2006-07-23

フリーマントルという港町

オーストラリアの町は海岸沿いに発展してきた。
移民達は郷愁にかられるのか、海で故郷とつながっていたいらしい。
パースにおいても、それは同じである。

スワン川の河口にフリーマントルという明るくリラックスした港町がある。
パースとは目と鼻の先である。
その街には、カプチーノストリップという名のカフェの並んだ通りがあり、
移民達がカプチーノをすすりながら、海の向こうの故郷へ思いを馳せる。

オーストラリアの海岸沿いの街は、だいたいどこも解放的な雰囲気を持つ。
それは、そこに集まる人々が、基本的に移民で構成されていることによる。
重文化を持たないことで、偏ったしきたりに抑圧されることが無く、ここでは、
気取る必要など全く無い自由の民であることを自負した人々が多い為だろう。
パースもフリーマントルもそんな典型的なオーストラリアの都市である。
他の都市と違うのは、アフリカ系や、インド系の人達が多いということだ。
これはアフリカもインドも、距離的にパースが最も安全で、住み易い先進国だと
言うことが、これらの国から多くの人々を惹き付けている要因となっている。

特に目立って多いのが、南アフリカからの白人移民であり、
アパルトヘイト廃止後の騒乱を逃れてやって来た人々だ。
その為、南アフリカ航空はパースとヨハネスブルグ間に直行便を運航させている。

南アフリカと言えば、2010年のサッカーワールドカップの開催地でもある。
今回のドイツワールドカップでは、オーストラリアが初めて光り輝いた世界大会
であり、国民にサッカー観戦という今まで無かった、新たな楽しみをもたらした。
今回を契機に、2010年はオーストラリア側のゲートウェイとして、オージー
のみならず、日本人にとっても、ここパースが時代の潮流に乗ることになろう。

フリーマントルの夏はオーストラリアの他の都市と遜色なく刺すような暑さだが、
夕方近くになると、フリーマントルドクターと呼ばれる海風が街を冷やしてくれる。
この時間帯カプチーノ通りにあるオープンカフェはとても心地よい雰囲気に包まれ、
自然と人々が集い、ディナーが終わる時間までの間、とても賑やかくなる。

こうやって思い出していると、フリーマントルドクターに吹かれて、
まだまだ陽の高いうちから、ワイン片手にシーフードプラッターを注文し、
海から揚がったばかりのロックロブスターを頬張りたくなってくるのであった。

fremantle
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categoryパース  time01:04

2006-07-10

世界で最も住みたい街パース

ロングステイ財団の統計では、長期滞在希望国第1位はオーストラリアである。
また、イギリスの最も有名な調査機関の「世界で最も住みやすい都市はどこ?」
では、ベスト10位以内にオーストラリアの都市が、4~5都市は選出される。
その中でも、パースは特に世界各地を旅した人からの人気が高いらしい。

パースという名前は、今でこそ旅行好きの日本人に知られてきたが、
シドニーやメルボルンと比較すると、まだまだ、辺境にある知られざる都会だろう。

オーストラリアを旅しようと考えている旅人から、「パースってどんなところ?」
と、よく尋ねられる。「歴史は?自然は?特徴は?」と。
そんな時、私は「世界の桃源郷のような場所だ」と答えるようにしている。

パースはオーストラリア大陸の西の端に飛び地として存在する。
オーストラリア大陸は東海岸と南海岸に都市が集中しており、
後はからっぽ、と言って良いくらいなので、
西海岸にへばりつく大都市パースはオーストラリアでも異彩を放っている。

大陸を東西真っ二つに分けると、
西半分の人口はオーストラリア全体のわずか10%でしかない。
そのうちの約70%がパースに集まっているのだ。
・・・と言うことは、大陸の西半分のパース以外の土地では、数ヶ所の町を除けば
ほとんど人は住んでおらず、車で走っていても人に会うことはほとんどない。
西海岸線では、歩いている人に出会うより泳いでいるイルカに出会う確立の方が
高いと言っても、誰も言いすぎだとは言わないだろう。

パースから最も近い都会を探したところ、何と、2000キロ以上も離れている。
人口100万人を越える都市の周りに、わずか10万人を越える都市が、
2000キロ以上も離れた場所にしか見当たらないというのは、
世界にパース以外にもあるのだろうか?
パースを取り囲む過酷な気候のアウトバックは、外部からの多くの進入を拒み、
大自然のバリケードとなって、パースを俗世間から守っている。

反面、パース周辺だけは、1年中温暖な地中海気候が、燦燦と輝く太陽と、
青く澄み切った空、そしてパールブルーの海を保障しており、
パースの真ん中をインド洋に流れ込むスワン川が土地を肥沃にし、
確実に美味しい料理やワインをも保障している。
そして海岸線のビーチの美しさはオーストラリア随一と言われ、
夕方になると、線香花火が燃え尽きる時の火の玉のような真っ赤に燃える太陽が、
はるかインド洋上に沈んでゆく様をほとんど毎日見ることのできる保障もある。

辺境地パースは現代の桃源郷のようだ。
旅人は、少なからず旅に桃源の地を求める。
旅人は、そんなパースを「世界で最も住みたい場所」と位置付けるのである。

perth
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categoryパース  time01:44