チンクエテッレで一番大きな集落であるモンテロッソ・アル・マーレでは、毎年５月下旬、レモン祭りが開かれます。当日は、細い路地の続く村の沿道に、民芸品や手工芸品の屋台のほか、リモンチェッロ、レモンクリーム、レモンジャム、レモン風味のタルトの屋台などが並びます。地元産のレモンから作られた爽やかな味覚を愉しめるのがこの祭の魅力。この頃は、雨の多いリグーリア州の天候も安定して、漁村から漁村を結ぶ遊覧船も定期運行となるチンクエテッレ観光のベストシーズンです。

イタリアには、「ツーリング・クラブ・イタリアーノ」という旅行愛好者の協会があり、毎年10月の第3または第4日曜日には、同協会が主催する「オレンジフラッグデー（イタリア語でgiornata bandiera arancione）」という全国的なイベントが市町村の観光局とのコラボにより開かれます。トスカーナ州在住の私は、毎年この日にはリュックを背に郊外へ出かけて秋の味覚やエクスカーションを楽しんでいます。一昨年参加したキアンティ地方のバルベリーノ・ヴァル・デルサのオレンジフラッグデーのイベントでは、パノラミックな12kmのコースのハイキング、ピエモンテ州出身オーナーのハイテク・ワイナリーの見学、天文台の訪問、アグリツーリズモの庭でのおいしいランチを楽しみ、さらにキャンテイワインを1本お土産にいただいて大満足の一日となりました。

毎年5月の最終週の土・日曜日に「Movimento Turismo del Vino」が主催するオープンワイナリーがイタリア全州で開催されます。10年以上前、ウンブリア州に住んでいた時には、サグランティーノで有名なモンテファルコやペルージャから程近いトルジャーノを訪ねていました。トスカーナ州ルッカへ居を移した現在、家から車で15分のところに位置するモンテカルロやピサ近郊、あるいは南部モンタルチーノやモンテプルチアーノのワイナリーを毎年順に周っています。マイグラスの入ったポシェットを首から下げ、ほろ酔い気分でワイナリーからワイナリーへと訪問。用意された軽いおつまみとともに自家製ワインを無料でテイスティングさせてもらい、気に入った味がみつかれば生産者から直接購入します。アフリカからの高気圧が長く停滞した2015年の夏は、強い日差しと乾燥した空気のおかげで葡萄がよく育ち、最高のワインが出来上がると予測されています。熟成後、樽を出てボトルに詰められた、2015年のレッテルを貼られたワインを手にする日をこの上なく楽しみにしています。