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2005-08-09

夏の匂い

蚊取線香、カブトムシに与えたスイカの皮、線香花火、
かき氷のシロップ 、海水浴に行ったときの潮の香り、

日本の夏を象徴する匂いはたくさんある。

夏でなくとも、夕食の時間が近づくと、プーーンと
町中各家庭から調理する匂いが漂ってきて、
1日の終りが近いことを告げてくれる。
隣の家のメニューまで想像するのは、また楽しい。
授業に集中できなくなるぐらい、教室中に漂う給食の匂いも
また小学生、中学生時代の貴重なとってもなつかしい思い出。

でもドイツにはその匂いが皆無に等しい。
食事も、夕食はパンとハムで済ませ火を使う料理をしない
家庭が多く、料理をしてもオーブンを使う料理が多いためか、
外にまで漂うことはない。朝、せいぜいコーヒーの香りが
部屋にたちこめるぐらいだろうか。
住居が一番重要で、そして清潔好きな国民性からか、匂いや煙は
家や真っ白い壁を傷める不快なものに他ならない。
魚を焼く煙なんて、もっとも嫌われる。 魚もムニエルに
するか、そっとフライパンで控え目に焼く程度。

自然を愛し、新鮮な空気を取り入れることにはとても熱心、
草木花の香り漂っていても、日常生活の足跡は残さないのである。
そんな無機質なところがあり、それがどうも物足りない。

でも、唯一夏だけ許される。
ドイツ人が5月頃から 夏の楽しみ、そして夏の象徴として
もっとも力をいれる、バーベキュー (独語で グリル)。
あれだけ、煙も匂いもいやがる国民なのに、
となりの庭からモクモクしていても、夏だけは特別だ。
あ?グリルをやっているな?と、とても寛容で、誰もが
心浮かれてくるらしい。

(猛暑の折、胃にうっとくるような写真で大変失礼!!)

夏が短く、湿度も低く、それほど気温も上がらないドイツでは
日本でいうそうめんや、冷やし中華のような夏を象徴する食べ物が
ない。夏といえば何が食べたい?何を思い浮かべる?
と聞くと、たいてい、”当然バーベキュー!!外で焼いたポークステーキ
にソーセージさ!”という答え。
暑くて食欲が落ちるといいながら、夜にはしっかり回復し
大量のお肉をたいらげていく。スタミナの違いなのか!
ようは1年中、お肉とソーセージを食べている。
5月以降の天気のいい週末には、お肉やさんも大繁盛。
グリル用の味付け肉とソーセージが飛ぶように売れる。
繁盛している様子がニュースで取り上げられる時もある。
お肉は、ハーブ味、パプリカ味、カレー味などに味付けされ、
豚バラや串焼きもある。これがまたとっても美味しい!!
つけ会わせは、パンか、
右の写真のようなヌードルサラダ(サラダといっても野菜はなし)、
ポテトサラダなどを添える。
野菜摂取量がとても少なく 野菜をグリルにすることはまれだ。

日も長く、21時頃まで明るく、蚊も少ないので、バーベキューには
最適だ。町が活気づき、人々が陽気になり、夏のバーベキューは
とても明るい気持にさせてくれる。
あらためて 夏なんだと実感できる時でもある
おかげで、こちらでは夏バテどころか、夏になると体重増加する人が
とても多い。私も哀しいかな例外ではない。

そうそう、匂いといえば、ドイツ人家庭にお邪魔すると
綺麗に整頓され、センスよく飾られた部屋には目をみはり、
心から感心するが、これといった匂いがない。

韓国人の友人の家に行くと、キムチの匂いがよくするし、
タミール系マレーシア人の家に行くと、お香とカレーの香辛料の
匂いがいつもする。
そしてなぜがとてもほっとする。 やっぱりアジアだな?。
日常生活や季節の匂いがすると1日を生きているという
実感が湧いてきて、また明日へのエネルギーにつながって行くのだ。
ドイツ人はお肉からパワーを得て、アジア人は五感で感じとる繊細さから
パワーを得ているのではと、最近よく思う。
authornakajima  linkLink   
categoryドイツ便り  time07:38

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