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2005-10-12

エコツーリズムって何で必用なの?

さて、前回の続きですが、写真と本文は何も関係がありませんので。。。
ちなみに沖縄、座間味島でシーカヤックを楽しんでいるところです。


 巨大化して猛威を振るうハリケーンや台風、雨が全く降らないと思いきや翌日には被害が出るほどの豪雨…。どうやら海水温度上昇などの気象の変化が影響しているらしい。地球の温暖化など、その原因はきっと人間による要因が大きいのだろう。しかしながら、生活を豊かで便利にしていくためには、ある程度(すでに度が過ぎているかも)の自然を破壊することは、しかたがないことか? いずれにせよ、このツケを払うのは僕達の子供や孫になってしまうのは間違いないのだろうが…。自然を守り、壊れた自然を回復させて行きながら、経済も成長させていく事は相反することで、そんな事は到底出来ないのだろうか。   
こうした問題に今、さまざまな分野でそれぞれの立場から、いかに環境にローインパクトであるべきかが考えられ取り組まれている。観光の分野でもこの問題に真剣に向き合おうとする動きが活発になってきていて、それがエコツーリズムというこれまでとは違った旅の概念やスタイルであると思う。
 
 今から25年前の1980年、とても興味深い研究報告がなされている。『東アフリカ国立公園にいるライオンは観光で一生に51万5,000ドルの外貨を稼ぐが、もし狩猟目的で利用されれば8,500ドル、皮革ではわずか1,325ドルしか稼がない』と。ここではライオンを例に挙げているけど、この報告はエコツーリズムが持つ役割とその方向性を示唆していると思う。つまり経済の発展の為に自然を犠牲にしないで、保護していくことで観光資源として持続的に活用し、そこに新たな仕事や雇用が生まれてくる。結果、自然環境を守りながら地域社会や経済の健全な発展にも繋がっていくという訳だ。
 
 僕が大好きな南の国、フィリピンのパラワン島エルニドは今では日本人観光客もよく訪れる高級リゾート地になっているが、ここは観光開発される以前の1980年代まではマングローブ伐採やダイナマイト漁などで資源の枯渇が深刻な問題になっていた地域だった。その後、責任あるリゾート開発によって地元や近隣の多くの人たちが仕事に従事し、ホテル以外のいろいろな方面にも経済的な恩恵を与え地域全体が大きく変化したようだ。一番の変化は住民が環境と観光について自ら考え、自然との新たらしい関係を築き始めたことだという。このようなリゾート開発以外にも、フィリピンでは政府と企業・地元が一体となったエコツーリズム事業が積極的に進められている。
 
 僕の地元の自然学校では川での体験プログラムを通し、川の汚れを実際に見てもらって、どうして川が汚れるのかを説明している。そしてこの川の水も水道水としてみんなに飲まれているということも。そうすると大抵の参加者は自分が普段の生活の中で何ができるのか考えてくれるという。普段、街の中で生活しているとなかなか感じないが、僕自身いろいろなプログラムに参加して、人間も自然の生態系の一部に組みこまれていることが実感できるようになった今日この頃です。
 
 日本でのエコツーリズムの現状を見ると、最前線に立つのは旅行会社よりも、自然学校などのアウトフィッターや環境団体である場合が多い。彼らはとても活発に活動していて、すぐれたプログラムを提供している。僕ら旅行会社はこれらの団体との関係をもっと深めていくべきと思う。    つづく。

 次回は(いつになるか分かりませんが…)エコツーリズムの理念に基づき、さまざまなサービスやプログラムを提供しているオペレーターやボランティアで活動している人達、環境にローインパクトな生活をしている人達を、ご紹介できればと思います。
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