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2006-06-07
平和な国からお勧めしたい1冊の本 【図書館への道】
ドイツは 1445年 中部フランクフルトの近郊 マインツに
住む、グーテンベルグが 聖書を大量製作するために、
ワイン用葡萄つぶし機を改造し、世界初の印刷機に成功した、
活版技術発祥の地。
世界各国から 出版社、出版人が集う巨大ブックフェアが
フランクフルトでも毎年10月に開催されている。
書店はいたるところにあり、それぞれの都市、町には 図書館が
あたりまえのように整備され、いつでも誰もが本に親しめる
環境が整っている。
日本と同じようにドイツは現在平和である。
経済的にも豊かな国である。
そのため日本と同じような悩みをかかえている。
通信技術の発達による広がるネット社会、
日本から大量に入ってくる漫画文化、
子供たちが熱中するコンピューターゲーム
急速に進む、子供、若者たちの活字離れ
そのせいだけとは限らないが、犯罪、非行の低年齢化も
深刻な社会問題となっている。
図書館に群がる子供たちの興味は、書籍より 無料で借りられる
DVDやソフト、ビデオ等。 誕生日やクリスマスのプレゼントに、
本を贈ってもあまり喜ばれなくなり、
我が子たちも、口をぽかっとあけて夢中でテレビに見入ったり、
プレステ等のコンピューターゲームに必死になっている様子を
みるとこのままではいけないと、危機感を感じる毎日であった。
そんな時、2年前ドイツ旅行をお手伝いさせて頂いた
ウェブトラベルのお客様、 渡辺 有理子さんから
1冊の本が届けられた。
当時旅行の相談メールでのやりとりのなかで、彼女が
以前 タイの難民キャンプで働いていらっしゃったこと、
そしてその事について執筆中であることを伺い、
本が出来上がった際には是非読ませて頂きたいとお願いしていた。
その約束通り、有難いことにはるばるドイツまで執筆された本を送って下さったのだ。
司書教論だった有理子さんは、社団法人シャンティー国際
ボランテイア会(SVA)により、タイにある ビルマ (現ミャンマー)
難民キャンプへ派遣され、図書館建設と 図書館員養成の指導員
として3年間を過ごされた。そこには、ビルマ軍事政権から
弾圧を受けている 小数民族のカレン族13万人が住むという。
難民キャンプというと何を思い浮かべるだろう。
貧しい人たち、かわいそうな人たち、
支援によって食糧が供給され、教育、医療活動が行われている
ところ、、でもなぜ、、そこに図書館が必要だったのだろう?
長い避難生活が続く中、生きていくための食糧、物資支援の
配給はほぼ整っており、人々が求めているものは、本による、
しかも母国語での本を供給することによる心の支援という
観念のもと、、この活動が実施されている事を知る。
本当の難民の心を想像もできない自分が恥ずかしくなった。
もともと数少ないカレン語の本だったが、図書館開設のため
他言語からカレン語に翻訳、はりつけ 本を揃えられたという。
著者、有理子さんの素晴らしい文章力でどんどんその世界に
引き込まれていく。頭が下がる思いで、あっというまに
ページが進む。
でも、この本は、単にボランテイアは大変だけれど、
やりがいがあるとか、難民はかわいそうとか、
そんな画一的なことを訴える本ではなかった。
決して、人助けをしているというおごった気持ちや
難民は貧しいという、差別、偏見な心がなく、
難民たちの心、文化、母国語、考え方を尊重した上での活動は、
本当に感銘する。
ただただ、有理子さんが 本が好き、本の持つ世界が好き、
本が人に与える影響力、活力を信じ、、
それだけを信念に必死に活動されておられたのだ。
それが、子供たち、現地の大人たちの心に伝わっていく。
設計から始め、出来上がった図書館には、常に子供たちが
おしかけ、イキイキした表情で本を読み、読んでくれるお話し
に必死に耳を傾け、母国に帰れないつらさ、記憶に残る恐怖、
苦しみをまぎらわし、世界をふくらませ未来を夢みていく。
その証拠に本書に掲載されている写真の子供たちの笑顔がなんて
いきいきしているのだろう。
本てこんなに力があったのか、、文化継承と母国語って
こんなに大切だったのかと顎然としたのは私である。
豊かな国に暮らす私である。
マラリアに感染されたり、
カレン族の頑固おやじが意見、意地を通し続けたり、、
日本人に戦争時辛い目にあわされた歴史の話しを知り
日本人は嫌いだと面とむかっていわれたり、、
洪水で苦労した図書館が跡方もなく流されたりと
ご苦労も多かったという。
でも本の楽しみを伝えたい、その一心での活動だったのだろう。
彼女のお母様も、1970年代子供たちがテレビに夢中に
なっている姿に危機感を感じ、ご自宅の1室を開放し、
子供たちに本を読む楽しさを教えられた方。
そのお母様の情熱、心を見事受け継がれ、それを難民キャンプで
実践、活動された有理子さん親子にはただただ感心するばかり
である。
私は、百聞は一見にしかず、人々の心に何かが残ることを
喜びに、旅行という平和産業の中で長年仕事をしている。
でもただそれだけで、世界を見たような気になっていた。
でも、戦地、自然災害地、またこのビルマや、北朝鮮、
チベットのような政治的迫害を受ける国、民族も数多く、
それはニュースで見て知る程度の一般知識でしかなかった。
でもそんなところへ旅行できるわけもなく、その事を知るため
には、やはり本、活字が大きな役割を果たすのである。
私のお客様が執筆されたからという理由ではなく、
一人の人間として、平和な国に住む人間として
是非この本を手にして読んで頂きたく、ここに紹介させて
頂きたい。
●本の題名:【図書館への道】
ビルマ難民キャンプでの 1095日
●著者: 渡辺 有理子 氏
●出版社; すずき出版
ISBN4ー7902ー9103ー0
●定価: 1、600円 +税
この1冊から間接的にいろいろな問題が読者へ投げかけ
られ、考えさせられるきかっけとなるに違いない。
私は、きっと今後の人生を送っていく中で、迷った時、
立ち止まった時何度もこの本を手にし、読み返すことだろう。
??著者の言葉: (本書より抜粋)??
食べ物は子供たちの”体の栄養”になるけれど
図書館でたくさんのお話しを聞いたり、絵本を読んだりする
ことは、子供たちに多くの発見と感動を与え、想像力の翼を
広げます。それは決して目には見えないけれど、
”心の栄養”となるでしょう。
??カレン族 の ポサクレ君
(10才、難民キャンプ在住) (本書より抜粋)??
図書館に行くと幸せな気持になれるから
自然と笑顔になれるから
図書館で知ったことは、
僕の人生にとって金のように光輝く
どうか図書館が僕のそばから消えてなくなりませんように。
僕に未来の希望を与えてくれる場所だから
僕は世界で いちばん、 図書館が好き
住む、グーテンベルグが 聖書を大量製作するために、
ワイン用葡萄つぶし機を改造し、世界初の印刷機に成功した、
活版技術発祥の地。
世界各国から 出版社、出版人が集う巨大ブックフェアが
フランクフルトでも毎年10月に開催されている。
書店はいたるところにあり、それぞれの都市、町には 図書館が
あたりまえのように整備され、いつでも誰もが本に親しめる
環境が整っている。
日本と同じようにドイツは現在平和である。
経済的にも豊かな国である。
そのため日本と同じような悩みをかかえている。
通信技術の発達による広がるネット社会、
日本から大量に入ってくる漫画文化、
子供たちが熱中するコンピューターゲーム
急速に進む、子供、若者たちの活字離れ
そのせいだけとは限らないが、犯罪、非行の低年齢化も
深刻な社会問題となっている。
図書館に群がる子供たちの興味は、書籍より 無料で借りられる
DVDやソフト、ビデオ等。 誕生日やクリスマスのプレゼントに、
本を贈ってもあまり喜ばれなくなり、
我が子たちも、口をぽかっとあけて夢中でテレビに見入ったり、
プレステ等のコンピューターゲームに必死になっている様子を
みるとこのままではいけないと、危機感を感じる毎日であった。
そんな時、2年前ドイツ旅行をお手伝いさせて頂いた
ウェブトラベルのお客様、 渡辺 有理子さんから
1冊の本が届けられた。
当時旅行の相談メールでのやりとりのなかで、彼女が
以前 タイの難民キャンプで働いていらっしゃったこと、
そしてその事について執筆中であることを伺い、
本が出来上がった際には是非読ませて頂きたいとお願いしていた。
その約束通り、有難いことにはるばるドイツまで執筆された本を送って下さったのだ。
司書教論だった有理子さんは、社団法人シャンティー国際
ボランテイア会(SVA)により、タイにある ビルマ (現ミャンマー)
難民キャンプへ派遣され、図書館建設と 図書館員養成の指導員
として3年間を過ごされた。そこには、ビルマ軍事政権から
弾圧を受けている 小数民族のカレン族13万人が住むという。
難民キャンプというと何を思い浮かべるだろう。
貧しい人たち、かわいそうな人たち、
支援によって食糧が供給され、教育、医療活動が行われている
ところ、、でもなぜ、、そこに図書館が必要だったのだろう?
長い避難生活が続く中、生きていくための食糧、物資支援の
配給はほぼ整っており、人々が求めているものは、本による、
しかも母国語での本を供給することによる心の支援という
観念のもと、、この活動が実施されている事を知る。
本当の難民の心を想像もできない自分が恥ずかしくなった。
もともと数少ないカレン語の本だったが、図書館開設のため
他言語からカレン語に翻訳、はりつけ 本を揃えられたという。
著者、有理子さんの素晴らしい文章力でどんどんその世界に
引き込まれていく。頭が下がる思いで、あっというまに
ページが進む。
でも、この本は、単にボランテイアは大変だけれど、
やりがいがあるとか、難民はかわいそうとか、
そんな画一的なことを訴える本ではなかった。
決して、人助けをしているというおごった気持ちや
難民は貧しいという、差別、偏見な心がなく、
難民たちの心、文化、母国語、考え方を尊重した上での活動は、
本当に感銘する。
ただただ、有理子さんが 本が好き、本の持つ世界が好き、
本が人に与える影響力、活力を信じ、、
それだけを信念に必死に活動されておられたのだ。
それが、子供たち、現地の大人たちの心に伝わっていく。
設計から始め、出来上がった図書館には、常に子供たちが
おしかけ、イキイキした表情で本を読み、読んでくれるお話し
に必死に耳を傾け、母国に帰れないつらさ、記憶に残る恐怖、
苦しみをまぎらわし、世界をふくらませ未来を夢みていく。
その証拠に本書に掲載されている写真の子供たちの笑顔がなんて
いきいきしているのだろう。
本てこんなに力があったのか、、文化継承と母国語って
こんなに大切だったのかと顎然としたのは私である。
豊かな国に暮らす私である。
マラリアに感染されたり、
カレン族の頑固おやじが意見、意地を通し続けたり、、
日本人に戦争時辛い目にあわされた歴史の話しを知り
日本人は嫌いだと面とむかっていわれたり、、
洪水で苦労した図書館が跡方もなく流されたりと
ご苦労も多かったという。
でも本の楽しみを伝えたい、その一心での活動だったのだろう。
彼女のお母様も、1970年代子供たちがテレビに夢中に
なっている姿に危機感を感じ、ご自宅の1室を開放し、
子供たちに本を読む楽しさを教えられた方。
そのお母様の情熱、心を見事受け継がれ、それを難民キャンプで
実践、活動された有理子さん親子にはただただ感心するばかり
である。
私は、百聞は一見にしかず、人々の心に何かが残ることを
喜びに、旅行という平和産業の中で長年仕事をしている。
でもただそれだけで、世界を見たような気になっていた。
でも、戦地、自然災害地、またこのビルマや、北朝鮮、
チベットのような政治的迫害を受ける国、民族も数多く、
それはニュースで見て知る程度の一般知識でしかなかった。
でもそんなところへ旅行できるわけもなく、その事を知るため
には、やはり本、活字が大きな役割を果たすのである。
私のお客様が執筆されたからという理由ではなく、
一人の人間として、平和な国に住む人間として
是非この本を手にして読んで頂きたく、ここに紹介させて
頂きたい。
●本の題名:【図書館への道】
ビルマ難民キャンプでの 1095日
●著者: 渡辺 有理子 氏
●出版社; すずき出版
ISBN4ー7902ー9103ー0
●定価: 1、600円 +税
この1冊から間接的にいろいろな問題が読者へ投げかけ
られ、考えさせられるきかっけとなるに違いない。
私は、きっと今後の人生を送っていく中で、迷った時、
立ち止まった時何度もこの本を手にし、読み返すことだろう。
??著者の言葉: (本書より抜粋)??
食べ物は子供たちの”体の栄養”になるけれど
図書館でたくさんのお話しを聞いたり、絵本を読んだりする
ことは、子供たちに多くの発見と感動を与え、想像力の翼を
広げます。それは決して目には見えないけれど、
”心の栄養”となるでしょう。
??カレン族 の ポサクレ君
(10才、難民キャンプ在住) (本書より抜粋)??
図書館に行くと幸せな気持になれるから
自然と笑顔になれるから
図書館で知ったことは、
僕の人生にとって金のように光輝く
どうか図書館が僕のそばから消えてなくなりませんように。
僕に未来の希望を与えてくれる場所だから
僕は世界で いちばん、 図書館が好き