2005-05-31

添乗体験談-海外添乗 懐かしのカナダ編

このところ、カナダ方面の旅行相談にのっていることもあって、企画を考えたり、現地情報を調べたりしていると、すっかり仮想旅行にハマッてしまい、無性にカナダに行きたくなってくる。
私の場合、カナダに限らず、そのとき取り組んでいる旅行先は、どこでも同じように行きたくなってしまうのだが。
実は、カナダは私にとって、特別な場所なのだ。

もう、ずいぶん昔のことになってしまったけれど、私が初めて、親の反対を押し切ってまで実現させた海外生活の場がカナダだった。
OLになって一年で、どうしてもそのまま終わりたくない、英語を学んで旅行の仕事に就きたいと決意を固めて、留学することにしたのである。

東のバンクーバーで9ヶ月、西のモントリオールで3ヶ月を過ごした。
お金は無かったので、贅沢な旅行はできなかったが、自分で動けるだけは色々なところに出かけた。
バンクーバー島の名も無き浜辺の風景や、モントリオールからハリファックスまで乗った夜行のVIAレイル。
そして、友人たちとレンタカーを借りて、向かったロッキー。
強烈な印象を受けたそれぞれの景色が、今でも記憶に鮮明に残っている。

モレイン湖

日本へ帰国後、念願の旅行業の職に就くことができた。
そして、その後は添乗員にもなったので、全く予想していなかったことだったが、カナダへの添乗も、数多く依頼されることとなった。
仕事で行くのは、やはりプライベートとは違って緊張感もあり、少し窮屈な思いもしたが、新たな魅力を見つける良い機会にもなった。
それに、プライベートだったら泊まれないような高級ホテルにも泊まれたり(笑)

そんなカナダの添乗で、思い浮かぶエピソードは幾つかある。
印象深いのは、車椅子の旦那さんと奥さんの二人連れがツアーに参加されたときのこと。
不慣れながらも一生懸命お手伝いをしたことで、本当に心から喜んでもらえ、お礼の手紙が会社に届いた。その旅行が一生の記念になったと書かれていた。
最初お二人は、他のお客様に気を使われ、自分達がペースを遅らせてしまうと心配されていた。
実際、私自身も他の方からのクレームが出ない様、かなりの神経と気を使った覚えがある。
けれども最終、ツアー参加者の全員がとても仲良く、協力的に接してくれ、無事楽しんで頂けたのだった。

他にも、比較的リーズナブルなツアーで、十数人のお客様のうちに、二組もハネムーナーが参加されていたことがあった。
通常、ハネムーナー参加は事前に知らされていたりするのだが、この時は、私には事前情報が入っていなくて、予想もしていなかった。
ツアー途中で、たまたま会話の中から偶然発覚した。
そのため急遽、ディナーの時にケーキを用意し、みんなでお祝いをしようという展開になったのだ。
そのケーキもシャンパンも、もちろんポケットマネーから。
これは、そこまでしなければいけないのではなく、私自身が、一緒に旅行を楽しみたかっただけのこと。
みんなで、乾杯をしたその時の笑顔も、素敵な思い出になって残っている。

初夏のカナディアンロッキーで雪が降って、驚いた反面、珍しい体験ができたことを、お客さんと一緒に喜んだり。
初めて紅葉のメープル街道を添乗した時に、モントリオールからオタワまで、バスの移動中、自分で案内をしなければいけなくて、心中はドキドキしながらもクイズや歌で頑張ってみたり。
朝、バンクーバーのホテルを出発しようとしたら、前夜盗難に遭ってしまった方がいて、その対応に追われたり。

こんなに、たくさんの貴重な体験をさせてもらい、人生に大きな影響を与えてくれた国に、今度はいつ行けるのだろう。
こっちゃんと、二人でロッキーの壮大な景観を楽しめる日は近い?のだろうか・・・

2005-05-18

添乗体験談-海外添乗 中国編

ある程度、国内の添乗を経験した後に、海外添乗に行けることになった。
初めての海外添乗は、中国3都市(西安・北京・上海)周遊。
友人同士のおじいちゃん達8人グループ。
添乗員になる前に、海外旅行には結構行っていたのだが、中国は初めてだった。
初海外添乗に、初めての国というのはキツイ。
知らなくても、知ったかで自信を持って!とレクチャーされてはいたものの、一日で帰ってくるわけじゃないのだから、一緒に行動していれば、そのうちに、ボロも剥がれてバレバレにもなる。

結局、グループの中に、中国にかなり渡航暦のあるおじいちゃんがいたので
「なにー、あんた、中国は初めてか?」
と言われてしまった。
仕方なく諦めて「えぇ・・・この町は初めてで」と往生際の悪い返事をした。
その後、おじいちゃんは自分の行った中国の町について、さも自慢げに、延々と解説をしてくれた。
その様子は何だか微笑ましかった。

まっ、みんな気のいい人ばかりだったので、とても可愛がってもらえて、特に問題も起きず無難な初添乗であった。

万里の長城

中国の周遊ツアーの場合、現地での行動中は、現地ガイドと周遊ガイドの2人が一緒についてくれることがある。
実際、8人のおじいちゃん達に、私を含め3人も添乗員がついたのだ。
説明や手配なんかは、中国人ガイドにまかせっぱなしでOKなのだが、やはり細かな日本人的ケアは望めない。
ガイドとおじいちゃん達の間で架け橋になり、ツアーを見守るといった役目を心がけた。

興味深かったのは、西安の大雁塔で、塔に登ることになった時。
手荷物を持たずに登って下さいと案内され、私とガイドが登らずに下で待っているということになった。
中国人ガイドが「私達が預かってまーす」と声をかけたら、8人全員が一斉に私の方へ預けに来たのだ。
やっぱり、信用度の度合では、日本人同士ということが大きかったのかもしれない。

今思うと、初めて見た万里の長城や、故宮や兵馬俑に対する感動よりも、旅行中のそんなちょっとした出来事の方が、心に残っている。
これが、旅行の醍醐味なのかもしれない。

2005-05-18

添乗体験談 ぷろろーぐ

昨日、引き出しの中から、写真が出てきた。
ちょっぴり懐かしいその風景は、山頂に白く雪がかかったヒマラヤの山並みであったり、古代からの歴史をかんじさせるアンコールワットの遺跡、そしてエジプトのスフィンクスやピラミッドだった。
添乗をしていた頃に、今後の参考用にしようと、訪れた場所の風景を何枚か撮影して残しておいたものだった。

今ではすっかり、日々の生活に終われ、育児に奮闘中の私だが、実はそんな頃もあったのだ。といっても、本当にほんの数年前の話なのに・・・生活はがらりと変わった。

今の生活には変化はないけれど、充実している。
旅行も大好きだけど、仕事で行くというのとは違い、最愛の娘と二人で行ける楽しみが(苦労もだけど...)できた。
それでも、久しぶりに目にした記念写真やお礼の手紙にはジーンとくるものがある。
とても感慨深く、添乗員って面白かったなーと、色々なことを思い出させられた。

一見、華やかにみえる添乗の仕事って、本当は体力勝負なのだ。
楽しかったことも多いが、いっぱいハプニングもあった。
辛いとか悲しいことよりも、嬉しかったことの方が、だんぜん多い。

せっかくなので、自分の記憶が残っているうちに、思い出を綴っておこう。

ピラミッド&らくだ