2017-06-21

<秋>聖フランチェスコゆかりの地を歩く/カルチェリの庵

「イタリアの緑のハート」と称されるウンブリア州。
12世紀に生まれた聖フランチェスコが小鳥たちと対話し、
彼を深い信仰へと導いたのも、この豊かな自然です。

州都ペルージャとともに、
ウンブリア州の主要な街であるアッシジ。

街はスバシオ山の斜面に位置し、
石積みの建築物が並ぶ旧歴史地区には、
ジョットのフレスコ画で名高い聖フランチェスコ聖堂、
聖キアラ教会、コムーネ広場がありますが、
中心地から4㎞、1時間ほど東へ歩くと、
晩年、聖フランチェスコが瞑想に耽った「カルチェリの庵」があります。



今春、数年ぶりにアッシジへ行く機会があり、
長年行きたいと思っていたこの庵まで歩きました。



時の天才画家ジョットの手による見事なフレスコ画と、
絢爛な色彩の内装により世界遺産に認定された
聖フランチェスコ大聖堂とは対照的に、
風の音、枝葉のすれ合う音、澄んだ空気に満ちた、
静かで質素な僧院とサンクチュアリは、
愛、清貧、平和を説いた聖人フランチェスコの心が
まさに伝わってくるような空間です。

サンクチュアリ内、聖フランチェスコが祈りを捧げた場所は
最も神聖な地として、現在は十字架が祀られ、
修道士らの様子を再現したオブジェが置かれています。





晴れた日には遥かノルチャ、トーディの丘を望むパノラマは、
心の開放と明日へのエネルギーを与えてくれるよう。

往復8㎞うち、往きの4㎞はずっと登りですが、
途中にはハイカーにぴったりの庶民的な食事処があり、
一息つくのに最適です。



「何かを所有すれば、それを守る力が必要になるから」と、
世俗を捨て、一切の所有を放棄し、
800年前に生きた聖人の生涯に思いを馳せるひとときです。