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2008-03-09

Ma4 タートルアイランズ公園

東京ぶんぶん’99,10,22  ボルネオ島最北端に位置する「タートルアイランズ公園」は、マレーシア政府により海亀産卵の特別保護地域に指定されている。

10月中旬、ぼくは一人で海亀保護のボルネオエコツアーに参加した。メンバーは、英国、ドイツ、オランダなど、老若男女織り混ぜ10人余り。1泊2日の行程で、昼間は美しいビーチでシュノーケリングなどを楽しみ、夜は産卵のために上陸する親海亀と、明け方に子亀の放流を見学するスケジュールである。

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10月10日の朝、ぼく達はボルネオ島サバ州のサンダカンの港を出発。タートルアイランズまでは高速船で1時間余り。ようやくセリンガン島に到着する。公園内には宿泊施設として三角屋根のシャレー群が建ち並び、ぼくは予約していたバス・トイレ付きの簡素なダブルベッドの部屋に落ち着いた。

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タートルアイランズの中でもセリンガン島は、特に海亀の産卵が多い島で、1年を通じてその姿が確認される。シーズンは6月から10月。ピークの9月前後は、毎日のように10件以上の産卵が記録される。産卵時間はその日の海、天候のコンディションにもよるが、夜遅くになる場合が多い。この場所で大自然のドラマ、海亀の産卵を見学し、子亀の放流を体験するのだ。

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昼過ぎのスールー海はセルシアンブルーに光り輝き、遙か水平線まで透明な海原が続いている。産卵の準備が始まる夕方からは、上陸する海亀を保護する為に、ビーチに立ち入ることが禁止されている。それまでぼく達は、シュノーケルやフィンを付け、砂浜の先の浅瀬や、岩の間の磯辺を自由に遊びまわった。

真夜中の午前1時過ぎ、レンジャーの先導で月明かりに照らされた海岸線に出る。暗闇の中で、母亀が涙を流しながら産卵する姿に、自然の神秘を感じる。母亀が去った後、レンジャーが保護のために、砂に埋もれたピンポン玉のような卵を掘り出す。ハッチと呼ばれる円筒形の囲いの中で保育するのである。

翌朝、夜明け前の子亀の放流は神聖な儀式である。裏庭に網で区切られた円筒形のハッチの中から、約1ヶ月前に産卵した子亀がポコポコと小さな顔を出す。レンジャーの指導のもと、生まれたばかりの子亀をバケツに集め、海岸に運ぶ。ようやく東の空が乳白色に明るくなり、海からの微風が心地よい。

一匹ずつ丁寧に砂の上に子亀を置くと、子亀は本能のまま波打ち際をヨチヨチと海に向かい這って行く。スールー海の東の空にだいだい色の朝日が昇り、波打ち際の引き潮は、さらさらと優しく透明である。(続)

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