2005-10-27

アメリカ・多国籍バスツアー

13年前に行ったロサンゼルス発のアメリカ国立公園を巡る多国籍バスツアー。世界各国から集まった人達と共に旅行するのです。今でも一つ一つの景色と想い出が、鮮明に心に残っています。旅がこんなに好きになったのも、自然に会いに行く素晴らしさを知ったのも、この旅行がきっかけでした。

私にとって初めての海外がスイスだったせいか、頭の中では「海外旅行=ヨーロッパ」という図式が出来上がっていたので、結婚当初から何故主人がそんなにアメリカに行きたがるのか理解できずにいました。この旅に行く前も、「そんなに行ってみたいなら、ついていってみるか、、」くらいの気持ちだったのでした。英会話も出来なかった私は主人に頼りきっていて、1人で行動することなど出来なかった頃の旅行です。


【初日】 成田 → ロサンゼルス

ロスに到着。ホテルで一息つき、まだお昼すぎだったので、ハリウッドにでも行ってみるか!と、路線バスに乗ってみた。しかし、途中でバスが故障して停留所で乗客全員降ろされてしまった。でも次のバスがなかなか来ない。地図を見たら、ハリウッドは近くに思えたので、炎天下で待つよりもいいからと歩いて向かう。しかしアメリカは広い。ロスは関東平野くらいある。地図で近くに思えても、とてつもなく遠いのだ。地図の縮尺を見ていなかった私達は、とんでもなく長距離を歩くはめになった。

気がつくと、誰も歩いていない。でも、もう後には引けず歩き続けた。途中、物乞いの人がいたり、治安がいいとは言えない地域を2時間半歩き、やっと到着。イーグルスの「ホテル・カリフォルニア」のジャケット写真に使われたビバリーヒルズホテルを見たりしながら、ハリウッドを歩く。しかし、長距離フライトの疲れと時差と、思いがけない長いウォーキングでヘトヘトになり、ホテルに戻る。1日目にして、いきなりアメリカの洗礼を受けたような気がした。

【2日目】 ロサンゼルス → サンディエゴ → ティファナ

いよいよ多国籍バスツアーの始まり。
ホテルロビーで、これから1週間、共に旅するメンバーとの顔あわせ。同じ行程のツアーバスが4台あり、そのうち3台が全員ドイツ人。(ドイツ人の多さにビックリ!)それ以外の国の人が残りの1台に集められ、出発した。
メンバーは、イギリス、オランダ、オーストラリア、ニュージーランド、ベルギー、そして私達夫婦ともう1人日本人の大学生。ガイドはベルギー人だった。家族、友人同士、夫婦、1人、参加スタイルはいろいろ。1人旅の人は1人旅の人同士、2人1組となって席につく。いよいよ、ツアーの始まりだ!

ロスからサンディエゴ、そしてティファナへ。

サンディエゴでは、アメリカ西部開拓時代を再現したオールドタウンを訪れ、その後、国境を超えメキシコ・ティファナへ。テーマパークなどの出口にあるような回転式ゲートで、パスポートチェックもなく、歩いて入国でき、驚いた。

アメリカからメキシコに一歩入っただけで、いきなり道が悪くなる。銃弾の跡が生々しいバスに乗り込み、ティファナの街へ。パステルカラーの華やかなサンディエゴの街の隣には、黒ずんだ建物の続く埃っぽい街があった。国境という1本の線を隔てて、ここまでの差があるのか、、と愕然とした。
ティファナの街は、おみやげ屋さんでいっぱい。銀製品を売り込むおじさんは日本語も上手。いきなり変わった風景に戸惑ったけれど、人々は元気で明るい。路地を歩いたり、屋台でご飯を食べたりした。まだ日本にメキシコ料理店がそんなにない時代だったので、ここで食べた初めてのトルティーヤのなんとおいしかったことか!!この瞬間から、メキシコ料理大好き人間に。

アメリカへの入国の際は、メキシコ入国のときと雲泥の差。
長い行列で、随分待たされた。行列の横には、大勢の物乞いの人達が座っている。彼らにコインを渡せばいいのかもしれない、、でも、その場しのぎのお金を渡すことが彼らにとっていいことなのかも、わからない。でも、彼らの差し出す缶の中にコインを入れることが、自分は貧富の「富」のほうに属していると誇示してしまうような気がして、いやだった。あれこれ考えて、どうしよう、どうしよう、、と思いつつ、結局何もせず、ハタから見れば無関心に通りすぎてしまった自分がイヤだった。