用されるハーブ(一例) …………
              

▼生姜(しょうが)▼ Ginger Zingiber officinale ショウガ科
 … 根 茎 … 風邪、肺の感染症の治療、消化不良、駆風、解熱

▼ポンツクショウガ(プライ)▼ Zingiber / cassumurar Roxb. ショウガ科
 … 根 茎 … 月経不順、消化促進、下痢止め、解熱、鎮痛、殺菌消毒
         傷口の化膿を防ぐ、皮膚病の治療、捻挫、筋肉痛、

▼ タマリンド ▼ Tamarind / Tamarimous indica マメ科
 … 葉 …  去痰、浄血

▼ ウコン ▼ Turmeric / Curcuma longa ショウガ科
 …根 茎… 堪能強壮、抗血液凝固作用、肝臓内の毒素の減少、
         脂肪の代謝促進、抗炎症作用、駆風作用、精神の錯乱

▼ ガジュツ ▼ Curcuma zedoaria ショウガ科
 …根 茎… 子宮頸がんを収縮し放射線療法と化学療法の効果を増大させた
        (臨床試験の結果)
        悪寒、月経不順、利尿作用、抗炎症作用

▼レモングラス▼ Lemongrass / Cymbopogon citrates イネ科
 … 茎 … 殺菌効果、駆風、利尿作用、血行促進、筋肉の調子を整える、
       気分が沈んだ時に

▼こぶみかん▼ Kaffil lime / Citrus hystrix Dc ミカン科
 … 葉  … 沈静作用、咳きとめ、内出血、生臭さを消す
 … 果 皮 … 鎮静作用、駆風、月経不順

▼ 菖 蒲 ▼SweetFlag,Cinnamon Sedge / Acorus calamus Linn サトイモ科
 … 葉 …  筋肉痛、関節痛、頭痛の痛み止め

▼サボンアカシヤ▼ Acasia cocinna (Wild) Dc マメ科
 … 葉 …  去痰(茹でて飲む)、月経周期を整える、
        内臓の脂肪を取る、筋肉痛の緩和(蒸して患部にあてる)

▼クリプトレピス▼ Cryptolepis Buchannani 蔓植物の一種
 …根・茎・葉… 筋肉や腱の緊張を解く

▼ツルアダン▼ Fragrant Screwpine , Umbrella Tree / Pnadanus odorus Radl
タコノキ科  
 … 葉 … 心臓の強壮、解熱剤、体力増強

▼クロトン(ハズ)▼ Croton oblongifolius Roxb トイウダイグサ科
 … 葉 … 身体を温める、消化促進、去痰、痒み止め、体力増強

▼シダレトバ▼ Jewel Vine / Derris Scandens Benth マメ科
(茹でて飲む)胃腸の調子を整える、便秘解消、利尿作用、去痰、
       精神の沈静化、身体のだるさや疲れを取る

▼スパイダーツリー▼ Spidar Tree / Crinum asiaticum ヒガンバナ科
産後の子宮復古を助ける

▼クスノキ・ホウショウ▼Camphor Tree / cinnamomum camphore クスノキ科
鎮痛、殺菌、血行促進

▼ユーカリグロビュラス▼Eucalyptus Blue Gum / Eucalyptus globules フトモモ科
 … 葉 … 気管支炎、喘息など呼吸器系の症状の緩和、
       やけど、傷など皮膚症状の緩和


…………………… などなど ……………………


◆フェイス用には、美肌効果や緊張の緩和を期待して、
 
  黒ゴマ70g + ツルアダン+ サボンアカシア = トータル100g
  の、少し小ぶりのハーブボールを作ってみるのも楽しいです。




さて、レシピはタイ古来から使われてきたハーブとしてご紹介していますが、
全部を使わなければならないことはなく、もちろん、タイにこだわらず、
お好きなハーブで試してみるのもいいと思いますので、
まずは手に入れやすい身近なハーブから始めて、
是非、自分なりのオリジナルレシピを楽しんでみてくださいね。  
続きがあります

2005-11-30

トリートメント!その前に…

少しずつ、セラピストとしての自分の目指す方向が見えてきたこの頃。

…◆…

ハーブボール他、アロマトリートメントやリンパドレナージュなど、広く日本で紹介されているセラピーやトリートメント全般に対する「付き合い方」について少し触れてみたいと思います。………………………◆…………………… ……………◆……………………………………………

◆◇◆補完療法◆◇◆
長い時間をかけてそれぞれの土地で根付いてきた様々な民間療法には、確かに素晴らしいものがたくさんあり、所謂「不定愁訴」と呼ばれるグレーゾーンにおいては、体質の改善や状態の改善に役立つものもありますが、その反面、個人差があるのも否めません。
「診断」や「治療」は医師のみが行える行為なので、日本においてこれらセラピーとして紹介されているものは、あくまでも「補完」の域内であることを心に留めておいてくださいね。


◆◇◆好転反応◆◇◆
健康や美を維持するため、身体の中にある様々な不要物を排出する目的で行うトリートメント。施術後、その「不要物」が排出されるまでの間、個人差はあるものの一時的に状態が悪くなったような反応の出ることがありますが、それを「好転反応」と呼びます。

例えば、身体がだるくなる、熱っぽくなる、尿の色が濃くなる、また臭いがきつくなる、静脈が浮き出る、などの状態を指しますが、そのほとんどは老廃物が体外へ排出されるまでの一過性のものですので心配には及びませんが、トリートメント後しばらくは、ゆったり過ごされることをオススメします。

また、円滑な毒素排出のために、トリートメント前後の充分な水分補給もお忘れなく。


◆◇◆禁忌◆◇◆
どんなトリートメントでも「してはいけない時」があります。

発熱時や感染症にかかっている時、食後すぐ、など…。
また、肩の凝りをとるためとは言え、高血圧の方にいきなり肩から施術を始めると、血行が良くなりすぎて循環器に負担をかけてしまうこともありますし、
精油によっては、例えば妊婦の方にはそぐわない効果を発揮してしまうものもありますので、必ず、自分の身体にマイナスに働くことのないよう、施術者に確認するか、参考とする本などできちんと確かめてくださいね。


◆◇◆皮膚刺激と皮膚感作◆◇◆
精油などを肌に直接塗布した際、かゆみや炎症、湿疹などの反応がすぐに出てくる状態を「皮膚刺激」と呼びます。
これは、刺激となる物質との接触によっておこる単純な反応で、刺激の少ない石鹸などですぐに洗い流し、植物油で肌に残った刺激物質を希釈すると良いでしょう。

皮膚のアレルギー反応の一種で、通常「発疹」として現れますが、他の人は問題ないのに自分だけアレルギー反応を引き起こしたり、これまで全く問題なく使っていた精油などが、ある時を境に強烈な炎症作用を引き起こすアレルゲン(アレルギーを引き起こす成分)に変わるなどの現象を「皮膚感作」と呼びます。
どの成分がアレルギーを引き起こしているのか、また、引き起こすのかは個人差があり、特定も困難なので、アレルギー性疾患をお持ちの方や肌の弱い方は注意が必要です。


◆◇◆遠心性と求心性◆◇◆
自分でマッサージをする際、どっちの方向に向かってすればいいの?
と不思議に思ったことはありませんか?

その基点となるのが心臓で、心臓から見て末端、外側に向かって行うのが「遠心性」、心臓に向かって行うのが「求心性」となります。

大まかに言うと、「遠心性」の施術は心臓から送り出した血液の流れを助ける作用があり、「求心性」の施術には心臓に戻る血液の流れを助ける作用があるのですが、老廃物の排出、血行促進など、自分で戻す力が減退している時には「求心性」の方向の方がより効果的と言え、足先から心臓に向かって始め、指先から心臓方向へ、そして頭部から心臓方向へ、と言う流れが、身体にも負担が少ないと言われています。