2013-08-24

世界遺産 洞窟住居群(サッシ)の南イタリアの町 マテーラ

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長靴型のイタリア半島の土踏まずのあたりに位置する南イタリアのバジリカータ州に、世界遺産に指定された洞窟住居群(Sassiサッシ)で有名な町マテーラがあります。

Sassiサッシとはイタリア語で「石(複数形)」を意味し、このあたりは風雨などによる自然の洞窟が形成されやすい石灰岩の多い地質だったため、旧跡時代から人々が洞窟内に住むようになったと言われています。

それ以来、時代と共に住居として整えられ教会や道ができ、ひとつの町として形成されていきました。

しかし20世紀初頭頃から農業経済の衰退などにより、家畜用の洞窟にも住居として人が住むようになり、貧しい人々がひとつの狭い洞窟内に家畜と同居するという、衛生状態が非常に悪い環境となってしまいました。

そのため政府は1950~1960年代にかけて、洞窟住居に住んでいた人々をマテーラ郊外に建設した新たな集合住宅へ強制的に移転させました。

それまで貧しい人々が、洞窟住居内でどのような暮らしをしていたのか、洞窟住居博物館 Casa grotta di vico solitario カーザ・グロッタ・ディ・ヴィーコ・ソリタリオで見ることができます。

洞窟住居博物館 Casa grotta di vico solitario 公式サイト
http://www.casagrotta.it/index.php?lang=jp

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日本語のパンフレットや、オーディオガイドもあります。

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かつて洞窟住居群は非衛生的で貧しい南イタリアの象徴のひとつであり、また洞窟住居の住民が新たな集合住宅に移転してからは無人の廃墟と化してしまいましたが、1993年に世界遺産に指定されてからは観光地として賑わうようになりました。

また、キリストの「受難」を描いたメル・ギブソン主演の映画「パッション」や、007 シリーズ「ノー・タイム・トゥ・ダイ」の映画のロケ地ともなっています。

廃墟となっていた洞窟住居群は現在、その約5分の1が宿泊施設や土産物店、飲食店に改造して利用されています。洞窟住居型のホテルに泊まれば、マテーラらしい滞在が楽しめます。

冒頭の洞窟住居群の写真は、パスコリ広場 Piazzeta Pascoli からの眺めです。
地図 https://goo.gl/maps/Deqcs9gEh4SC48Vj8

他にも洞窟住居群が眺められるスポットとして、

町のメイン広場ヴィットリア・ヴェネト広場 Piazza Vittorio Veneto にある展望台
地図 https://goo.gl/maps/TNPoCTWGs4bZwZ827

町で一番の高台にあるドゥオモ(大聖堂)前広場 Piazza Duomo
地図 https://goo.gl/maps/B6qxsnCbdsRXFHT29

もあります。日中の眺めもいいですが、夕暮れ時の夜景も幻想的で素晴らしいです。

洞窟住居群には住居だけでなく、サンタ・マリア・マドンナ・デ・イドリス教会 S.M. Madonna de Idris、サンタ・ルチア・アッレ・マルヴェ教会 S. Lucia alle Malve、マドンナ・デッレ・ヴィルトゥ教会 Madonna delle Virtuといった洞窟教会もあります。

サッシ地区内の道は石がゴロゴロしており舗装されていないので、スニーカーなど歩きやすい靴をご用意ください。また、サッシ地区は道が入り組んでいて分かりにくいので、ご予算が許せばプライベートガイドとの観光がおすすめです。

このユニークな都市マテーラへ、是非訪れてみてください。

2013-08-22

世界遺産 とんがり屋根の建物「トゥルッリ」の町 アルベロベッロ

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最近、日本人観光客に人気のアルベロベッロ。私も早速行ってきました。

この土地独特のとんがり屋根と白い壁が特徴のトゥルッリと呼ばれる建物が林立しているこの町は、1996年にユネスコの世界遺産に指定されました。

トゥルッリが密集している旧市街の西側がリオーネ・モンティ Rione Monti 地区(冒頭の写真)で、約1000軒のトゥルッリのほとんどは土産物屋か飲食店です。観光のメッカとなるのは、主にこの地区になります。

その東側はアイア・ピッコラ Aia Piccola 地区(下記の写真)で、そこのトゥルッリは今でも住居として使用されており、実際に人が住んでいます。

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トゥルッリの建物は、壁が二重構造になっているため、夏は涼しく冬は暖かくて過ごしやすいそうです。

トゥルッリ型の建物の宿泊施設もありますので、観光客でもトゥルッリ滞在体験ができます。

町の中心ポポロ広場 Piazza del Popolo の近くには、この地区に初めて建てられたトゥルッリ以外の建物カーザ・ダモーレ Casa d'Amore や、リオーネ・モンティ地区のトゥルッリが見渡せるベルヴェデーレ Belvedere があります。

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ここでトゥルッリをバックに記念写真を撮る観光客がたくさんいます。

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そのベルヴェデーレ脇の階段を下りて道を渡ると、リオーネ・モンティ地区になります。

私が行ったときは、8月の夏休みシーズン、かつ週末だったせいか、外国人観光客のみならず、イタリア人の家族連れもたくさん見かけました。

リオーネ・モンティ地区には、最近日本人観光客が多いせいか、店先のあちこちに日本語の案内があります。その中に、アルベロベッロに住む唯一の日本人女性、ウワサの(?)陽子さんのお店を発見。

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私が行ったときは、陽子さんは日本に里帰り中でいませんでしたが、普段はお店にいるそうです。このお店の奥の階段を上ると、トゥルッリが並ぶ通りが見渡せるテラスがあります。

彼女のお店でお買い物がてら、お勧めのレストランや観光スポット情報などを聞いてみるのもいいかもしれませんね。

リオーネ・モンティ地区の奥には、トゥルッリ建築の教会として有名な、サンタントニオ S.Antonio 教会 があります。

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ポポロ広場をはさんで反対側は新市街。リオーネ・モンティ地区の散策が終わって一息ついたら、是非こちらも。

広場から伸びているメイン通り、ヴィットリオ・エマヌエーレ大通り Corso Vittorio Emanuele をまっすぐ行くと、町の主要教会であるサンティ・メディチ・コズマ・エ・ダミアーノ聖堂  Santuario dei Ss. Medici Cosma e Damiano や、その先を少し行くと、唯一の2階建てのトゥルッリ、トゥルッロ・ソヴラーノ Trullo Sovrano があります。

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トゥルッロ・ソヴラーノは18世紀に建てられたもので、当時のお金持ちが住んでいたそうです。内部には当時のままのサロン、キッチン、寝室、ゲストルーム、中庭が残されています。(内部見学可)

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この地域の名物料理と言えば、耳たぶの形をしたパスタ「オレッキエッテ Orecchiette (小さい耳の意味)」。

写真のはミートボール入りのトマトソースであえてありますが、ラーパというホウレン草に似た青菜とミニトマトであえたものもあります。

他にもマカロニを半分に割って開いたような形のカヴァテッリ Cavatelli のパスタも、この地域の名物です。

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アルベロベッロでは、是非オレッキエッテか、カヴァテッリのバスタを味わってみて下さい。

お土産屋さんでも、オレッキエッテやカヴァテッリの乾燥パスタが売られていますので、お土産に日本に持って帰って、日本でも作ってみるのもいいかもしれませんね。

アルベロベッロへの行き方ですが、この町にはイタリア国鉄の駅がないので交通が不便です。

最寄りの空港はバーリ空港、最寄りの国鉄駅はバーリ中央駅になりますが、バーリからアルベロベッロへは、私鉄の列車で1時間半ほどかかります(本数は約1時間に1本)。

バーリ空港、又はバーリ中央駅からアルベロベッロへは、送迎車を利用した方が便利です。

日本からアルベロベッロの最寄のバーリ空港へは、アリタリアのローマ乗継ぎ便が便利です。

イタリアの他の都市から陸路で移動の場合、ローマ・テルミニ駅からバーリ中央駅まで、ユーロスターの直通高速列車が出ています。所要時間約4時間、本数は1日に3本(朝、午後、夕方)程度しかありませんので、時間が合わないと不便かもしれません。

それから、「南イタリア周遊」と称して、アルベロベッロに加えてナポリもというパターンもありますが、ナポリからバーリまでの飛行機の直行便や直通列車はないので、(どちらも途中で乗り換えが必要、かつローマから移動の場合より時間がかかる)旅程を組む際は注意が必要です。

アルベロベッロは小さい町ですので、半日か1日あれば十分に見て周れます。但し、坂道が多いので歩きやすい靴をご用意下さい。

もし日程に余裕があれば、アルベロベッロの近郊にある「イトリアの谷」めぐりもお勧めです。

イトリアの谷には、オストゥーニ、マルティーナ・フランカ、ロコロトンドという3つの町があり、どの町の建物も壁が真っ白に塗られています。

白い建物の間をぬうような小路を歩いていると、おとぎ話のような世界に迷い込んだような気がしてきます。

アルベロベッロから私鉄の列車で行かれますが、それぞれの3つの町の間の乗継時間を事前に時刻表で調べておく必要があります。

時間帯によっては、無駄な待ち時間ができてしまう場合があるので、こちらも専用車のツアーを利用した方が便利かと思います。