2008-03-15

Ma8 ニア国立公園

東京ぶんぶん’00,02,28   ボルネオ島サラワク州の商業都市ミリとビントゥルの間に位置する「二ア国立公園」は、4万年以上前にその洞窟内に原始人が住んでいたという考古学上重要な場所であり、東南アジアにおける古代文明発祥地のひとつとされている。

2月の下旬、ぼくは一人、ミリ発の二ア洞窟探検ツアーに予約した。ミリの町からバトゥ・二ア村までワゴン車で2時間弱。村から公園まではボートで川を15分。日帰りで二ア洞窟を探検するスケジュールである。

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2月25日の朝、ガイドのジョニーとぼくはボルネオ島サバ州のミリを出発。ワゴン車で1時間40分余り走り続け、ようやくバトゥ・二ア村に到着する。

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公園本部は焦げ茶色の屋根のロッジが建ち並んでいるが、全くのシーズンオフで、人影は無い。事務所に立ち寄り、暇そうにしているパークレンジャーに挨拶し、入園の手続きをする。観光シーズンは6月~10月で、ピークの8月前後は、毎日のように10件以上の団体が訪れ、かなり賑やかだそうである。

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無人のプランクウォークを歩き始める。左右に板根がそびえ立つ静寂なジャングルを黙々と歩くこと1時間半、ようやくニア洞窟の入り口に到着する。

ガイドのジョニーの案内で、最初にトレーダース洞窟に入る。その入り口は濃い緑に囲まれ、山の稜線から涼しい風が吹き下ろしてくる。洞窟の中は薄暗く霞んでいる。

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左手にツバメの巣を採取する労働者のあばら屋を横手に見ながら急な木造階段を繰り返し上下し、薄明かりに照らされた洞窟の切れ目に出る。続けて入ったのがグレート洞窟。その洞窟には竹組み梯子が大規模にかけられ、その上でピリピーノ達が、ツバメの巣を採取している。暗闇の中で、汗を流しながら作業する姿を見上げると、梯子の上からぼく達部外者を睨み下ろしている。その眼光は敵意を含み、おどろおどろしさを感じる。

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最後に、一番奥のペインテッド洞窟に入る。小振りな洞窟は、頭上の岩の割れ目からの陽の光りで、はんなりと明るい。しかし、楽しみにしていた壁画は頑丈な金網の奥にあり、よく見えない。ジョニーがライトをあて、目を凝らすと、赤紫色のU字形のような古代の帆船が、小振りに可愛らしく描かれている。この壁画は1000年以上前のもので、考古学的には貴重なものだそうだ。

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帰り道、ジョニーがグレート洞窟で、先ほどのピリピーノ達に現地語で声をかけると、意外や笑顔になって手を振っている。
「たくさん、取れたそうだ」
オレンジ色の夕日に映える二アのジャングルは、優しく透明である。(完)

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2008-03-13

Ma7 グヌン・ムル国立公園

東京ぶんぶん  ’99,12,04   ボルネオ島中央に位置するサラワク州に属するグヌン・ムル渓谷は、西暦2000年、マレーシアとして、サバ州のキナバル山と並んで、初めてユネスコ世界自然遺産に登録された国立公園である。

11月の下旬、ぼくはかの有名なムル洞窟の探検がしたくなり、成田からボルネオ島サラワク州のミリに飛んだ。2泊3日の予定で、現地発ネイチャーツアーに参加し、1日目はディア、ラングの2洞窟とコウモリのドラゴンフライ、2日目はウインド、クリアウォーターの2洞窟を探検するスケジュールである。

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11月29日の朝、ぼくは一人でミリ空港を出発、旧型ツインオッターで1時間余り熱帯雨林の上空を飛び、ムル空港に到着する。現地の日本人ガイド、サダオの出迎えを受け、車で5分の日系のロイヤルムルリゾートに案内される。

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グヌン・ムル国立公園内には宿泊施設が2カ所ある。公園本部の簡易ロッジと日系ホテルのロイヤルムルリゾート。ぼくはリゾート内の一軒のシャレー、予約していたバス・トイレ付きの清楚なダブルベッドの部屋に落ち着いた。

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昼食としばらくの休憩後、午後3時にサダオとぼくの2人で、足慣らしを兼ねたトレッキングに出る。ホテルの裏手から続く木道や、途中のトレイルは整備され歩きやすい。原生林に木漏れ日がキラキラと輝き、空気は透明である。

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サダオの案内で約1時間歩き続け、ようやく洞窟の入り口に到着。ヘッドランプを付け、最初のラングケィヴに入る。山吹色の鍾乳石を見て回り、続けて、世界最大の空間を持つディアケィヴに入る。中から入り口を振り返った時に見えるリンカーンの横顔が印象的である。

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11月下旬ともなると人はまばら、探検マニアしか訪れない。夕闇がせまる洞窟の外に出る。薄明かりの中、木道のベンチでしばらく休憩していると、突然、洞窟の入り口から黒いまだらの太い帯が、薄紫色の天空を舞い上がっていく。現地でドラゴンフライと呼ばれるコウモリ軍団の帯状の塊が、龍の形となって大空を飛翔して行くのである。

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翌朝、小型ボートで約30分、メリナウ川を下り、ウインドケィヴとクリアウォーターケィヴを探検する。

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ふたつの洞窟は連結しており、中には細い川が流れている。ウインドケィヴは、ボーッと風の音が響く洞窟で、王様の部屋という広い空間や、ユニークな鍾乳石が有名である。クリアウォーターケィヴは、マリア像のような影を持つ石筍があり、洞窟の中に清流が流れている。

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グヌン・ムル渓谷は洞窟探検とジャングルトレッキングの宝庫。日系リゾートホテルを起点に、自然派フリークは何度も再訪したい場所である。(完)

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2008-03-09

Ma6 スカウ・リヴァークルーズ

東京ぶんぶん’99,10,24  ボルネオ島サバ州の北東に位置する「スカウ村」は、サンダカンの南、キナバタンガン川下流にあり、ジャングル・リバークルーズの拠点になっている。

10月の中旬、ぼくは一人、サンダカン発のスカウ村ネイチャーツアーに参加した。メンバーは、英国、ドイツ、スイスなど、老若男女が10人余り。1泊2日の行程で、到着後の夕方にテングザルなどの野生動物を観察し、翌朝に、ホーンビル等のバードウォッチングを楽むスケジュールである。

10月12日の朝、サンダカンを出発。スカウ村まではワゴンと小型船で2時間余り。キナバタンガン川を遡りようやくスカウ村に到着する。川べりには簡素なドミトリー用のコテージと、三角屋根のシャレー群が建ち並んでいる。ぼくはシャレー棟の一角にある清潔なキングサイズベッドの部屋に落ち着いた。

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数あるネイチャーツアーの中でもスカウ村は、特に鳥と動物が多い場所で、1年を通じその姿が確認されている。来訪者のピークは5月から9月。10月の中旬になると、一般客は少なくなり、ネイチャーツアーマニアだけが訪れる。

昼食としばらくの休憩後、集合の鐘が鳴り、探検用の小型ボートに4,5人ずつ乗り込む。午後5時過ぎ、ジャングルに住むテングザルを観察する為に小型ボートに分乗し出発する。スカウ村の裏手の小川を静かにボートが進んでいく。ジャングルを抜ける風はすがすがしく、空気は透明である。大自然の中で秘やかに息づく野生動物を探索し、心ゆくまでワイルドライフを楽しむのだ。

夕闇がせまる中、レンジャーの先導でポイントに到着する。うす暗い木陰に、母猿が小猿を抱きながら食事をしている。突然、無言でレンジャーが木のてっぺんを指さす。ジャイアンと呼ばれるボス猿が天狗鼻を揺らし、こちらを見下ろしている。股間の象徴を隆々と立てたまま、樹上にどっかりと佇んでいた。

翌朝、夜明け前のバードウォッチングは神聖な儀式である。レンジャーの先導のもと、キナバタンガン川を遡り、上流の森の中でホーンビルを探す。小一時間、支流の小川に入り、幾つかのクリークを抜け、船をゆっくりと進める。

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「ギャーッ、ギャーッ」
突然、鳴き声と共に、つがいのホーンビルが樹幹から羽ばたき、一匹づつ、赤紫色の空を北から西へ飛んで行く。スカウ村の上流、キナバタンガン川の遙か東の空にオレンジ色の朝日が昇り始める。緑黒色のジャングルは、朝もやの中でまだしばらくは眠ったままである。(完)

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2008-03-09

Ma5 ゴマントンケイヴ

東京ぶんぶん’99,10,23  ボルネオ島の北東に位置する「ゴマントンケイヴ」は、スカウ村の西隣にあり、サバ州で最も大きな石灰岩洞窟のひとつとして有名である。

10月の中旬、ぼくは一人でゴマントン洞窟探検ツアーに参加した。メンバーは、英国、ドイツ、オランダなど、老若男女が10人余り。コタキナバル発スカウリバークルーズを加えての2泊3日のスケジュールである。

10月11日の朝、ぼく達はサンダカンのホテルを出発。目的地まではワゴン車で1時間余り、ようやくゴマントン洞窟の入り口に到着する。入り口にはツバメの巣を採取するピリピーノのあばら屋が建ち並んでいる。ぼく達はワゴン車から降り、母親と子供達の好奇な視線の中を、最初の洞窟に向かった。

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ゴマントン洞窟は3箇所あり、大きなのが2つ、ちいさいのが1つ。その奥で、高級中華材料のツバメの巣が採取されている。シーズンは4月~12月。採取する時間はその日の天候等、コンディションにもよるが、夜遅くまで作業する場合も多い。

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ガイドの案内で最初の洞窟に入る。中は昼間でも薄暗く、ヘッドランプを付け懐中電灯を照らしながら、ゆっくりと前に進む。残念ながら今日は採取日外なので無人である。洞窟の奥のあちこちには、約100mの高さに採取用の梯子が組み上げられている。ピリピーノの作業員がそのてっぺんに登り、ツバメが飛び去った後を見計らい、慎重にその巣をはがす。

巣は2種類あり、白色は45日毎に、黒色は4,9,12月、年3回のみ採取する。ドゥスン族のボスが作業員を統括、資源枯渇防止のために掟を作り、乱獲することを禁止している。計画的に中華系のシーノと呼ばれる仲買人と高値で取引をするのである。

小さな洞窟はさらに神秘的である。入り口から黄金色の甲虫がびっしりと地底から天井まで隙間無く蠢いている。その虫の名は、ゴールデンコックローチ。和名はゴキブリ。木道で区切られた壁の縁から、大小のゴキブリがうねうねと小さく動き回っている。ガイドの指示に従い、トレイルから外れゴキブリを踏みつぶさないように注意深く歩く。時々、ゴキブリが肩や背中に飛び移る。それをガイドが、無言で慎重に一匹ずつつまみ、トレイルの外に丁寧に戻す。

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帰り際に偶然、ワゴン車の先の原生林を、野生のオランウータンの母子が木々を伝って行くのに出会った。セピア色の夕日がゆっくりと沈む先に、深緑の森と群青色の空が、紫紺色の闇に混ざり合い優しく溶け込んでいく。(続)

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2008-03-09

Ma4 タートルアイランズ公園

東京ぶんぶん’99,10,22  ボルネオ島最北端に位置する「タートルアイランズ公園」は、マレーシア政府により海亀産卵の特別保護地域に指定されている。

10月中旬、ぼくは一人で海亀保護のボルネオエコツアーに参加した。メンバーは、英国、ドイツ、オランダなど、老若男女織り混ぜ10人余り。1泊2日の行程で、昼間は美しいビーチでシュノーケリングなどを楽しみ、夜は産卵のために上陸する親海亀と、明け方に子亀の放流を見学するスケジュールである。

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10月10日の朝、ぼく達はボルネオ島サバ州のサンダカンの港を出発。タートルアイランズまでは高速船で1時間余り。ようやくセリンガン島に到着する。公園内には宿泊施設として三角屋根のシャレー群が建ち並び、ぼくは予約していたバス・トイレ付きの簡素なダブルベッドの部屋に落ち着いた。

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タートルアイランズの中でもセリンガン島は、特に海亀の産卵が多い島で、1年を通じてその姿が確認される。シーズンは6月から10月。ピークの9月前後は、毎日のように10件以上の産卵が記録される。産卵時間はその日の海、天候のコンディションにもよるが、夜遅くになる場合が多い。この場所で大自然のドラマ、海亀の産卵を見学し、子亀の放流を体験するのだ。

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昼過ぎのスールー海はセルシアンブルーに光り輝き、遙か水平線まで透明な海原が続いている。産卵の準備が始まる夕方からは、上陸する海亀を保護する為に、ビーチに立ち入ることが禁止されている。それまでぼく達は、シュノーケルやフィンを付け、砂浜の先の浅瀬や、岩の間の磯辺を自由に遊びまわった。

真夜中の午前1時過ぎ、レンジャーの先導で月明かりに照らされた海岸線に出る。暗闇の中で、母亀が涙を流しながら産卵する姿に、自然の神秘を感じる。母亀が去った後、レンジャーが保護のために、砂に埋もれたピンポン玉のような卵を掘り出す。ハッチと呼ばれる円筒形の囲いの中で保育するのである。

翌朝、夜明け前の子亀の放流は神聖な儀式である。裏庭に網で区切られた円筒形のハッチの中から、約1ヶ月前に産卵した子亀がポコポコと小さな顔を出す。レンジャーの指導のもと、生まれたばかりの子亀をバケツに集め、海岸に運ぶ。ようやく東の空が乳白色に明るくなり、海からの微風が心地よい。

一匹ずつ丁寧に砂の上に子亀を置くと、子亀は本能のまま波打ち際をヨチヨチと海に向かい這って行く。スールー海の東の空にだいだい色の朝日が昇り、波打ち際の引き潮は、さらさらと優しく透明である。(続)

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2008-03-08

Ma3 キナバル公園

東京ぶんぶん’99,10,21  ボルネオ島サバ州の北端にあるキナバル公園に行くには、州都コタキナバル発の観光ツアーに参加し、ワゴン車で行くのが一番お勧めである。

10月の初旬、ぼくはコタキナバル発のキナバル公園ネイチャーツアーに参加した。メンバーは、英国、ドイツ、オランダなどの老若男女が10人余り。日帰りで、午前はキナバル公園本部の山岳植物園。午後は、キナバル山麓の原生林でキャノピーウォークやポーリン温泉を楽しむスケジュールである。

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10月9日朝8時にコタキナバルを出発。キナバル公園まではワゴン車で2時間余り。途中休憩をはさみ、ようやくキナバル公園本部に到着する。ロッジで、お茶を飲み一息入れた後、植物園の専属ガイドに案内され、山岳植物園を見学する。

園内は、うつぼかずら等の熱帯雨林の植生を身近に観察できる様に工夫され、1年を通じてネイチャーガイドウォークが実施されている。

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「これは、ポーリンと言う植物でここの特産品です」
若い女性ガイドが恥ずかしげに笹のような植物を指さし、小声で説明している。それが、竹の一種で、この地の語源であることを理解できたのは、英国人夫婦が、大きな声で繰り返し確認してくれたからである。

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昼食後、ツアーガイドを先頭に、樹海に入り原生林の中をしばらく歩く。やがてキャノピーウォークにたどり着き、螺旋階段で地上約40mの吊り橋に上がる。吊り橋の上は別世界である。

黄金色の樹冠が光り輝き、新緑の海原が遙か彼方まで続いている。人が一人ようやく通れるほど狭い約160mのキャノピーウォークを慎重に歩く。

地上に降りてから、3日の間しか咲いていないという伝説の花、ラフレシアを探索する。しかし、運に見放されたのだろうか、残念ながらラフレシアは見あたらず、ぼく達は少し落胆し、疲労感を覚えた。15時過ぎ、ようやくの思いでジャングルを抜け、ポーリン温泉に出る。

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温泉の施設は、有料と無料の2つの区域に別れ、管理事務所に併設されている。有料の方は、プライベート用の個室で数カ所に区切られ、外からは見えないので素裸で入ることができる。

一方、無料の大衆浴場は、コンクリートの打ちっ放しの四角い風呂と、青空の下に楕円のプールが2つ。家族連れがカラフルな水着で、楽しそうに湯につかったり、泳いだりしている。

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ぼく達は、プール横のシャワーで汚れた手足を洗い、迎えのワゴンに乗り込んだ。振り返ると、遙か後方のキナバル山がセピア色に光り輝いていた。 (続)      

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2008-03-08

Ma2 タマンヌガラ国立公園Ⅱ

東京ぶんぶん’96,5,16 深夜のラウンジでビールを飲みながら、コーディネーターの楠元さんが、ここだけの話ですが、とヒソヒソ話を始めた。彼は、青年海外協力隊の隊員で、シニアボランティア。マレーシアのクアラルンプールに3年も在住している。

「マレーシアのイスラム教の戒律では、酒は飲んではいけないし豚肉も食べてはいけないのですが。こちらの方は一夫多妻で、結構お盛んで、開放的です」
と小指を立てる。

「あれは、戦争未亡人の救済の為だって聞いたぜ」「ほんとかよー」「うそじゃない」アルコールを鯨飲しながら、わいわいがやがやと話があちこちに飛ぶ。「やはり、人と自然とはだなぁー」夜はジグザグと更けていく。

2日目の朝、ぼく達はクアラ・タハンが見えるブキ・テレセック展望台と洞窟探検に出かけた。展望台までの道のりは厳しく、自慢の健脚も頂上に立つ頃には半ば笑っている状態である。

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展望台の上は最高に気持ち良い。遙か彼方北の中空にタハン山が見える。その手前に、かすかに細く流れ落ちる滝も見えた。小休止の後、遠回りして左右の植物を観察しながらリゾートに戻る。

昼食後、リゾートからボートで10分ほど下流にある川沿いの小洞窟を探検だ。暗く狭い岩場を一歩また一歩と歩く、暑苦しく汗が噴き出る。何でこんなに苦しい思いをしてまで洞窟の中を歩くのだ? ふと、疑問が湧く。

帰りのリゾートまでは、ラピッドシューティングしながら川を遡る。ボートが徐々にスピードをあげ、水面を飛び跳ね、バンバン音をたて爽快だ。さあ、今夜は何して遊ぼうか!

ファムツアーの3日目、ぼく達は全長500mの空中遊歩道のキャノピー・ウォークに挑戦する事になっていた。歩き始めて、30分。どうも腹具合が悪い。昨日の夜もまた遅くまで飲んでの二日酔い。トレイルから遠く離れ、草むらで用を足す。ぼくのしゃがんでいるすぐ横を、のそのそと大トカゲが歩いて行く。

「あーっ、びっくりした。野糞をしていたら、後からドラゴンが来てさー」「うそくさ」「ヒグマと遊んでたんだろ」「ここはボルネオ、北海道じゃないの」「あたぼーよ」「はんかくさいのー」「あほくさ」夜のバカ話の続きが始まった。

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ぶらん、ぶらんとキャノピーが揺れている。吐きそう。空中散歩か宇宙遊泳か、吊り橋の上を、ゆっくりゆっくりと歩く。ジャングルの楽しみ方もいろいろあるものだ。

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休憩後、ボートでオラン・アスリの村に移動し、吹き矢の練習をする。みんなバラバラになり、自由に輪投げや踊りなどを楽しんでいる。さあ、皆さん帰りますよ、集合、集合!ファムツアーはまだまだ終わらない。 (完)

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2008-03-08

Ma1 タマンヌガラ国立公園Ⅰ

東京ぶんぶん’96,5,16 5月中旬、ぼくはマレーシア政府と日本旅行業協会共催のマレーシア・ファムツアーに参加した。メンバーは、旅行業関係の航空、旅行、新聞記者等、老若男女織り混ぜ12名。 目的地は世界的に有名な、マレー半島中央に位置するマレーシアの原生林に囲まれたジャングル・リゾート「タマンヌガラ国立公園」。世界で最古、最大級の熱帯雨林に包まれたアジア屈指の大自然の宝庫である。

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5月11日の朝8時、ファムツアーの初日、ホテルのロビーに全員が集合。まずは、添乗員兼主催者の第一声。日本旅行業協会の長田さんが挨拶する。続いて紹介された女性ツァーガイドのマリアさん。ツァーコーディネーターの楠元さん。あとはファムツアー参加者12名の自己紹介が続き、最後にマレーシア政府観光局スポンサーの徳永さんの個性豊かな挨拶で終わる。さあ、タマンヌガラヘ向けて出発!

大型バスの中で、マリアさんが「タマンヌガラ国立公園」の説明を、流暢な英語で話すと、追っかけで、チョビヒゲの楠元さんがジョークを交えて通訳する。宮崎訛りを交えて、面白おかしく続ける。

「旅行シーズンとしては、4月から10月の乾季が比較的すごしやすいデス。周辺のジャングルには大じか、マレーゾウ、マレータイガー、サルなどの野生動物がおりマウス。サイチョウをはじめとする250種類の野鳥、300万種に及ぶ昆虫などが生息し、珍しい植物群も多いとか何とかいっとりマウス。数は適当ですが、統計がかなり古いからね」どっと、参加者全員の笑い声がバスの中を渦巻く。

「アクティビィティとしては、ジャングルトレッキング、動物ウオッチング、洞窟探検、ラフティング、釣り、全長500mの空中遊歩道のキャノピー・ウォークが楽しめマウス。さらに、先住民オラン・アスリの村への訪問、マレー半島最高峰グヌン・タハンへの登山等、盛りだくさんでありマウス。これは、本当でーす」

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クアラルンプールから大型バスで高速道路を4時間弱走り、クアラテンベリンに到着する。そこからは、細長いリバーボートに乗り換え、薄茶色に濁った川を遡る事さらに2時間半。ようやく、国立公園の中心のクアラ・タハン、タマンヌガラ・リゾートに辿り着く。それぞれのシャレーで一休みする。やれやれ。

夕食後早速、夜のナイトツアーに出かける。頭にヘッドランプを点け、手に懐中電灯を持ち、蛭よけのロングソックスを履き、気合いを入れて外に出る。真っ暗闇に、黒い影。ギョギョッ!

公園レンジャーを先頭に、樹木の説明を聞きながらそろりそろりと進む。1時間程歩いたが、期待した動物昆虫には会えずに引き返す。帰り際に夜空を見上げると、梢の先の澄んだ空気の中に、無数の星がキラキラと瞬いていた。(続)

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